8日夜、福岡県町村会の会長で全国町村会の副会長も務める福岡県田川郡大任町の永原譲二町長が、町政刷新を図ろうと印刷物を配布していた市民団体のメンバーに特殊警棒を持って襲いかかり、県警田川署で事情聴取を受けていたことが分かった。
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襲われたのは、暴走が続く永原町政の実態を町内に知らせようと市民団体を結成し、印刷物を配布していた同町の若者ら。活動中に建設会社を経営する町長の息子他数名に動きを止められた直後、10名以上の人数を引き連れた永原町長が現れ、所持していた特殊警棒をいきなり伸ばし、殴りかかる勢いで威嚇してきたという。
そばにいた町長の息子が止めに入って打撃を思いとどまられせたが、町長の興奮は収まらず、活動していた若者らを「コラ、殺すぞ!」などと大声で怒鳴り続けた。
この間、急を聞いた活動中の若者ら20数名が集まってきたため町長側と対峙する形になったが、市民団体側は「殴られても抵抗するな」と冷静に対応。110番通報で駆け付けた県警の警察官らが双方を分けたが、永原町長はその後、田川署で事情を聞かれていた。
市民団体の若者らが撮影した動画には、町長が所持していた特殊警棒を車の助手席付近に隠したとみられる場面や(下の画像)、興奮して相手に向かおうとする町長を息子や側近が押しとどめる場面が映っている。残された動画や関係者の証言からも、明らかな暴行事件とみるべき事案である。
問題はまだある。永原町長を現場に運んできた車を運転していたのは町長の秘書役を務める役場職員、他に町総務企画財政課の課長ら数名の職員が町長の指示で駆けつけてきたことも分かっており、町政私物化の決定的な証拠といえそうだ。
徒党を組んで批判する相手をつかまえ、武器まで持ち出して町民を黙らせようとした行為は、まるで暴力団。チンピラヤクザまがいの人間が町長の椅子に座り、県町村会の会長や全国町村会の副会長を務めているというのだから呆れるしかない。各団体の良識が問われる事態といえるだろう。