長期間にわたる生徒へのハラスメントが疑われている北海道立江差高等看護学院の問題で2日朝、地元誌『北方ジャーナル』の取材を兼ねて現地を訪れた筆者に対し同校の副学院長が対応を拒否、ハラスメントの事実について否定も肯定もしなかった。副学院長は「道の担当課へ」と繰り返すのみで、事実上の門前払いをもって説明責任を回避した形だ。
筆者が同学院を訪ねたのは、2日午前9時ごろ。事務を通して責任者の取材対応を願い出たところ、対応すべき副学院長は「道の担当課を通じて取材依頼を」との伝言を職員に託し、自身は姿を現わそうとしなかった。これを疑問に思った筆者が「挨拶だけでも」と重ね、職員の再度の説得でようやく対応に至ったものの、疑われるハラスメント問題については一貫して「お話しできない」と回答を拒否し続けた。おもなやり取りは、以下の通り。
ーー生徒さんへのパワハラについて事実確認を。
副学院長:道のヒライ主幹に連絡してください。ーー何課の人ですか。
副学院長:保健福祉部です。ーーいや、保健福祉部の何課?
副学院長:(笑いを浮かべ)医務薬務課です。ーーなんで笑うんですか?
副学院長:こちらではお話しできませんので。ーー今、目の前にいらっしゃる。なぜ話せないんですか。
副学院長:道の所管ですので、道が対応することになります。ーーこの学校がまさに道の機関でしょう。
副学院長:お話しできません。ーー過去にはほかの社の取材に対応してませんか?
副学院長:道に連絡してください。ーーあなたご自身のパワハラ疑惑もあります。このままだと被害者側の言い分のみで記事を作ることになりますが、それでいいんですね。
副学院長:脅しですか。ーー え?
副学院長:脅しと受け止めました。ーー脅しというのは「こうしろ、さもないとこうしてやるぞ」っていうもんでしょう。
副学院長:ご自分で何を仰言ったかお考えを。ーー私、なんて言いました?
副学院長:(笑みを浮かべ)言いません。ーーパワハラがあったかなかったか、だけでも答えられない?
副学院長:お話しできません。ーー老婆心で申し上げる。ハラスメントは、必ずしも音声・映像などの客観的証拠がなくても詳細なメモや関係者の証言で認定されますよ。
副学院長:お話しできません。ーーパワハラがなかったら「なかった」の一言で済むでしょう。あったともなかったとも言えない?
副学院長:お話しできません。お引き取りください。
同学院をめぐっては、今月7日に道の担当課が保護者などへの説明会を開く予定が伝えられている。
なお、江差看護学院のパワハラ疑惑については、月刊誌「北方ジャーナル」でも詳細な取材結果を掲載する予定だ。
(小笠原淳)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 北方ジャーナル→こちらから |