今年8月、政治活動の実態を隠し、政治資金収支報告書に虚偽の記載をした疑いがあることをハンターの記事で指摘された二場公人田川市長の政治団体が、報告書の大幅修正を行っていたことが分かった。関連する田川市長選挙の収支報告書も修正されており、全面的に「違法」を認めた形だ。
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違法性が問われていたのは、二場市長の支援団体「ふたば公人後援会」が福岡県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書の記載内容。同団体は、田川市長選挙が行われた2019年(令和元年)に後援会事務所を開設し、リーフレットなどの印刷物を作成して配布するなど活発な活動を展開しながら、報告書には、この年の収入も支出も「0」と記入していた。
ハンターは8月2日の配信記事(⇒「二場公文田川市長の政治団体に政治資金規正法違反の疑い」で、その年におけるすべての収入と支出を記載した報告書を作成し、活動地域の都道府県選管もしくは総務省に提出するよう求めている政治資金規正法の規定に抵触する疑いがあることを報じていた。
その後、収支報告書の訂正が行われたとの情報が寄せられたため県選管に確認したところ、8月24日付で、ふたば公人後援会が提出した2018年(平成30年)分の政治資金収支報告書に市長本人からの寄附100万円が追加記載(下の報告書参照)されていた。翌年1月から始まる支出を賄う資金との整合性をとるためだとみられる。(*下の報告書参照)
次に、市長選が行われた2019年(令和元年)の収支報告書は、通常の政治資金処理を行っていれば、起こり得ない修正が施されていた。収入も支出も「0」だったところに、同年中の収入として145万円を追加記載(うち25万円は事務所の無償提供分。実質収入は市長本にの寄附120万円)。さらにリーフレットやポスターといった印歳物などの支出に163万3,168円を計上している。(*下の報告書参照)
収入も支出も「0」とされていた政治資金収支報告書が違法性を問われたとたん、20カ所以上も書き変えられ、新たに4ページが加えられるという前代未聞の大幅修正。200万円以上の政治資金の支出と収入が、まるまる隠されていた格好だ。
政治資金規正法は、当該年の収入と支出のすべてを会計帳簿に記入し、その内容を政治資金収支報告書に転記して都道府県選管又は総務省に提出するよう定めており、実際にはあった収入と支出を「0」と偽っていた「ふたば公人後援会」の行為は、同法違反に問われる可能性が高い。
二場陣営の資金処理がデタラメだったことは、2019年に行われた田川市長選挙で市選管に提出された選挙運動費用収支報告書からも明らか。驚いたことに、ハンターが今年6月に同報告書を開示請求した後、7月に2年以上前の収支について第2回分、第3回分の報告書を提出し、8月にはさらに内容の修正を行っていた。
選挙運動費用収支報告書には、すべての収入および支出を記載し、選挙の執行日から15日以内に第1回分を、それ以後の収入・支出については発生から7日以内に、第2回分もしくは第3回分として提出しなければならないと規定されており、極端に間を置いた二場陣営の報告書提出は、明らかな公職選挙法違反だ。