女性教師暴行事件に指宿市民から怒りの声|見逃された加害者の過去

 今年9月、鹿児島県指宿市の公立小学校に勤務する20代の女性教師が、同僚で30代の教務主任に呼び出されて性的暴行を迫られ、懸命に難を逃れたものの身体と心に大きな傷を負った。

 “被害者”は女性教師なのだが、“犯人”を庇いたい連中がいるらしく、女性教師への心無い誹謗中傷が相次ぎ、学校長まで「示談」をほのめかすという腐った現状がある。

 やむなく校長への取材内容や、校長と教頭が立ち会った加害男性と女性教師の両親との対決場面を報じたが、改めて加害男性の身勝手極まりない主張を振り返り、それに対する指宿市民の声を紹介しておきたい。

■まるで他人事の加害者

 先週報じた加害男性と女性教師の母親とのやり取りには、大きな反響があった。取材などを通じて寄せられた読者の声の中で一番多かったのが、自分が起こした暴行事件を、まるで他人の事のように語った加害男性への厳しい批判だった。

加害教師:ただ、あのやはりその一番のやはり問題点といいますのは、やはり、あのその渡し方、まぁこれはお母さまからも先日言われましたけれども、随分時間も遅かったですし、またいろいろな方法で渡すこともできたという風に思っております。その件はもう私自身の完全な、あのー認識不足、判断のミスだという風に考えているところです。

今後につきましては、やはり○○先生が一番はあの現職復帰と言いますか、普通の状態で、教壇に立つことが、やはり一番あの優先的に考えていくことだという風に考えておりますので、まっ私にできることはなんでも、あのー処罰等誠実に受け止めて、まずは○○先生自身がこれまで通り本校に勤務できるように、あのーあらゆることに努めていきたいという風に考えているところです。はい。

 「認識不足」や「判断のミス」の末、性的暴行に及ぼうとしたというのだから呆れた男である。あげく、「(被害者の)○○先生自身がこれまで通り本校に勤務できるように、あのーあらゆることに努めていきたい」――当事者としての意識を欠くばかりではなく、まるで他人事。この発言を聞いて、怒らない被害者や被害者家族はいないはずだ。他人事で済まそうとする態度は、次のやり取りでも明らかだった。

被害者母:引き止めたんじゃないですか。本人はだって10時半には電話をするからねって言ってあるので、どうですか?
加害教師:はい。あのー、正直そういった言葉は、まぁ私がアルコールを飲んでいたせいもあるかもしれないんですけども、まぁ私はそのような認識は捉えなかったですけども。ただ○○先生自身がおっしゃっていることが、やはり一番正しいという風に思っておりますし、まっそもそも先程お母さんがおっしゃいましたように、部屋まで、401(部屋番号)までと、もうその時点で、あの私の、あのー、声に出したこと、その判断、そこもうその時点で、あのーすべてが間違っていたと思っております。

 卑劣な犯行に及んでおきながら、あくまでも第三者的な言辞で事を済まそうとする男性教師。追及が厳しくなり、遂には「罪」を認める発言に至る。

被害者母:女性をその時間に部屋まで来いって、下心があるとしか思えないですよ。それは危ないと思いますよね。要は下心があったんですよね、そん時は。
加害教師:いえ、本当にその時は果物を本当に渡したいと本当にそう思いました。

被害者母:じゃあ部屋で話をしている間に、そういう気分になったということですか。
加害教師:少し。もうこれは本当に私の心の弱さだと思っております。

被害者母:押し倒してやろうと。
加害教師:いえ、それは思わなかったです。ただ、もう少し付き合って欲しいというのはありました。

――中略――

被害者母:さっき下心があるって言いませんでしたっけ。
加害教師:はい。

被害者母:なかったんですか、あったんですか?
加害教師:下心は最初はありませんでした。はい。

被害者母:そん時はどうでしたか。夜中になって。
加害教師:ただ時間が経つにつれて、段々段々、私も、あの酒の量も増えてきましたし、時間も遅くなってきましたので、まぁそういった部分がでてきたと思います。

被害者母:部分?
加害教師:はい。

被害者母:そういった部分っていうと、具体的に何をしたかったんですか?
加害教師:まぁそのような……。

被害者母:どうしたかったんですか。そこまでのことをして。
加害教諭:まぁそのような……。

被害者母:性行為をしたかったんですか?
加害教師:いえ。性行為はそんなことはないです。

被害者母:じゃあ何をしたかったんです?
加害教師:ただもう少し、あの――。

被害者母:本当のことを言ってくださいね。
加害教師:はい。

被害者母:人として。
加害教諭:はい。

被害者母:あなた教員ですよね、まだ。
加害教師:はい。

被害者母:人としてですよ、恥ずかしくないように本当のことを正直に言ってもらわないと、謝罪にも何にもならないですよ。
加害教師:はい。

被害者母:嘘ばっかで、塗り重ねたって。
加害教師:いえいえ。はい。

被害者母:下心は?
加害教師:はい、もう。下心はあったと思います。

被害者母:あったんでしょ。どうにかなりたいと思っていたわけでしょ。
加害教師:はい、そうだと思います。

 最初は悪意を否定するも、被害教師の母による厳しい追及で、結局は「下心」があったと認めている。この男が狙っていたのは、明らかに「性的暴行」だった。この点について、指宿市在住の50代男性はこう憤る。
 「男性教師の暴行事件のことは、指宿市内の小学校の関係者なら誰でも知っているんじゃないでしょうか。被害にあった女性の先生が受け持っているクラスの子供たちでさえ、男性教師の所業を知っているんですよ。相手が断れない立場にあることをいいことに、夜に若い女性を呼び出し、自分の部屋に引っ張り込んで鍵をかけてとじ込めたというんですから、目的がわいせつ行為にあったとみるのが普通でしょう。傷害で書類送検なんて軽すぎる話。これは性的暴行未遂ですよ。指宿署は、何カ月もかけて一体何をやっていたのか。本来なら、逮捕して厳しく調べるべきなんですよ。教育委員会もだらしない。校長の態度からは、事を矮小化して、犯人を庇おうという姿勢がミエミエ。話にならない」

 たしかに、学校側は何事もなかったかのように音なしの構え。保護者への説明会さえ開いていない。それどころか校長は、被害者に向かって『示談にしないか』などと持ち掛けている。一連の動きからは、“被害者への思いやり”など、かけらも見えてこない。

■過去の「不倫」、学校側は知っていた

 最悪なのは、加害者である男性教師に、心から謝ろうとする気持ちがまるで見えないことだ。「はい、その通りです」だの「誠実に対応」などといった言葉を吐いているのだが、実際の録音データを聴けば、うわべだけの謝罪であることがすぐ分かる。その証拠に、この男性教師は、被害者の母親とのやり取りの中で、いくつか嘘をついている。

 指宿市の学校関係者の中には、男性教師の「嘘」を見抜いた人が多かったらしく、同様の内容のメールが複数送られてきている。別の被害が出る恐れがあるため、具体的な嘘の内容にまで踏み込めないのだが、指宿市の小学校関係者が絶対に見逃せないというのが「下心は無かった」という男性教師の発言だという。

 取材の過程でも同じ内容の証言をいくつも拾っていたが、この男性教師は過去に「不倫」で騒動を起こし、家庭不和を招いていたのである。問題は、教員としてあるまじきそうした行為を、学校長も教頭も知っていたらしいということ。知っていて、この卑劣漢を「教務主任」にしたというのなら、性的暴行の舞台を学校側が提供したようなものだ。校長も教頭も、さらには間違った人事を認めた教育委員会も罪深い。処分を遅らせ、被害者である女性教師に「示談」を持ち掛けたのは、事を矮小化し、責任逃れをするためだったのではないだろうか。学校や教育委員会は、こうした疑問に答える義務があるはずだ。

 今回の事件を受けて、指宿市に住む40代の女性公務員は、次のように話している。
「被害女性の人権を無視した行為をしておきながら、果物の渡し方が問題だったとか、時間が遅かったとか白々しい言い訳をしていて、非常に見苦しい。明らかにわいせつ行為をしているのに、『わいせつと思われても仕方がない』とか、『最初は下心がなかった』とか、あとは被害者のお母さんの質問に『はい』と答えているだけ。本当に反省しているなら、自分から正直に事の顛末を話しますよね。明らかに上司の立場を利用して、被害女性を呼びつけて、無理やり部屋に長時間閉じ込めている。怖かったと思いますよ、彼女は。被害女性の気持ちを考えるといたたまれません。ようやく帰れると玄関に向かったら、体を触られて鍵までかけられている。『もう終わったって思った』――被害女性の絶望感と恐怖が伝わってきました。こんな卑劣で危険な男が教師をしていると思うと、安心して子供たちを学校に通わせることができません。本人も最後に『しっかりと処罰を受けて、誠実に対応していきたい』といっているんだから、関係機関はしっかり対応してしかるべきです」

 

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