北海道新聞が記者逮捕問題で「全社説明会」|保身の幹部ら逆ギレ、恫喝

 新人記者の「侵入」事件から2カ月あまりが過ぎた1日午後、渦中の北海道新聞が初めて「全社説明会」を開き、幹部職員らが改めて事件当時の状況や社の対応などを説明した。参加した記者によると、幹部らは現場記者からの質問に“逆ギレ”するなど、飽くまで対応に誤りがなかったことを強調し続けたという。

■まるで「謝ったら死ぬ病」

説明会があったのは、1日午後2時半から同4時半ごろまで。本社以外の社員も参加できるよう、オンライン会議システム「 ZOOM 」を利用する形で開かれた。8月上旬に労働組合が社に要望を寄せ、編集局長による説明の場を求めていたところ、社が同下旬までに説明会開催を決めたという。開催前日までにZOOMのIDやパスコードが社内周知され、質疑応答への参加も可能なことが伝えられた。

参加した同社の記者によると、説明会では編集局長が事件当日の状況などを説明したが、内容はこれまでの説明の繰り返しに終始し、社命で取材にあたって逮捕された新人記者を実名で報じたことなどへの反省は「なんら見られなかった」という。記者教育を担当する幹部職員の話も一般的な話題に留まり「特に内容のないもの」となり、続く質疑応答もまた、参加者に言わせると「見苦しいもの」だった。

「怒って質問する記者に幹部が大声を張り上げて逆ギレしたり、まるで『謝ったら死ぬ病』。とにかくポストにしがみついていて見苦しい。『実名報道は記者を守らないこととは違う』と言っていたが、実際守ってないし、『責任をとらないとは言っていない』と言いつつ、とらないと思う。挙げ句、一番腹が立ったのは『ご意見として伺いました』。自民党税調や総務会の使う言葉ですよ」

道新の社員は現在、各地の支局員なども合わせて約1,300人。1日の説明会には、オンライン上の出入りはあったものの最大で220人ほどが参加したという。新人記者逮捕から2カ月以上を経ての説明会開催予定が伝えられた際には「ようやくここまで来たか」と受け止める記者もいたが、蓋を開けてみれば幹部らは事件発生当時と変わらず保身に必死だったようだ。当日はまた、新人記者を取り調べた北海道警察が未だに捜査を終えていない事実も報告されたといい、当事者は今なお逮捕当時の不安を拭いきれていない可能性がある。

関係者によると、実名表記を主導したとされる報道センターの幹部は「雑誌とかに書かれてはいるが読者からは批判が聴こえてこないから問題ない」と嘯き、「よけいなことは言うな」と若手記者らを恫喝しているという。こうした状況が伝えられる限り、現在の道新に報道機関としての矜持を求めるのは難しい。公共施設への立ち入りを「侵入」扱いした警察の不当捜査を追及する動きも、当面の間は期待できないだろう。

説明会は2度に分けて設けられることになっており、2回目は2日午後6時から、同じくリモート形式で開催される。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
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