新型コロナウイルス感染拡大に伴い、東京都が不要不急の外出自粛要請を呼びかけた3月28日と29日の週末。普段なら多くの人で賑わう東京の街の様子ははたしてどうだったのか―主要エリアの様子を追った。
■新宿
JR、地下鉄、私鉄各線が乗り入れる主要ターミナル駅で、世界でも有数の乗降客数を誇る新宿駅。到着したのは午前11時過ぎだったが、どこもかしこも目を疑るような人通りの少なさだった。
普段なら昼夜問わず信号待ちの人であふれる新宿駅東口交差点だが、信号待ちをする人は数える程度。かつてお昼の人気番組「笑っていいとも」の収録場所で知られ、待ち合わせスポットのひとつとして知られる新宿アルタ前も、この日に限っては待ち合わせる人の気配はない。
多くの飲食店、遊技施設、映画館などが集中し、昼夜問わず多くの人が往来する日本最大の歓楽街・歌舞伎町。新宿東宝ビルに向かうセントラルロード(通称ゴジラロード)も歌舞伎町一番街もご覧の有り様だ。
地下道(プロムナード)も全くといっていいほど人が歩いていない。店によってはシャッターが閉まっており、まるでシャッター街と見間違うぐらいに閑散としている。
今度は新南口、南口方面へ。駅直結の商業施設・LUMINEとバスタ新宿はこの日臨時休業を発表していた。
タカシマヤタイムズスクエアもこの日は臨時休業。用もなく出歩く人はほとんどいない様子。テラスから眺めてみるとその様子が一目で分かる。
■原宿
個性的なファッションの店や雑貨店などが並び、中高生に人気のエリア原宿。竹下通りに向かうとそれなりに人の姿が見えた。しかしショップ店員の話によると「普段の2、3割程度」だとか。店によっては臨時休業の張り紙も。開いている店舗はほとんどががらんとしており、威勢のいい客引きの声が辺りに響き渡っていた。
神宮前交差点付近に立地するファッションビル・ラフォーレ原宿はこの日臨時休業。メイン通りということもあり車も人もそれなりの往来が見られたが、それも信号待ちをしていた人と車が一斉に動き出す瞬間のみ。しばらく経つと途切れてしまった。
明治通りを渋谷方面へ。原宿と渋谷の中間地点にさしかかると、通り沿いのお店には「臨時休業の」張り紙が目立つようになった。それに合わせるかのように人の気配もやがて途切れていく。辺りに人がいない様子を見計らって周辺の景色を写真に収めると、さながら「ゴーストタウン」の様相を呈していた。
■渋谷
東京を代表する繁華街のひとつであり、最先端の流行やファッション、音楽、若者文化の街として知られる渋谷。中でも、曜日や時間帯問わず常に多くの人が行き交うのが、中心地にあるスクランブル交差点だ。到着したのは午後2時過ぎ。信号が青に変わると一斉に人が歩き始める様子は圧巻だったが、いつもなら人と人とがぶつかりそうになるほどの様子が、この日ばかりはこの場所に限っては「十分すぎる」と言っていいくらいの余裕があるように感じた。
公園通りを北上すると西武百貨店とマルイ系列のMODI渋谷が見えてきた。西武百貨店はこの日時短営業中。中を覗いてみると、館内ですれ違った人の多くは従業員で、お客さんと思しき人とすれ違ったのはわずか10数名程度。この状況下でお店を開けて待っている従業員には頭が下がるが、あまりにもスカスカな館内の状況に、こちらが思わず「大丈夫か?」と思ってしまった。
今度は渋谷センター街へ。中高生が特に多いとされる通りだが、この日に限ってはその姿をほとんど見かけず。ビッグエコーやカラオケ館といったカラオケボックスもこの日は軒並み休業。上から眺めるとその閑散具合が一目で分かった。
道玄坂。スクランブル交差点を渡り切った直後は人の往来はあるものの、坂を上るにつれてだんだんと人の姿が少なくなっていくのが分かる。
渋谷から山手線に乗り込み、品川、東京方面へと向かった。
(続く)
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