【2023徳島知事選】嫌われても強い?後藤田正純衆院議員

来年4月に行われる徳島県知事選挙を巡り、後藤田正純自民党衆議院議員の動向に注目が集まっている。
後藤田氏は、徳島県知事選への出馬の意向を固めて茂木敏充幹事長らに伝えたという。臨時国会が会期末となることから、このタイミングで決断した模様だ。
高い知名度を誇る一方で、スキャンダルを繰り返し、県民から「徳島の恥」などという厳しい声があがる後藤田氏だが……。

◇   ◇   ◇

我が道を行く、ということだろう。後藤田氏は、決意のほどを示す投稿をSNS上で続けている。
「政策なくして徳島再生なし」、「そもそも、国の予算を、県が自分のお金のように配分して、権力誇示すること自体あり得ず、情けなく思います」、「徳島の来春も徳島県民が決める知事選挙 具体的な政策、アイデア、実行力を判断基準に、直接見極めて選ぶ選挙になって欲しい」などといった書き込みに加え、馳浩石川県知事と面会した様子をアップするなど、意欲満々といったところだ。

こうした動きを横目に、「後藤田氏が出馬となれば、知事選はますます混とんとしよるきに……」と困惑の表情を見せるのは、ある自民党の徳島県議。知事選には、すでに自民党の三木亨参議院議員が出馬する意向で準備を進めており、11月23日に自民党徳島県連の執行部会に姿を見せた同氏は、県議らから“知事選への対応はどうするのか”と聞かれ「徳島のために出馬したい」と実質的な出馬宣言を行っている。

しかし、三木氏は参議院の徳島選挙区が高知県と合区になった関係で厚遇され、「特定枠」として現在の議席を得ている身。その三木氏が知事選出馬となれば、参議院の比例枠は理学療法士の田中昌史氏が繰り上げ当選となる。田中氏は徳島とはまったく縁がない人物であることから不満がくすぶる状況で、三木氏の出馬に対しては、地元での拒絶反応が強い。

もう一人、注目されているのが現職の飯泉嘉門知事だ。すでに5期目の飯泉氏は、昨年10月の衆院選でも出馬が噂された。だが、残念なことに県民からの支持は薄く、評判も芳しくないことから断念。11月の徳島県議会で“次期知事選への意向を質問していいか”という自民党側の打診に「NO」と回答しており、6期目を狙うのではないかとも見られている。そこへ、後藤田氏の出馬。自民党が3つに分裂しかねない情勢だ。

特定枠を捨てていく三木氏、昨年の総選挙で自民党徳島県連の県議団から「公認するな」と血判状までたたきつけられた後藤田氏(既報)不人気で多選の問題を抱える飯泉氏――候補者が決まらないのも無類はない。

そこで浮上しているのが次の3人。実父は元参議院議員の中村博彦氏(故人)で、社会福祉法人「健祥会」の中村太一理事長、徳島県財政課長を務めた総務官僚の岡航平氏。「飯泉氏が後継者として呼び寄せた」とみられている農林水産省から出向の勝野美江副知事だ。

前出・徳島県議が解説する。
「三木さんは特定枠の関係で絶対に出馬はないとみていた。後藤田は論外だ。自民党が推せるのは中村氏か岡氏、もしくは飯泉氏、勝野氏となる。ただ、知事選まであと4ヶ月とあって、知名度ゼロの岡氏は無理だと思う。中村氏は、父の時代から徳島県内ではよくない噂が多いことで知られ、後藤田に匹敵するくらいイメージに問題がある。勝野氏は女性で華があるが、左派の県議らと親しく、自民党には合わない。それに会合では、いかにも『次の知事は私』といわんばかりの態度で顰蹙もの。飯泉氏が支援しても彼女には乗れない」――つまり、自民党が推す候補者がいないというのだ。

そうなると、スキャンダルは抱えるが知名度のある後藤田氏が有利ではないかとの声もあがる。とりわけ、飯泉氏が出馬を決意し、後藤田氏が挑戦状を叩き付けるという展開になると、意外に健闘するのではとも考えられる。自民党の幹部は、見通しをこう説明する。
「知事選でいろいろ言われているが、自民党は最終的に三木氏でまとまるんじゃないですか。三木氏は二階派ですが、二階さん(俊博元幹事長)は派閥の人数が減ることも承知の上で出馬を了解している。二階さんは和歌山知事選で世耕弘成参院幹事長を打ち負かしたばかり。徳島に二階氏と対峙できそうな国会議員はいませんよ。後藤田さんは、いつも最初だけ威勢がいいが最後まで続かない。そのパターンは過去の自民党総裁選でも有名じゃないですか。一時、茂木幹事長が、内閣改造があれば後藤田さんを派閥推薦で閣僚にという案を出していた。しかし、岸田首相も年明けの閣僚人事は行わない方向なので(後藤田氏は)知事選出馬と言い始めたんでしょう。おそらく二階さんが後藤田さんの所属する茂木派と話をつけて、県連も説得して一本化すると思いますよ。後藤田さんのスキャンダルは全国的にも知られるので、負ければ自民党自にとって大きなマイナス。それに後藤田さんは後援会長まで離れてしまい、とても選挙ができる体制ではないと聞いています。飯泉知事には後藤田さんに代わって衆議院にという目論見もあり、そこまで6期目に固執しないとみています。県議らも、知事選と同時期に自らの選挙があり保守分裂では戦えないんですから、まとめるしかないでしょう」

確かに、後藤田氏の威勢のよさと引きの早さは、それまでくっついていた石破茂氏の総裁選でも知られるところ。石破氏が優勢とみるや最前線に出て応援していたが、勢いに陰りが見えるとまったく姿を見せなくなった。後藤田氏の過去の行状が、総スカンを食らう原因になっているのは間違いなさそうだ。

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