田川郡内にある8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長。田川市、大任町、川崎町、添田町、赤村、糸田町、福智町、香春町で構成)の市町村長らが、田川市内で開かれた勉強会の主催者を脅迫した問題で(既報)、連合傘下の労働組合「自治労」が首長らの動きに加担し、脅迫文に従うようを求める文書を主催者の一人である田川市議会議長に発出していたことが分かった。
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勉強会の主催者に、首長らの脅迫文に従うよう求める文書を発出したのは「自治労田川市職員労働組合」と「自治労田川市現業評議会」。下が、両労組の執行委員長と議長の連名で作成された問題の文書だ。
勉強会は、田川市の市議が中心となって近隣自治体の議員などに呼びかけ開催したもの。今年4月26日、市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事を講師に、約90人が参加して情報公開の重要性についての議論が行われた。
この勉強会に対し7月11日、永原大任町長らが議題にもなっていなかった「田川郡東部環境衛生施設組合」の事業を批判したなどと言いがかりを付け、「謝罪しろ」「質問に答えろ」とした上で「さもなくば、この事業が遂行できなくなる恐れがあります」と脅迫していた。
勉強会の主催者側は、すでに謝罪に応じないことを決め、文書で田川郡東部環境衛生施設組合に回答を送付。7月27日には市民オンブズマン福岡の児嶋代表幹事とともに県庁の記者クラブで会見を開き、一連の経緯について説明している。
自治労田川市職員労働組合と自治労田川市現業評議会が『田川郡東部環境衛生施設組合からの抗議文に関する緊急要望について』と題する前掲の文書を発出したのは、会見の当日だった。
田川郡東部環境衛生施設組合からの抗議文に関する緊急要望について
拝啓、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
今般、田川郡東部環境衛生施設組合より、貴殿に対して発出した抗議文についての相談、並びに情報提供が田川市職員労働組合にありました。
このことは、田川地域全体で広域行政を行うにあたり、多大な影響を及ぼすものであり、今後の行政運営並びに本組合員の勤務労働条件や日常生活にも影響を及ぼす重大な案件で看過することが出来ないと考えております。
本組合での協議の結果、下記の事項を危惧し、事態の早期収拾に向け緊急に要望するものであります。
記
1 抗議文への回答等が無い場合は、諸般の規約等により田川市が田川郡東部衛生施設組合より離脱せざるを得ない事態に陥ること。
2 田川市民や事業所から搬出される一般廃棄物及びし尿の処理が出来ず市民生活に多大な影響を与えること。
3 田川郡東部環境衛生施設組合からの離脱により、新たな建設地の検討等協議が必要となり、処理場等の建設に係る新たな費用が生じること。
以上、抗議文につきまして代表者会議等の開催及び回答に特段のご配慮を賜りますよう要望します。
自治労側が「危惧」しているという3項目については、根拠も合理性も見当たらない。
・情報公開の重要性を再認識するための勉強会が、なぜ「田川地域全体で広域行政を行うにあたり、多大な影響を及ぼす」のか?
・言いがかりに回答する必要などないにもかかわらず「抗議文への回答等が無い場合は、諸般の規約等により田川市が田川郡東部衛生施設組合より離脱せざるを得ない事態に陥る」のはなぜか?
・「田川市が田川郡東部衛生施設組合より離脱せざるを得ない事態に陥る」ことになる前提とした「諸般の規約等」とはいかなるものか?
・どうゆう理由で「田川市民や事業所から搬出される一般廃棄物及びし尿の処理が出来ず」という事態になるのか?
・なぜ「田川郡東部環境衛生施設組合からの離脱」を強調するのか?
直接田川市自治労の責任者に話を聞こうと組合員を通じて取材を申し入れたが、「取材に応じる必要はありません」が近藤家充執行委員長の答えだった。
脅し文句を並べた後で、「抗議文につきまして代表者会議等の開催及び回答に特段のご配慮を賜りますよう要望します」は、つまり「代表者会議を開け」「回答しろ=謝罪しろ」と同義。田川市の自治労が、組織として脅迫行為に加担したのは明白だ。
市民に選ばれた議員に、脅迫の片棒を担ぐ形となる文書を発出しておきながら、自分たちは説明責任を果たさないというのだから呆れた組織だ。労働組合といえども、自治労のメンバーは全員が公務員。本当に「公僕」としての自覚があるのだろうか……。