北海道新聞・労組アンケートの衝撃|「経営に不信感」6割超

昨年末に社員の在職死急増が話題となった地方紙・北海道新聞で今月上旬、同社労働組合が行なったアンケート調査の結果がまとまり、多くの組合員が社に強い不信感を抱いている現実が浮き彫りとなった。

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関係者を通じて筆者が入手した資料によると、道新労組は昨年12月、「『働く』に関するアンケート」と題して組合員の意識調査を実施した。設問は自由記述も含めて全29問あり、うち20問弱が現在の労働環境などへの評価を求めたもの。512人から回答を得た労組は今月上旬から組合員向けの『速報』で調査結果を報告し始めたところで、同9日の時点で計12問の概要があきらかにされている。

最も単刀直入な質問「この会社で働くことに満足していますか」に対しては、「満足」と解釈できる回答が全体の7.2%に留まり、残る9割あまりのうち実に67.9%が「満足していない」と答えていた。

「会社に対しての不満」では「経営に対する不信感」と回答した人が61.9%に上り、逆に「満足につながること」としては「賃金水準」が最多の41.2%を占め、「経営への信頼」は最低の2.3%だった(※ 複数回答可の設問、以下同)。

「働く動機」を尋ねる問いでも「収入」が2位以下を大きく引き離し、回答率64.2%で首位となる身も蓋もない結果に。さらに「働くことについての気持ち」への回答では「今の道新にはあまり魅力を感じない」が44.7%でトップとなり、「会社に愛着がある」と答えた組合員は20.9%に留まった。

近年、若手記者などの離職が相継いでいる中、「働き続ける人を増やすためには何が必要か」の問いかけには「将来展望が示されている(こと)」との回答が61.9%に上り、つまるところ現時点でそうした展望が見えていない社員が多い現実が示された。

社の経営姿勢への評価を尋ねる設問には、経営陣に対して批判的な回答が上位に集中する結果となった。回答率の多い順に記すと、下のようになる。

・経営陣の社員への説明が足りない…59.4%

・経営陣の顔が見えず、社員のために汗を流していると思えない…50.5%

・業務のスクラップ&ビルドが迅速に行えていない…49.3%

・適材適所の登用がなされていない…37.5%

・人事評価制度が適切ではない…29.6%

先述の通り、道新では若手などの離職に歯止めがかからない状況が続く。春の人事異動では現場の欠員が編集系だけで22人に達し、補充の目途も立っていないという。若手のみならず地方の支局長が退職するケースも散見されており、中堅記者の1人は「もう報道機関とは言えない」と苦笑しつつ次のようにこぼす。

「去年の10月ごろ、報道センターの幹部が朝から酔っ払って会社に来て若手に暴言を吐きまくる事件がありました。当人は釧路の編集委員に異動になり、それで『みそぎ』のつもりなのかもしれないけど、受け入れることになる釧路の記者たちが可哀相。そもそも社長は現場に関心がない人で、支局にしても本社にしても社員の苦労を知ろうともしていない。夏に完成予定の新社屋の間取りにも現場への配慮がなく、あんなビルでは誰も会社に行かなくなると思いますよ」

現状、社員の会社離れへの効果的な対策はなさそうで、先の記者は「自分も含め、至るところに駄目な奴がいるのが今日の道新。結果、まともな人から辞めていくことになるわけです」と、ほぼ諦めの境地に達している。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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