1日、政治団体「大阪維新の会」の看板政策で、同団体や公明党が実現を目指してきた「大阪都構想」の是非を問う住民投票が実施され、開票状況から「反対」が「賛成」を上回ることが明らかとなった。維新の看板政策「都構想」は実現しない。
大阪都構想は、大阪市をなくし、現在24ある区を4つの特別区にまとめるというもの。松井一郎大阪市長が代表を務める大阪維新の会は、『大阪府と市の二重行政を解消して、未来に向かって効率的な行政運営を行うとともに、大きすぎる市役所を再編してより身近な自治体をつくり、住民の声が届く制度に変えていく必要があるから』として、都構想を政策の「1丁目1番地」に掲げてきた。
都構想の是非を問う住民投票は、2015年に続いて2度目。前回は、熱狂的な支持者がいる橋下徹大阪市長(当時)が先頭に立って「賛成多数」を目指したものの、僅差で「反対」が勝利。再挑戦となった今回の住民投票は、事実上、維新の命運がかかった戦いになるものと見られていた。
2019年4月の大阪府知事選、大阪市長選のダブル選挙では、大阪維新の会が圧勝。新型コロナウイルスへの対応で吉村洋文府知事の人気が上がったことや、前回の住民投票で「反対」の立場だった公明党が維新と手を組んだことで、「賛成」が勢いを増していたが、告示後に注目が集まったとたん情勢一変。都構想のマイナス面が明確になったこともあり、「大阪市をなくしたくない」とする反対意見が日ごとに増える状況となっていた。
前回の住民投票では、反対多数を受けて橋下徹氏が政界引退を宣言。今回、都構想が否決された場合の出処進退について松井大阪市長は、日本記者クラブでの会見で「勝つためにやっているが、負けたらそこで僕自身の政治家としては終了」と述べている。
午前7時、市内365カ所の投票所で始まった住民投票は、午後8時で終了。午後9時から市内24カ所で進められた開票で、「反対」が「賛成」を上回ることが確実となった。有権者は約223万人。投票率62.35%。