福岡県添田町の中嶋浩二町議会議員側が、町内で行われた祭礼のため地区ごとに設けられた8か所の休憩所に、20本入りのビールケースを1函ずつ寄附していたことが分かった。公職選挙法が禁じる「選挙区内の寄附」にあたる疑いがある。
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中嶋氏側がビールを寄附したのは、今月11日と12日に町内で行われた「須佐神社神幸祭」の神輿巡行のため各所に設けられた休憩所。町内8箇所の休憩所すべてに、中嶋氏のファミリー企業「添田環境サービス」という社名と同氏の名前が明記されたビールケースが寄附されていた(*下の写真はその一部)。
「(有)添田環境サービス」は、し尿や産廃を収集運搬する会社。会社登記等などを調べたところ、中嶋氏は筆頭株主ながら役員に就いておらず、「社員」となっている。
公職選挙法は、《公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない》(199条の2)として、政治家の選挙区内における寄附を禁じており、ビールを配ったのが中嶋氏本人の行為なら、同条の規定に抵触する疑いが濃い。
「会社としての寄附」という言い訳も通用しない。同法は、《公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者がその役職員又は構成員である会社その他の法人又は団体は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、これらの者の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならない》(199条の3)と規定しており、添田環境サービスの社員=構成員である中嶋氏の氏名を表示したビールケースを寄附した同社側の行為も、違法とみなされる可能性がある。
中嶋氏側の行為が選挙区内の寄附と認定された場合、ビールを提供した中嶋氏本人もしくは中嶋氏の氏名をビールケースに明記して配った添田環境サービスの役職員が、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金となる。
13日、中嶋氏本人に事実関係を確認したところ、「地域にお世話になっており、人集めも大変な中、なんとかご恩返ししたいと思った」と釈明。「会社がやったこと」と想定通りの逃げを打った。しかし、政治家の氏名を明記して寄附を行った会社の行為自体に違法性があることは前述の通り。その点についても指摘したが、反省する様子はなかった。
福岡県選挙管理委員会は、「一般論」と断りながら、「いかなる名義をもってしても、政治家が選挙区内で寄附することは禁じられています。また、その政治家が社員である会社が、当該政治家の氏名を明記して寄附することも禁じられています」と話している。