安倍派裏金事件「元締め」は・・・

東京地検特捜部が手がけた政治資金パーティー裏金事件で、2月13日、自民党は「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査結果」を公表。政治資金収支報告書への不記載が判明した議員が、2018から22年の5年間で、現職議員82人、選挙区支部長3人の合計85人に上ることを明らかにした。総額5億7,000万円。とんでもない裏金の規模だが、特捜部が立件した谷川弥一前衆議院議員、参議院議員の大野泰正被告、逮捕された衆議院議員の池田佳隆被告の事例は、離党したことなどを理由に含まれていない。一連の動きについて、安倍派関係者の間からも不満の声が上がっている。

◆   ◆   ◆

離党あるいは辞職した議員が調査対象から外れた一方で、「支部長」となっている落選中の元職3人が対象となった。ある安倍派の参議院議員が不満を漏らす。
「池田さんや谷川さんたちが含まれていないのは問題です。安倍派では、20年以上も前から派閥が“不記載”を指導してきた。元締めが誰なのか、まずそこを調査しないと全容解明にはならない。安倍派の裏金議員が2人、3人と集まれば、そういう話になっています。元締めが誰であるか、みんな知っているのですから」

確かに、「元締め」とは誰なのか、安倍派の歴史をたどればすぐにわかる。森喜朗元首相である。安倍派は福田赳夫元首相が1979年に「清和会」として発足させた。それが「清和政策研究会」と名を改めたのは1998年。森元首相が派閥会長に就任した時だ。

安倍派の中では「森元首相は自分が派閥会長になっても、カネは出したくなかったらしく、政治資金パーティーを頻繁にやるようになった。回数が増えると、パーティー券の売れ行きはにぶる。そこで、ノルマを課して、オーバーした分はキックバックという方式を考え出した。やりはじめた当初は政治資金収支報告書に記載していたのかもしれないが、それなりに適正な処理がなされていたと聞いている。ノルマがふくれあがり派内からクレームが出始めると、政治資金収支報告書には記載しなくていいという解釈が伝わり、それが当たり前になった。多くが森元首相の発案だと思っている」(前出・安倍派の参議院議員)

その森元首相の地元は石川県だが、衆議院議員3人、参議院議員2人のうち、石川3区の西田昭二衆院議員(岸田派)を除き、全員が安倍派で裏金議員。現職知事も元議員も安倍派出身だ。

・衆院石川1区 小森卓郎 70万円

・衆院石川2区 佐々木紀 184万円

・参院 岡田直樹  774万円

・参院 宮本周司 1,482万円 

・馳浩石川県知事 819万円

山田修路元参議院議員 365万円

どこを見ても、裏金づくし。閣僚経験のある岡田氏はこれまで「適正に処理している」と答えていたが、改めて774万円の裏金を受けとっていたことが明るみに出た。宮本氏は、裏金公表前に財政金融委員長を辞任して“逃走”する始末。馳知事については、能登半島地震の対応のお粗末さに加え、政治とカネの問題もあって、本サイトで報じてきた通りだ(既報)。

ちなみに、馳氏に裏金受け取りの反省はなく、X(旧ツイッター)で《本日2月2日(金) 20:00〜 BSフジLIVE プライムニュース@primenews_にリモート出演の予定です。発災から1か月が経過し、被災地の現状や課題、「創造的復興」に向けての取り組み等をお話しさせていただきます》などと、パフォーマンスに余念がない。

馳氏と知事選で戦った山田氏も裏金議員。石川県は、森元首相によって汚染されたと言っても過言ではあるまい。

岡田氏や馳氏を応援してきたという石川県の支援者はこう話す。
「以前は、岡田、馳の2人に加えて森さんのパーティー券も買っていました。当然、派閥のパーティー券もです。いつも10枚で額は20万円だったと思います。かなり以前から、派閥のパーティーに限ってチケットは届くが領収書がないということが度々ありました。議員の秘書に聞いたら口ごもって、明確な答えがないのでずっと変だなと思っていましたが、裏金報道で納得しました。昨年12月、その秘書に聞いたら『申し訳ございません』と頭をさげるばかり。他の支援者によれば『森元首相時代からパーティー券の売り上げをごまかすのが慣例。領収書は発行して当然だが、誰も口出しできない雰囲気だった』と言っていました。裏金もらっていた政治家がバッジをつけ、あるいは知事になって偉そうにしている。まじめに企業を経営して、応援しようとカネを出してきた私たちまで白い目でみられているようで、気分が悪い。裏金政治家は、いったん辞職すべきでしょう。もちろん知事もですよ」

森元首相の“老害”を象徴するような話ばかりだが、当の本人は「入居金1億円」とされる東京都千代田区の豪華老人ホームで悠々自適の生活。ある自民党幹部があきれ顔で話す。
「2月11日に行われた細田博之元衆議院議長の葬儀には島根県まで駆け付けている。普段も、老人ホームから夜の会合に出席するなど衰え知らず。権力欲が元気の源なんだろうな」

国民の思いが理解できていないらしく、森元首相の引き立てで知事にまでなった馳氏は、2023年10月28日のブログで次のように記して親分を持ち上げた。
《まさか森喜朗会長がご来賓としてお見えになるとは知らなかった。腰椎骨折してリハビリ中のはずじゃなかったの?テーブルについて目の前に森会長の笑顔を拝見して飛び上がって最敬礼。「キミがちゃんとやってるか確認しにきたんだよ!」と笑顔で話しかけてくださった。まだ回復が十分ではない中、ご挨拶ではわざわざ車椅子から立ち上がり、テーブルに両手をついて巨体を支え、マイクを途中から村山たかし金沢市長に持たせて大演説》

通常国会では、裏金事件に関与した安倍派幹部の参考人招致が野党から求められている。今こそ森元首相を国会に呼び、裏金事件の真相を問いただすべきではないのか?

 

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