事実関係を知った関係者が異口同音に発したのは、「やっぱりね」だった。
福岡県田川市、川崎町、糸田町、福智町の1市3町で構成する一部事務組合「田川広域水道企業団」への情報公開請求で入手した資料から、同企業団が整備を進める新浄水場(仮称・白鳥浄水場)建設工事への関与が噂されていた永原譲二大任町長のファミリー企業「株式会社 鷹羽建設」と「有限会社 譲」の2社が、土木工事の下請けとして参加していたことが明らかとなった。新浄水場の整備にあたっては、永原町長の義理の弟にあたる二場公人氏が田川市長を務めていた時期に「譲」の土地を建設用地の一部として買収していたことも分かっており、旧・二場市政と永原町長の結びつきの強さが浮き彫りになった格好だ。
■土木・建築工事に「 鷹羽建設」と「有限会社 譲」
新浄水場の建設工事を巡っては、本体工事に係る主な契約が、すべて1者応札によって業者が決まるなど不審な点が多い(既報)。また、電気設備工事を受注した特定建設工事共同企業体(JV)の構成員企業「リクデン」が陸田孝則田川市議会議長のファミリー企業で、同工事の契約から2か月も経たない時期に、議長がリクデン側から公職選挙法が禁止する「特定寄附」を受けていた疑いも持たれている(既報2)。
新浄水場建設の主な契約は3件。工事の内容によって下のように分けられており、落札業者と契約金額、落札率は表の通りだ。
【土木・建築】白鳥浄水場(仮称)及び大浦調整池建設工事
【機械設備】白鳥浄水場(仮称)機械設備設置工事
【電気設備】白鳥浄水場(仮称)外電気設備設置工事
問題は、電気設備工事だけでなく、土木・建築工事にもあった。「白鳥浄水場(仮称)及び大浦調整池建設工事」を落札したのは飛島建設だが、企業団が開示した施工体系図を確認すると永原町長のファミリー企業「株式会社 鷹羽建設」と「有限会社 譲」が登場する。
「鷹羽建設」の代表者は永原町長の実子、「譲」の代表者は町長の娘婿だ。つまり2社は永原氏のファミリー企業。永原氏の義弟である二場公人氏が市長だった令和3年11月には、「譲」が保有していた土地を、田川市が新浄水場の一部用地として買収していた。
■元請「飛島」は永原氏と深い関係
土木・建築工事を受注した「飛島建設」は、1億円トイレで知られる大任町の道の駅「おおとう桜街道」の建設工事を受注したことで知られるゼネコンだ(*下の画像参照)。
かつて永原氏は飛島の株を大量に保有していたと言われており、両者は極めて近い関係。その飛島の下請けに町長のファミリー企業が2社も入っていたというわけだ。
150億円もの公費が投じられる新浄水場の建設工事にチラつく永原町長の影。この事業には、別に大きな疑惑があり、次稿で詳細を報じる予定だ。