江差看護学院パワハラ職員、さらに1人が配置換え|道は被害者対応を弁護士に委任

事件発覚から2年目を迎えた北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で、第三者調査で異動を促されていた教員5人のうち1人の配置換えが決まり、先んじて学院外へ出ていた4人とともに江差保健所で勤務する人事が伝えられた。先の4人と同じく異動を伴わない「兼務在勤発令」で、配置換えは元日付。

◇  ◇  ◇

北海道庁が設置した第三者調査委員会は昨年10月の調査報告で、委員全員の共通意見として江差看護学院の副学院長ら5人の教員を「学院以外に異動したほうがよい」としていた。このうち4人は11月24日付で江差保健所勤務となり、学院に所属したまま被害学生と接触しにくい職場に移ることになったが、残る1人はその後も教員として学院に残り続けていた。今回この1人が保健所に移ったことで、ようやく第三者委の意見が人事に反映された形となる。

この人事は旧年内に固まっており、地元記者クラブ加盟各社には官庁御用納めの12月28日夕に「解禁日」縛りつきで報道発表されていた。これに先立つ同21日には新学院長着任などの人事発令があったが、この時も道は解禁日を設けて発令前日の午後に人事を発表、地元各社が横並びでこれを報じるに到っている。

道のこうした対応が何に由来するのかは定かでないが、本サイトが昨年11月中旬に先の4人の配置換えを独自に報じた際(江差看護学院・パワハラ教員ら月内にも異動へ|「主犯」副学院長は保健所勤務で調整済み)、報道大手が一斉にこれの確認取材に追われた経緯があることから、道が個別の取材対応を避けるため先回りして情報を発信する策を採った可能性が考えられる。

もちろん、記者クラブに加盟していない媒体が解禁日などの慣行を守る必要はなく、本サイトは今後も折に触れて独自に掴んだ情報を発信していく考えだ。教員人事などの重要な情報は何よりもまず当事者へ、即ち深刻な被害を受けた学生たちへ真っ先に提供されるべきで、報道のコントロールをこれに優先させる道の姿勢には本稿をもって疑問を呈しておきたい。

江差看護学院のハラスメントをめぐっては昨年末、被害を訴える学生らに改めて道から一斉通知が届き、被害者への救済対応を「弁護士に委任する」との道の意向が明かされた。通知は12月24日付で、同27日には当該弁護士から各学生に対して「受任通知書」が発送されたことがわかっている。(下の文書参照

受け取った保護者の1人は当初「対応が面倒なので弁護士に丸投げするのか」と疑ったが、24日付の通知に「(救済策は)個別に具体的な検討を進めている」との文言があったことから、引き続き道の対応を待つことにする考え。ただ、別の保護者からは「こちらも弁護士を頼まなくてはならないのか」と困惑の声が上がっており、具体的な救済策が決まらず関係者の不安も解消されないまま、パワハラ問題は年を越すこととなった。

第三者委が異動を促した教員5人の配置換えを終えてなお、ハラスメント関与を指摘されながらも学院に残り続けている教員が、少なくともまだ2人いる。その1人から深刻な被害を受けた学生の保護者は「このまま救済も進まないのではないか」と、失意のまま新年を迎えた。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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