詐欺で逮捕の地下格闘技選手と大村愛知県知事の接点

愛知県警・中村署は今月3日、愛知県豊明市の元格闘家・大倉利明容疑者、会社役員・安藤慶容疑者ら3人を詐欺容疑で逮捕した。大倉容疑者ら3人は、2017年1月から2月にかけて愛知県大府市で、会社役員の男性から1,500万円をだまし取ったという。

じつは大倉容疑者、愛知県を地盤にした地下格闘技「黒王」の看板選手として地元では知られた存在。しかも、思わぬ大物との接点があった。

 

事件の舞台となったのは、大倉容疑者らが共同経営していたガールズバーだった。被害者の一人で、警察に事情を聞かれている関係者A氏はこう話す。
「2013年から、大倉容疑者と他2人でガールズバーの共同経営をはじめました。大倉容疑者は、地元では知名度があるので、看板的な役割と、ガールズバーなのでトラブルもあり、その対応などにあたっていた」

ガールズバーの経営は順調で、2015年までに3店舗までに拡大したという。事態が動いたのは2017年1月のこと。大倉容疑者は他の共同経営者2人に対して、ガールズバーの女性との「雇用契約書」を持ち出して「店の女の子が警察に訴えると言っている」と告げてきた。

Aさんによれば、「雇用契約書に、遅刻すると罰金を払うことなどを明記していた。確かにそれはダメなこと。大倉容疑者から『警察が捜査に入っている。自分が体はって、警察に出頭する。あとの弁護士費用などを工面してほしい』と言われました。こちらは、すっかり大倉容疑者の話を信用して、ガールズバー近くの駐車場で女性に対しての示談金として1,500万円を渡しました。ところが、渡した相手は安藤の共犯者だったんです」

しばらくして、大倉容疑者はAさんらの前に姿を見せ、「不起訴になった。なんとか、体をはって捜査は止まった」などと話したという。そして、保釈金と弁護士費用が必要だとして追加で700万円を要求。おかしいと思ったAさんは、大倉容疑者に弁護士費用の領収書を出すように求めたが、領収書が提示されなかったことで不審を抱くようになったという。

だが、その一方で、大倉容疑者は「政治家にも頼んだんだ。カネがいろいろとかかる」などといい、資金使途を明かそうとしなかったため、信頼関係は、崩れていく。

 

当初、Aさんらは大倉容疑者の言い分を当初は、信用していたという。そう誤認させる背景があったからだ。大倉容疑者は、地元選出の有力な自民党国会議員の選挙を手伝っていると吹聴していたというのだ。さらに、大物政治家とのつながりがあったことが分かっている。

 

地下格闘技は、信用の問題もあって簡単に会場を借りることができない。ところが大倉容疑者は、2014年12月28日、愛知県豊明市の豊明市福祉会館を借りて、「大倉祭」という地下格闘技のイベントを開催する。

そこに激励にやってきたのは、愛知県の大村秀章知事。誰もが、政治家とのパイプがあると信じたことだろう。大村知事はこの日、自身のツイッターで<格闘技大会「WEED  大倉祭~桶狭間の戦い~」に激励へ。名古屋を中心とする格闘技大会「黒王」ヘビー級チャンピオンの大倉利明せんしゅの地元凱旋試合として開催される大会です。楽しみです。頑張ってください!>とツィートしていた。

 

 

大倉容疑者は格闘家。怒りだすと手が付けられない。一度、胸倉をつかまれたAさんは『この野郎、殺すぞ』と言われ、「本当に死ぬかと思った」と話す。

反社勢力との付き合いもあった。日本最大規模の指定暴力団幹部の名前を具体的にあげて、『仲がいい』などと吹聴していたという。

大倉容疑者は、今回の事件以外でも逮捕された過去があり、本人自身が反社会的勢力ともいえる人物。そんな彼を賞賛し、激励にまで行くというのは、政治家としてあるまじき行為ではないか?

 

その後も1500万円の話は進展せず、Aさんは昨年秋になって、警察に相談にいった。そこで、2017年の雇用契約書をめぐる話はまったく事件になっていないことを知る。大倉容疑者の“自作自演”だったという。

Aさんはこう憤る。
「大村知事が激励にきたのは事実で、そういう政治家とのパイプで信用して、ヤクザと暴力の怖さで何も言い出せなかった。ある意味、大村知事は大倉容疑者の箔付けになっている。知事が反社会的勢力を支援していていいのでしょうか」

(山本吉文)

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