北海道立江差高等看護学院で告発が相継ぐパワーハラスメント問題で27日午後、道が委嘱した第三者委員会の初会合があり、函館市内のホテルで3人の委員が顔を合わせた。調査に先立つ議論は4時間半に及び、これまで告発があった複数のケースが俎上に載ったとみられるが、会合はすべて非公開で勧められ、議論の概要は明かされていない。
第三者委の初会合があったのは、函館市大手町の「函館国際ホテル」8階にある約45坪の会議室。使用料は2時間単位で8万5,000円ほどと同館内でも高額で、当然ながら道民の血税からそれが負担されることになったが、会合は道民の眼を完全にシャットアウトして非公開で進められた。
午後1時半に始まった会合は4時間半にわたることになり、委員が退出したのは同6時過ぎ。会場をあとにした1人によると、この日は山内良輔委員(弁護士)が座長に選出されたほか、パワハラ被害者から寄せられた複数の事案について具体的な議論になったという。ただ、採り上げられたケースの詳細は明かされず、道はその件数も「公表できない」とする。次回会合や「現地調査」の日時も未定だ。
道が第三者委の議論を公開しない理由は、設置概要によれば「調査内容に個人情報が含まれるため」。だがそもそも、パワハラ被害者は道への告発が奏功しなかったために「第三者」たる報道各社に告発せざるを得なかった。むしろ被害者自身が議論の透明化を望んでいることを、道は忘れるべきではないだろう。
当初5月末に実施が見込まれていた「現地調査」は、事実上6月上旬以降へずれ込むことになる見込み。在学生の保護者らでくつくる「父母の会」は初会合と同日付の新たな声明で事案の早期解決を求め、併せて委員らとの懇談を要望した。関係者によれば、第三者委はこの求めに「検討する」との意向を示しているという。
(小笠原淳)
(※ 江差高等看護学院パワハラ問題の続報を、現在発売中の月刊「北方ジャーナル」6月号に掲載しています。)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |
*「江差高等看護学院の正常化を求める父母の会」公式サイト⇒https://esashi-seijo.main.jp/