日大疑惑で揺れる永田町|逮捕された細田派の金主

10月7日、東京地検特捜部は、日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事を巡って外部に2億2千万円が流出した事件で、日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と大阪市の医療法人錦秀会グループの前理事長、籔本雅巳容疑者(61)を背任容疑で逮捕した。

◇  ◇  ◇

日大は2019年12月、病院の設計業者を選定する業務を、同大が全額出資し井ノ口容疑者が役員を務める「日本大学事業部」(東京都世田谷区)に委託。日大事業部は昨年4月に、形だけのプロポーザルを行い、東京都内のS社に24億4千万円で設計監理業務を発注していた。

井ノ口容疑者は同年8月、S社に対し日大側から支払われた約7億円の契約金額のうち2億2千万円を、藪本容疑者が出資した都内港区のペーパー会社に流すよう指示。その後、ペーパー会社から井ノ口容疑者の知人が経営するコンサル会社に6,600万円が送金され、このうち2,500万円が井ノ口容疑者に渡っていた。

ある捜査関係者の話。
「日大のカネを、病院建設の設計を名目にしていったんS社に支払った。この際、キックバックの資金を確保するために、正規の金額より上積みされた額をS社に支出させている。これが背任にあたる。井ノ口と親しく、医療法人の経営に詳しい籔本が計画に深く関与した可能性が高く、利得を得た疑いもある。日大は我が国最大規模の学校法人で、多額の税金が投入されており看過できない事件だ」

この事件は、衆院選を直前に控えた政界にも波及しそうである。これまで報じてきた通り、安倍晋三元首相と籔本容疑者が非常に親しい間柄なのだ。

安倍氏が首相在任中の「首相動静」を朝日新聞の記事から検索してみると2017年から2020年にかけて、少なくとも9回、会っていることがわかる。

会っている日付は、ゴールデンウイークや年末の休暇の時期。一緒にゴルフをプレーし、食事をともにしていた。その模様はマスコミでも大きく報じられている。

また、籔本容疑者の錦秀会グループから安倍元首相の出身派閥である細田派の政治団体「清話政策研究所」に、多額の政治献金が寄付されていたことも分かっている。

籔本容疑者の知人が振り返る。
「籔本さんからは、何度も安倍さんの話を聞かされました。『東京でちょっと総理に会ってきたよ』と嬉しそうに語っていましたね。安倍さんが大阪に来た時、籔本容疑者がなじみの料理屋に連れてきたのにはびっくりしました。まるで旧知の友人のように会話していましたね。ただ、籔本さんの父親が脱税容疑で逮捕されるなど、いろいろグレーな噂があったのは事実。日本のトップが付き合っていていいのか、という声もありました」

地検特捜部は先月9日に1回、そして昨日にも日大のトップである田中英寿理事長の自宅に家宅捜索が入っている。特捜部の最終的な狙いは田中氏であることは明白。ある日大関係者は、次のように話す。
「日大には30人以上の理事がいます。田中理事長の独裁的な体制で設計費を水増しして、業者からカネをもらうなんてことが井ノ口だけの裁量でできるわけがない。当然、田中理事長の指示や承諾があったとみんな思っています」

籔本容疑者逮捕の一報を聞いた自民党の大臣経験者は、岸田文雄首相の右腕となった甘利明幹事長のUR疑惑が再燃していることを指摘した上で、こう嘆いた。
「これでまた政治とカネの問題で騒がれるのではないか。錦秀会の籔本氏は、最大派閥細田派の最大の金主ともいわれる存在。世話になっている議員も数多くいます。衆院選を前に、また政治とカネの問題でやっかいなことになった。森友学園の籠池といい加計学園の加計といい、どうして安倍さんの周辺にはうさんくさいヤツばかり集まるのか」

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