再燃する旧統一教会問題

 盛山正仁文科相に続き、林芳正官房長官も旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)と密接な関係にあったことが明らかになった。林氏は、安倍派の裏金事件で東京地検特捜部から取り調べを受け「更迭」された松野博一氏の後任として官房長官に就任。岸田文雄「次」の総理・総裁を狙う有力者だが、思わぬところで躓いた形だ。

 裏金問題で揺れる自民党に、旧統一教会の問題まで再浮上。岸田政権の足もとが、大きく揺さぶられる状況となっている。

■狙われた林官房長官

 今月8日、朝日新聞は《林芳正官房長官が2021年9月に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体の関係者と面会していたことに関し、団体側が当時、同年10月の衆院選に向けた事実上の「政策協定」にあたる推薦確認書を林氏側に提示して選挙支援を申し出ていた》と報じ、林氏と旧統一教会関係者が並んでいる写真も掲載した。

 林氏は、自民党のアンケート調査に対し旧統一教会との関係は「ない」としていたが、記事によると旧統一教会側は「推薦確認書」を示して応援を約束していたという。岸田派幹部だった衆議院議員がこう話す。
「林さんは岸田派座長を務めており、岸田首相にとっては切り札的な存在。それが旧統一教会との写真まであったというのだから、相当やばい。盛山氏も岸田派で、国会での追及に『推薦確認書にサイン』まで認めている。ここにきて、旧統一教会側が次々に岸田派絡みのリークをしている感じがする。中枢が揺さぶられており、政権基盤が益々危うくなっている」

 解散を決めた岸田派の中には、「旧統一教会と仲がいいのは安倍派。総理によって派閥解散にまで追い込まれ、恨みたっぷりだ。旧安部派の連中が裏で動いて岸田おろしを画策しているのではないか。確かに、裏金議員の中には旧統一教会と親しい連中がかなりいる」と訝る声もある。

 旧統一教会とどっぷりな関係とされてきたのは、下村博文元文科相と萩生田光一前政調会長の両衆院議員、参院議員は江島潔、北村経夫、井上義行の各氏で、いずれも裏金事件で名前が浮上していた。

■山谷元国家公安委員長にも旧統一教会疑惑

 裏金事件で萩生田氏とともに注目を集めているのが、派閥から2,403万円ものカネを受け取っていた山谷えり子元国家公安委員長。山谷氏は自民党のアンケート調査で、林氏と同様に旧統一教会の支援は「ない」と回答していたが、それが「嘘」だと思われる資料をハンターが入手した。

 2000年代半ばに旧統一教会の信者が書いた《山谷えり子 選挙応援の記憶》という文書が、いまも旧統一教会と戦ってきた関係者のファイルに残っているのだ。そこには、2003年の衆議院選挙で山谷氏が「保守新党」から出馬した際、旧統一教会の信者が応援に関与していたことが記されている。

 文書によれば応援は旧統一教会の信者4人の女性が行ったそうで《出発前アベル(上司)から「教会の名前は明かさないで」と言われた》とあり、表に出せない応援であったことが伺える。

 山谷氏の事務所では、お茶出しやポスター貼りなどに従事したそうで次のような記載がある。

・《ピンポーンとインターホンを押し「山谷さんを応援している者です」といった自己紹介をし、「お家の外壁に選挙が終わるまでこのポスターを貼らせていただけませんかと?」とお願いをする》

・《ポスター貼り、断られてもそこをなんとかという風に粘る。小泉首相と握手した写真を見せる。とうとう根負けして許可をくれる。三回否定されるまでという気でやった》

 ウグイス嬢をやったことも書かれている。

・《渡されたのは「山谷えり子は〇〇します」といった、10項目のアナウンスマニュアル。ざっと目を通し、なるほど「み旨を進める人だ」と感激したのを覚えている》

・《(マニュアルの)文章はお父様(旧統一教会の創始者、文鮮明氏)のみ旨と似ているねと4人で小声で話した》

・《み旨に関わっていないと一生涯ウグイス嬢なんでさせてもらえなかったと思うと、ほんとにわたしはこの道(旧統一教会の信仰)にきてよかった》

 つまり、旧統一教会の「教え」である「み旨」を山谷氏が主張、実践するような候補者であり、だからこそ選支援をしていたということだ。さらに文書には、具体的な様子まで書かれている。

・《一人ずつマイクを持って全文を交代で読んだ。残り3人は窓の外にいる人々に手を振って明るく「山谷えり子をよろしくお願いいたします」と大声を出した》

そして、旧統一教会と山谷氏の関係が気になったのか、こんな記述もある。

・《山谷さんが祝福(旧統一教会の合同結婚式などの参加)を受けているか気になった。まぁ、最初は堕落圏で結婚しているので、祝福を受けたとしても既成祝福で、そんな急ぐこともないと思った》

・《お父様(文鮮明氏)日本入国のために山谷さんに頑張ってほしいと思った。山谷さんは神様に相当期待されている人物》

 これまで山谷氏は、旧統一教会との関係を疑問視されながら、記者会見も開かず沈黙してきた。政治資金パーティー事件では、2,000万円を超える裏金をもらっていたにもかかわらず、X(旧ツイッター)上に、“平成30年分から令和4年分の5年間における収支報告書への未記載金額は、2,403万円でございました。本来は清和政策研究会からの寄附として収支報告書に記載すべきものであったとのことであり、深く反省しております”と投稿しただけ。“ノルマ超過分については、近日中に清和政策研究会に全額を寄附として返還したい”とあるが、安倍派は解散し清算作業に入るとしており、簡単に返還できるとは思えない。返す政治団体がなくなってしまうのに、どう返還するのか?

 「山谷さんは閣僚経験もあるのに、旧統一教会との問題や裏金事件では、ずっとだんまり。みっともない酷い対応」と自民党の若手議員が怒りを露わにする。自民党は、旧統一教会との関係も再調査すべきだろう。

 

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