鹿児島市教委、伊敷中いじめ問題で隠蔽を正当化|担当課長も虚偽報告に加担

令和元年に鹿児島市立伊敷中学校で起きた“いじめ”が隠蔽された問題を巡り、学校側が作成した「いじめの実態報告」の記載内容について確認を求めたハンターの記者に対し、鹿児島市教育委員会の青少年課長が「いじめはなかった」ととれる主張を展開。隠蔽を正当化し、「重大事態」の認定を回避しようとする姿勢を露わにした。

市教委事務局は、伊敷中の事案をいじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」と認定しなかった判断を再検討すべきとした下鶴隆央市長の方針を受け、6月3日の会議で教育委員に一連の経緯を報告する予定。その際、「重大事態」の認定回避を狙って、虚偽の調査内容が示される可能性が出てきた。

■いじめ実態報告「記載時期」への疑問

今月28日にハンターが確認を求めたのは、平成31年3月に伊敷中学校が作成した「いじめの実態報告書」の記載内容。学校側が、市教委への開示請求で入手した実態報告の『現状』欄に「環境を変え、新たな気持ちで頑張っている」と記入した上で、『他校への転学、退学等』とすべき選択式の問いに対し、事実と大きく異なるいじめが解消している」と答えていたためだ。市教委はこれまで、ハンターへの説明で、同報告を「令和元年12月に市教委に提出されたもの」と明言していたため、再確認した。(*下の画像参照。クリックして拡大)

環境を変え」は、当然「転校」を前提とする記述。「新たな気持ちで頑張る」も、転校が認められたからこその話となる。しかし、選択式となる報告書の最終チェック欄には、「ア いじめが解消しているもの」「イ 一定の解消が図られたが、継続支援中」「ウ 解消に向けて取組中」「エ 他学への転学、退学等」の4つの内の、「」が記入されていた。

実情は「」の“他学への転学、退学等”だったにもかかわらず、選択された記載は「」。『現状』欄で、意図的に「環境を変え」として「転学」もしくは「転校」という言葉を使わず、結果を示す『状況』欄に無理やり「ア」を導いた形だ。

被害生徒に対するいじめは令和元年の春頃から始まったもので、秋になっても止まず、女子生徒は別室「オアシス教室」での自習を強いられていた。担任や校長らの無策によって、女子生徒はいじめから解放されずに体調をくずし、秋にかけて何度も心療内科を受診する状態となっていたことが分かっている。

こうした状況を憂慮した女子生徒の保護者が“転校”を願い出たのは11月末。12月には市教委に対し、保護者から正式に「指定学校変更申立書」が提出されていた。

転校が実現したのは翌年1月。従って、前年12月は「環境を変え、新たな気持ちで頑張っている」という状態では決してなく、物理的にもあり得ない話だった。

“市教委の「12月に提出された報告書」という説明は間違いでないのか?”改めて担当課を問い詰めたのは、教育委員への説明を前に、市教委事務方の姿勢を確認するためでもあった。

■「虚偽報告」を認めない市教委の傲慢

この報告は、いつの時点のものか――。記者の問いに市教委青少年課の猿渡功課長は、「12月に来たもの。2学期が終わるところで」と断言した。その上で、「いじめの実態報告は、学期ごとに提出され年度末まで上書きされていく」とこれまでと同じ説明を繰り返す。

ならば、期間の欄に「令和元年4月8日~令和2年3月25日」と記された伊敷中の報告書は、年度末に上書きされた最終版のはずだ(*下の画像参照。クリックして拡大)。しかし、課長は「12月時点のもの」と言い張る。

被害生徒の保護者が転校を願い出たのは11月。12月は、いじめが続いていたため、登校することさえ難しくなっていた時期だ。「環境を変え、頑張っている」などという状況でなかったことは明らかで、そんなことは子供でも分かる。何度もそう指摘するのだが、猿渡課長は自身の主張が間違いであることを頑として認めない。

「一度目のいじめがなくなったから……」などと、一連のいじめを分けて考えるという、ばかばかしい話を始める始末。報告書の記載内容は、あくまでも「12月」時点のものだという主張を崩そうとしない。記者が、“では、2例目、3例目のいじめの報告はどこにある!”と詰めると黙り込んだ。

問題の報告内容を3月時点の状況だったと認めると、前述した結果を示す『状況』欄は、「 いじめが解消」のではなく、「 他学への転学、退学等」のにしかならない。隠蔽を学校と共謀してきた市教委としては、「12月時点での報告」は、絶対に譲れないところなのだ。だが、時系列と発生した事実を突き合せれば、市教委の主張に合理性がないことは誰の目にも明らか。見苦しい言い訳が30分以上続いたが、課長が間違いを認めることはなかった。担当課長も、虚偽報告に加担しているということになる。

間違いを犯した子供に対し、大人が教えるのは「まず、謝る」ということだ。しかし、担当課長にそうした姿勢は皆無。教員免許を持った教育委員会の幹部が、小学生でも分かるような間違いを、屁理屈をこねて否定するというのだから呆れるしかない。この人たちに「教育」を語る資格がないこともハッキリしたが、教育委員に、学校と市教委がグルになって隠蔽したいじめの実態をねじ曲げて報告するのは必至。教育マフィアが狙っているのは、「重大事態ではなかった」と結論付けることだろう。

「そこまで疑う必要はない」と楽観視するのは早計だ。事務方として教育委員に事案の報告を行う猿渡青少年課長は、記者とのやり取りの中で、いじめを告発した女子生徒と保護者の主張を「まちがい」と発言し、当時の学校側による事案の矮小化を支持する姿勢を鮮明にする。子供に寄り添うのではなく、教員仲間と自分たちの保身に走る市教委幹部の言い分と暴言を、明日の配信記事で詳しく報じる。

 

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