霊感商法・統一教会による宝石販売「BIBLE」入手

スマートフォンを少し大きくしたカタログには、華やかに輝くペンダントやブローチなどが掲載されている。

表紙には『BIBLE SERISE 聖書シリーズ』とあり、プロローグには《永遠のベストセラーといわれる聖書”、“貴方の心に「永遠の神の愛」が啓明となり、絶えず美しく”輝き続けることを願って創られました》と書かれている。

 

ごく普通の宝石のカタログなのかと思ってしまうが、これは、旧統一教会(現在・世界平和統一家庭連合)が霊感商法で宝石などを販売するために使用していた「販売ツール」なのだ。

◆   ◆   ◆

旧統一教会の霊感商法は、壺、多宝塔、高麗人参のお茶などの販売が有名だ。しかし、1980年代から1990年代にかけて全国で霊感商法の被害が続出。危機感を抱いた教団は、商品を変える。「壺や多宝塔とやれば、すぐに統一教会じゃないですか。そこで、商品を変えろと本部からおりてきたのが高級感がある宝石でした」(元信者)

『BIBLE』をよく見ると、霊感商法ゆえに素性を隠そうとしているのか、発行、販売元が記されておらず、さらに怪しさを募らせる。これを手に暗躍していたのは、当時は大阪市に本社があった「アイビー」という会社だ。

8月19日の配信記事(「地方も揺るがす旧統一教会 」)に登場したのは、大阪市の施設を買い取って旧統一教会に転売した「優美」という会社。実は、この優美とアイビー両社の役員名簿に記載された人物が、何人もいる。両社は、旧統一教会のダミー会社なのだ。

旧統一教会では、顧客を集めるために健康フェアーと呼ばれる高麗人参のお茶を売る「マナ展」、印鑑や壺は「S展」、宝石は「ブルー展」と呼ばれる展示会を開催していた。ある元信者が当時を振り返る。
「壺の場合は、“ご先祖が苦しんでいるのは因縁があるからだ。壺を買えば、因縁や不幸を吸い取ってくれる”などという販売トークでした。宝石の時は、“永遠の輝きが霊界で苦しむご先祖様を照らして、救い出すことができる、みなさんが天国に行ける”などと言っていましたね。もちろん、ご先祖なんて見えるわけがありませんからデタラメです。そうやって、怖がらせ、不安にさせて高額商品を売り付けるのです」

前述したたように『BIBLE』には、価格の一覧表がついている。これまで、旧統一教会の霊感商法について度々報じてきたが、壺や多宝塔は『Invitation Card』という調査票のようなものに、相手の家族構成、経済力などを徹底的に調べ上げて、「1,000万円以上つぎ込ませることができる」ならSランク500万円以上ならAランクと格付けしていた。つまり、相手の懐具合によって、壺や多宝塔の値段が違っていたというわけだ。だが、宝石には『定価』が設定されていた。

「当時、何千万円という値段で、多宝塔を売り付けたりしていた。だが、裁判になると弁護士費用が大変なので、ある時期から一定額を返金して和解するようになった。Aさんは多宝塔を1千万円で買ったがBさんは4千万円、といった具合にバラバラで、より批判を浴びることになりました。そこで、霊感商法ですが、“定価がないとまずい”となって、価格の一覧表をつけたと聞いています。また、すでに壺や多宝塔を複数買っている人もいて、同じ商品ならまたかとなってしまう。そこで、宝石という目新しいもので、引っ張ろうという戦略だったんですね。宝石なら品目も多く、特に女性は買いやすい」(前出の元信者)

『BIBLE』には「清麗」「愛の恵」「新天地」といったペンダントなどの商品名が並ぶ。最高額は「宴の時」というペンダントで715万円もする。次いで高額なのは「心情の泉」で540万円。平均をとっても100万円近くになる。

旧統一教会の霊感商法をいち早く報じた「朝日ジャーナル」(朝日新聞社・現在は廃刊)の当時の記事によれば、壺や多宝塔は、旧統一教会の関連会社である韓国の一和石材で製造されており、その原価を石材価格から算出すると壺が3万円程度だったことが報じられていた。それが、霊感商法で10倍、100倍という価格で売られていたという。宝石の場合はどうなのか?

「宝石類も、韓国の一和関連の会社で製造されていると聞いていました。心情の泉が540万円ですが、原価は10万円か20万円ほどじゃないかと言われていました。一応、保証書もありましたが、旧統一教会のダミー会社のものですから、まったく信用はありません。壺や多宝塔は相手によって売価を変えていたのですが、宝石は定価があったから、まだ罪悪感が軽減されていたというのが正直な感想です」(前出・元信者)

その後、宝石も霊感商法だとバレてしまい、全国各地の被害者からクレームが殺到。旧統一教会は対応に追われることになる。そこで、裁判をさけて、一部を返金して和解していったというわけだ。

ハンターが入手した「保証書」の発行者はアイビー。まさに旧統一教会そのものだ。(*下の画像参照)

1998年4月に、ダイヤ入りクオーツペンダントを77万円で買わされた被害者が、2003年に交わした合意書には、アイビーが46万2,000円を返金するという内容だった。買ってから5年後に返金を受け入れざるを得ないという、旧統一教会の苦しい内情がみてとれる。

「旧統一教会とすれば、原価が安く、現場で売っている販売担当の信者には手数料、マージンは支払います。しかし、結局は旧統一教会の寄付で吸い上げるのでほとんど儲けになる。だから、返金しても旧統一教会としてはそう被害がない。タダ働きさせられた信者もある意味、被害者です。本当にキチンと商習慣に則り販売していれば、簡単に和解などしませんよ。それだけ後ろめたいことがあったという意味だと思います。旧統一教会は社会に害を与え、人々を苦しめているだけなのはこれまでの歴史で明らか。安倍元首相の事件で社会問題となっている今が、旧統一教会を解散させる最高のチャンスのように感じます」(旧統一教会と長くかかわる弁護士)

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