再燃した桜疑惑、予想される“最悪の落しどころ”

安倍晋三前首相の、“桜疑惑”が再燃した。毎年、桜のシーズンに開催されてきた桜を見る会で、安倍前首相の「安倍晋三後援会」は前夜祭を開催。地元、山口県から多数の参加者を集めて、東京都内の高級ホテルでパーティを開いてきた。そこに、主役である安倍前首相や昭恵夫人が出席していたのは言うまでもない。東京地検特捜部の調べでは、安倍前首相側が前夜祭の会費の不足分を、数年間で900万円以上補填していたことがわかっている。

■国会答弁は真っ赤なウソ

安倍首相側が作成した政治資金収支報告書に、前夜祭に関する支出の記載がないことは、早くから確認されていたことだ。桜を見る会に反社会的勢力が参加していたことも明らかとなっていたため、安倍氏は首相在任中、この件について国会で何度も追及を受けている。安倍前首相が国会質疑の際、「補填などなかった」「ホテル側から領収書などは発行されていない」などと疑惑を強く否定してきたことは周知の通り。だが結果として、桜疑惑に関する安倍氏による一連の国会答弁は、真っ赤なウソだったことになる。

安倍前首相の後援会幹部は、匿名を条件にこう打ち明ける。
「安倍さんが、総理をおやめになられてから、地元の秘書や後援者が東京地検特捜部から事情を聞かれるようになった」――特捜部が、安倍氏の退陣を待って着手したのは確かだ。

今回、最初に前夜祭の補填疑惑を報じたのは11月24日の読売新聞朝刊だった。その後、NHKがホテルの領収書などについて詳報。安倍前首相側も、ドンピシャの報道を前に、一定の事実関係を認めざるを得なくなる。

読売新聞のスクープの時には、安倍前首相に有利な証拠を集めて、「不起訴にもっていくつもりでは」との情報が流れたが、NHKの後追い報道で流れが一気に変わり、立件ムードが高まった。

■検察リークの裏

「検察は、ジャンジャンとまではいわないが読売新聞、朝日新聞、NHKなどには情報を出してくる」(東京地検特捜部の担当記者)

検察取材のガードの固さは、徹底されている。検事正、次席検事、特捜部長など幹部以外の検事を取材すると記者クラブの加盟社は「出入り禁止」などの処分を食らう。だが、今回は「検察リーク」があふれているという。

普通なら、立件が予想される安倍前首相側が関係者に“かん口令”が敷くはずだが、記者が直撃した安倍前首相の地元である山口県の地方議員は、あっさり口を割った。
「補填は昔からあったと聞いていた。ただ総理在任中は認めるわけにはいかない。それが退任したから、今ならいいということじゃないか。昔は、補填分を政治資金収支報告書に記載していたものです。平成25年分にはそれなりの額の会合費が計上されているはず」

そこで、安倍前首相の資金管理団体「晋和会」が総務省に提出した平成25年分政治資金収支報告書をチェックしてみると、平成25年5月10日に、東京のホテル運営会社に829,000円あまりを支払っていた。要するに、安倍前首相側は、補填分を政治資金収支報告書に記載する必要があったことを把握していたことになる。

それを無視して意図的に平成26年分以降の収支報告書に記載していないとなれば、非常に悪質。当時は首相在任中であり、最も法を遵守しなければならない立場である安倍氏側が、違法行為を繰り返してきた罪は重い。

前出の地方議員はこれまで、桜を見る会のことはもちろん、安倍前首相に関する取材には非常に口が重かった。だが、今回の対応はまるで別人。今後の展開について、次のようにを予言する。
「もう、立件されることは分かっています。政治資金収支報告書に正しく書かなかったという、政治資金規正法の虚偽記載でやられるでしょう。罰せられるのは地元の秘書だけ。略式起訴になるのではないですか。無理に否認して、強制捜査、ガサ入れととなったら、安倍前首相に傷がつく。まだ、前首相には先もあるわけですからね」

公職選挙法が禁止している「有権者への寄附=買収」という見方もあるが、検察OBの弁護士も、こう解説する。
「公職選挙法は難しい。安倍前首相は国会でウソをついていたことにはなるが、国会答弁だから偽証の対象にはならない。やれるとすれば、政治資金規正法しかない」

つまりだ、安倍前首相側は秘書を生贄に差し出して罰金刑で終わらせる。自身は“無傷”で再々登板を狙おうという魂胆だ。一方、検察は積極リークでマスコミを使って風を吹かし、前首相の事件を立件したと手柄を大きく見せて「検察もやる時は、やるぞ」とアピールしているつもりなのだろう。

国会でウソを答弁した安倍前首相は「無傷」。これでは、真相解明には、とうてい及ばない。政治、検察に「正義」はあるのだろうか?

(山本吉文)

 

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