まさに狂った町政だ。元暴力団幹部が所有していた息子名義の別荘で賭け麻雀を繰り返していたことが明らかとなった福岡県田川郡大任町の永原譲二町長が、5期目の当選を決めた今年3月の町長選の約1カ月後、熊本県内の旅館に関係者らを集め、性的なサービスを行うコンパニオンを呼んで宴席を設けていたことが分かった。町長は宴会冒頭で当選の謝辞を述べており、目的は明らか。宿泊と宴会の料金は町長側が支払ったとされ、いわゆる「事後買収」の疑いがある。
◇ ◇ ◇
当選御礼目的とされる宴会が開かれたのは、永原氏が5回目の当選を決めた大任町長長選挙(3月28日投開票)から約1カ月後の4月24日。熊本県内の温泉街にある旅館に、町長側から声を掛けられた25名ほどの関係者が集まり、夜の宴席に参加していた。
宴会は永原町長の弟が仕切る形ではじまった。まず町長本人が当選できたことに礼を述べて関係者をねぎらい、続いて、町長選と同時に執行された町議補選で無投票当選した末廣聖法(すえひろ まさつね)町議も挨拶に立っていた。
その後は、性的なサービスを行う「ピンクコンパニオン」15名ほどを交えての乱痴気騒ぎになったという。参加者らは「会費は払わなかった」と話しており、宿泊を含めた費用はすべて町長サイドが支払ったものとみられている。
確認したところ、宿泊も含めた費用はピンクコンパニオンの代金を入れて一人当たり最低でも17,000円。総額で40万円以上になった可能性が高い。
非常識な宴会には、大任町の職員2名と田川市の職員が1名参加していたという証言がある。
公職選挙法は、当選を目的とした選挙前後の供応接待を禁じており、御礼目的の宿泊や宴会は違法。永原陣営の菊池市での乱痴気騒ぎは、罪に問われる可能性がある。
ちなみに、永原町長の一行が熊本県内で乱痴気騒ぎを行った4月24日頃は、どのような社会状況だったのか――?
同月19日に臨時記者会見を開いた福岡県知事は、「4月20日火曜日から5月19日水曜日までの期間、日中も含め、不要不急の外出を自粛してください」と呼びかけ。4月23日には熊本県が、新型コロナウイルスの感染急増を受けてリスクレベルを「5」に引き上げることを発表し、県民には、県外への不要不急の移動を控え感染防止に努めるよう訴えていた。
こうした状況下に、全国町村会の副会長を務める永原氏が、コンパニオンも含めて40人近い人間を集めて乱痴気騒ぎ――。正月には賭け麻雀に興じたあげくコロナに感染していた同氏には、規範意識はもちろん、良識のかけらさえないということになる。
異常な行動を繰り返している永原氏は8日夜、町政刷新を図ろうと印刷物を配布していた市民団体のメンバーに特殊警棒を持って襲いかかり、県警田川署で事情聴取を受けていた。政治的な圧力を受けたのか、田川署は事件としての処理を避け、被害届の提出を拒んでいるという。警察が悪党を庇うという理不尽が、筑豊ではまかり通っている。