コロナ療養施設わいせつ事件で鹿児島県が「人権問題」認める|医師会の「合意があった」を厳しく批判

鹿児島県医師会(池田琢哉会長)の男性職員(10月末で退職。以下、「男性職員」)が、新型コロナウイルスの療養施設内などで強制性交の疑いがもたれる行為に及んでいた問題で、県が、一方的に「合意に基づく性行為だった」と結論付けて会見で公表した医師会の対応を、「人権に配慮を欠く」という異例ともいえる強い表現で、厳しく批判する姿勢を示したことが分かった。

◇   ◇   ◇

7日の県議会で質問に立った前野義春県議(県民連合)から、この問題について見解を求められた県は、「新型コロナウイルス感染症対策については、人命を守るため最前線で献身的な努力をいただいている医師・看護師等の医療関係者や患者搬送に多大なご協力をいただいている海上保安庁、自衛隊、消防機関など、本県全体で取り組んでいる」とした上で、医師会職員が起こした事件について「陽性患者が療養するための宿泊療養施設内において、不適切行為が行われたことは、県民の信頼を裏切るもの」と厳しく批判、さらに「県医師会の調査委員会の委員が、関係者から聞き取りをする前に予断をもった発言をするなど、調査の進め方に問題があったこと、記者会見での発言(合意があった」が報告書の内容と齟齬があり、関係者の人権に配慮を欠く面があった」と踏み込んだ。

強制性交で刑事告訴されている事案を、一方的に「合意があった」と断言した県医師会の対応を、県が「人権問題」であると指摘した形。これを受けた医師会が、どのような対応をとるか注目される。

県医師会の男性職員が新型コロナウイルス感染者の療養施設で強制性交の疑いが持たれる行為を行っていた問題を巡っては、今年9月27日に開かれた医師会の記者会見で、同会顧問の新倉哲朗弁護士(和田久法律事務所)が、刑事事件として捜査中の事案であることを無視して「合意に基づく性行為だった」と断定。その上で、「一定の社会的な制裁を受けた」などとして「情状酌量の上、停職3か月」(報告書の記述)という軽い処分にしたことを公表していた。

同日付で医師会から塩田康一鹿児島県知事に提出された調査報告書には、「合意の上である蓋然性は高いと思料される」と記されていたことから、県はその後、医師会に口頭で“会見内容と報告書の内容に齟齬があった”と指摘していたことがわかっている(*下の文書参照)

 

 

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