看護学院パワハラ調査、第三者委を再設置|北海道が方針示す

昨年春に表面化した北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、3年前に自殺した江差看護学院の男子学生(当時22)の事案について、北海道が新たに第三者による調査チームを設置する考えをあきらかにした。メンバーは弁護士や心理学の専門家などを想定しており、現時点で関係機関に人選を依頼中という。同事案は昨年の第三者調査ではハラスメント認定されなかったが、今年に入って遺族から再調査の要望を受けた道の担当課が「事案の重大性に鑑み」第三者調査委の設置を決めた。

◇   ◇   ◇

道の調査方針が明かされたのは、8月2日の北海道議会保健福祉委員会。昨年6月から看護学院のハラスメント問題を追及し続けている平出陽子議員(民主、函館市)の質問に、担当課が次のように答弁した。
「事案の重大性に鑑み、調査の客観性が充分に確保できますよう、昨年度実施した調査の手法も参考に、弁護士及び心理学の専門家からなる新たな第三者調査委員会を設置することとし、現在、関係団体に委員の推薦を依頼しているところであり、こうした状況につきましても、ご遺族側にお伝えをし、ご理解をいただいております」

昨年度までに計53件のハラスメント被害を認定した旧第三者委のメンバー3人は現在、江差看護学院の「学院運営アドバイザー」に就いている。旧委員会解散後、道は新たに寄せられる被害申告について、原則として昨年11月に一部改訂された『パワー・ハラスメントの防止等に関する指針』に則って対応していくこととしているが、くだんの自殺事案については特例的に第三者による再調査が必要と判断した形。このため、新たに発足する委員会はもっぱら同事案のみを調査していくことになる。

一方、現時点で未認定の被害事案はほかにもあり、2日の議会ではこれについても確認の質問があった。言及されたのは、8年前に紋別の看護学院を中退した男性(30)が訴えている不当な退学勧告や不適切指導など。同事案の対応の進捗を問われた道は、こう答えている。
「道としては『パワー・ハラスメントの防止等に関する指針』に基づく聴き取り調査を実施することとし、現在この方と日程調整を行なっているところであり、今後、調整が整い次第、これまでの江差高看等におけるパワハラ事案を参考にしつつ、必要に応じて弁護士からもご助言をいただくなどしながら、ハラスメントの事実確認を行なって参ります」

同じ議会では、昨年度ハラスメント認定された事案のうち教員による謝罪が未だ実現していないケースについても質問があり、道は学生4人から謝罪の希望があったことを明かした。うち2人はすでに加害教員から謝罪を受けているものの、残る2人については「謝罪の時期や方法で合意がとれていない」といい、道は引き続き被害者の意向を確認していくとしている。ただ、答弁を伝え聴いた保護者の1人は「4月に弁護士を通じて『謝罪は差し控えたい』という文書が届き、それを最後に今日まで何も連絡がない」と証言しており、道と被害者との間で認識に大きな落差があることがわかる。やはり本年春ごろに謝罪を希望する連絡を道に寄せたという保護者も「それっきり連絡が途絶えている」と困惑している状況だ。

先の紋別看護学院出身の男性に関わるハラスメント調査は、8月中に最初の聴き取りが行なわれる予定。江差で亡くなった学生の事案については、新たな第三者委発足まで調査開始を待つことになり、現時点でその時期などは決まっていない。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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