大村愛知県知事、政治資金収支で脇の甘さ露呈

愛知県の大村秀章知事の資金管理団体「秀成会」が自費出版した本を支持者らに無料配布していたことが分かり、公職選挙法で禁じられる有権者への寄付行為ではないかと問題視されている。

■自著を政治資金で買い取り無料配布

「秀成会」が総務省に提出した2020年分の政治資金収支報告書によれば、大村氏は『スタートアップ興国論 (愛知が起こす成長革命)』(PHPエディターズ・グループ)を自費出版。同書を買うために、以下の通り合計154万円を支出していた。
<書籍代 53万9,000円 三省堂書店名古屋本店>
<書籍代 23万1,000円 丸善ジュンク堂書店>
<書籍代 15万4,000円 ジュンク堂書店>
<書籍代 15万4,000円 星野書店>
<書籍代 15万4,000円 三省堂書店一宮店>
<書籍代 15万4,000円 未来屋書店>
<書籍代 15万4,000円 紀伊國屋書店プライムツリー赤池店>
――1冊1,540円で、1,000冊を購入した計算となる。

大村氏は自費出版した本を、開催予定だった政治資金パーティーの参加者に配布するつもりだったという。しかし、コロナ禍で政治資金パーティーは中止。数百冊を支持者に無料で配ったとしている

大村氏は愛知県知事であり、県全体が選挙区。配った支持者に一人でも愛知県の有権者がいれば、禁公職選挙法が禁じる選挙区内での寄付にあたる可能性が高い。

大村氏は農林水産省の官僚から政治家に転身し、衆院議員を5期務めたあと知事になった。現在3期目である。一般的にここまでのキャリアがあれば、出版社などから声がかかり自費出版しなくとも本は出せる。だが、政治資金収支報告書の中には、自著に関するものとみられる次の支出がある。
<コンテンツ作成料 165万円 PHPエディターズ・グループ>
<制作費 239万1,762円 PHPエディターズ・グループ>

また、印刷だけは衆院議員時代の地盤である愛知県安城市の業者に<印刷代 216,480円>を支払っていることがわかる。

税金がかからない政治資金を使い、自分のPRのために本を出版というのは腑に落ちない。さらには、その本を政治資金で買い取っているのだからなおさらだ。

■脇の甘さ

ハンターは、2020年3月24日配信の「詐欺で逮捕の地下格闘技選手と大村愛知県知事の接点という記事でも大村氏の政治姿勢に疑問を呈した。大村氏は、愛知県警に逮捕された格闘家の興行で挨拶に立っていたのだが、その格闘家は指定暴力団六代目山口組の司忍組長の出身母体、弘道会と親しいとされ、のちに逮捕されている。

「秀成会」の政治資金収支報告書をさらにチェックすると、知事と反社会的勢力とおぼしき関係者との関係が見え隠れする。

2020年11月11日、同団体は愛知県近郊でガス事業、温浴施設などの会社を経営しているX氏とその親族から合計24万円の資金提供を受けていたことがわかる。X氏は、独特の発想で地元では名物経営者として知られる人物。だが、2021年7月、公職選挙法違反(詐偽投票)容疑で愛知県警から検察に書類送検されていた。2021年7月20日の中日新聞の記事は、次のように伝えている。

<三月の蟹江町長選を巡り、県警が公職選挙法違反(詐偽投票)容疑で、同町のガス会社のX前会長を書類送検した事件。他人になりすまして投票をするよう親族の女性に指示していたとされ、町関係者は「事実ならば、選挙制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題だ」と話した。関係者によると、「代理投票」が試みられたのは、三月二十八日の投票日。X前会長の妻の入場券を手にした親族の女性が、町内の小学校に設けられた投票所を訪れた。担当の職員が、本人確認で別人と気付いた>

この事件で愛知県警はX氏の会社を家宅捜索。その時の模様について、ある関係者がこう振り返る。
「X氏は最初から替え玉投票については認めていました。動機は、当選した町長が嫌いだというもの。つまり仲が悪いというだけ。公職選挙法違反でこんなたくさんの警察がくるのかと驚きました。ひょっとして、暴力団関係者との付き合いがバレたのかと思ったら、やはり、それを狙っての捜索でした。X氏は創業者ですが、昔から暴力団関係者とおぼしき人と親しいのです。集金の取り立てを暴力団関係者に依頼するなどして、定期的に暴力団関係者にカネを渡していたという話もありました。警察の目的は、暴力団関係者についてのものだったのです」

X氏が親しいのは、六代目山口組弘道会直参の組だと前出の関係者は指摘する。当初は、公職選挙法違反だけだと思っていたX氏は愛知県警の動きに焦り、社内にプロパンガスをまき散らすなど、一時は騒然となったという。「こんなことがバレてしまうと許認可がいくつも必要なプロパンガスの販売、運送ができなくなるので、かん口令が敷かれました」(前出・関係者)

大村氏は、とんでない人物からカネをもらっていたということだ。

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