統一教会問題で露呈した自民党の噓つき体質

 「噓つきは泥棒の始まり」という。泥棒は犯罪である。すると、自民党は犯罪者の集まりということになる。

■カルト集団をはびこらせた安倍派

 安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、全国民の注目を集めることになった統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界との密接な関係。多数の被害者を生んできた反社会的団体とズブズブの関係を保ってきた政治家たちの姿に呆れ果てたのは、記者だけではあるまい。内閣支持率の急落は、なによりの証左である。

 旧統一教会が社会的に問題視されるようになったのは1980年代から90年代にかけてのこと。先祖がどうの、水子の祟りだのと恐怖心を煽って価値のない壺や印鑑を高額で売りつける「霊感商法」の被害や、人気歌手だった桜田淳子さんらが参加した「合同結婚式」の様子が報道され、教団やその関連団体である「国際勝共連合」の実態が白日の下に晒された。

 要は韓国発祥のカルト集団が、様々な名目で日本人にまがい物を売りつけて金品を詐取するという立派な犯罪行為だったが、何故か統一教会は生き残り、「献金」という名の財産収奪を続けていたことが明らかになっている。

 安倍派を中心とする自民党の政治家たちは、その統一教会=反社団体の集会に参加して挨拶したり、祝電を打つなどした見返りに選挙支援を受けていた。率先して教団の活動を褒め称えていたのが現職総理の安倍晋三氏だったというのだから、国権の最高機関が反社の行為に免罪符を与えていたも同然だ。カルト集団をはびこらせたのは、自民党安倍派と言っても過言ではあるまい。

 世間を震撼させた銃撃事件の原因を作ったのが、旧統一教会による邦人財産の詐取だったと分かってからは、訳知り顔に「民主主義への挑戦」だの「言論封殺」だのと騒いでいたコメンテーターが沈黙し、代わって旧統一教会の悪行を追及してきた弁護士やジャーナリストが被害の実態や政治家との関りを詳述する展開となった。

 その後は周知のとおり。連日テレビニュースで見せつけられてきたのは、こわばった表情の自民党議員たちが口にする「嘘」である。

■萩生田政調会長の「嘘」

 集会への参加や祝電を送ったことについて聞かれ、教団との関係を認める議員がいる一方、ほとんどが「統一教会の関係団体とは知らなかった」「確認を怠った」だのと、一般人が知らないのをいいことに平気で嘘をつく。一番醜い「嘘」をついているのが、萩生田光一自民党政務調査会長であることは確かで、子供からもばかにされる始末だ。

 先月18日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について党本部で取材に応じた際は、記者団と次のようなやり取りを行っている。

Q:旧統一教会との関係については?

 地元の支援者の中にですね、ボランティア活動を熱心にやってる皆さんがいらっしゃって、そのご縁で、皆さん方とのお付き合いが始まりました。
今回ですね、正直申し上げて、統一教会の昭和の時代の関連商法のことなどは承知をしておりましたが、その後、悪い噂を聞くこともなかったですし、そういった報道、接する機会もなかったもんですから。

 

Q:生稲晃子参議院議員と教団施設を訪れたことについては?

 正直申し上げて(訪問した)その団体と統一教会の関係っていうのは名称は非常に似てますので、そういう思いはあったんですけれども、あえて触れなかったというのが正直なところです。その関係者のご縁で今回、今ご指摘の施設を訪問することになりました。名前ちょっとわからないんですけど、八王子の子安町にある施設でありまして、そこを生稲さんと訪問しました。

 

Q:信者たちから、電話かけやポスター貼りなどの選挙支援をした、という証言があるが?

 全く承知してませんし、私からそういうお願いをしたこともございません。
多くの人に支えられて選挙やるもんですから、どういう形でボランティアの人たちがお手伝いいただくか、ちょっと私はわかりません。ですから、もしかしたらご支援いただいてる方の中にそういう方がいらっしゃったってことは否定できないかもしれませんが、私はわかりません、それは

 

 萩生田氏の主張は、“統一教会については、昭和の時代の霊感商法については知っていたが、その後悪い噂を聞くこともなかった。そういった報道に接する機会もなかったから付き合った”というものだ。報道に責任をなすり付ける姿勢は卑怯と言うしかないが、「悪い話を聞くことがなかった」を信用することはできない。統一教会絡みの被害報告は昭和の時代から続いており、政治家が知らないわけがない。“聞いていたが無視した”が正解だろう。

 「その団体(世界平和女性連合)と統一教会の関係っていうのは名称は非常に似てますので、そういう思いはあったんですけれども、あえて触れなかった」というあやふやな発言も、ただの自己弁護。“分かっていたけど、ダンマリを決め込んだ”と同義なのだ。

 世界平和女性連合を設立したのは、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の教組・文鮮明と文氏の妻で現在の家庭連合総裁・韓鶴子。世界平和女性連合が統一教会の関連団体であることは、ネット検索でも簡単に知ることが可能だ。萩生田氏の言い訳は、幼稚すぎて誰の心にも届くまい。

 「もしかしたらご支援いただいてる方の中にそういう方がいらっしゃったってことは否定できないかもしれませんが、私はわかりません、それは」が明らかな虚偽であることは、テレビカメラの前で証言している複数の関係者の話からも明らか。かつて八王子市長の秘書だった頃から萩生田氏を知っているという地元のある会社経営者に聞いてみたが、「萩生田さんと統一教会の関係は、彼の選挙に深く関わった人間のほとんどが知っているじゃないか。『名称は非常に似てる』とか『私は分かりません』とか、よく言えるもんだと思いますね。嘘やごまかしはよくない。加計学園との関係が取り沙汰された時は『それでも地元の代議士を守らなくては』という感じでしたが、今度のことで愛想が尽きました。学校法人と反社は、まるで違うものですからね」

■生稲晃子参院議員の「嘘」

 萩生田氏とともに旧統一教会の施設を訪問して選挙支援を頼んだとされる生稲晃子参院議員も、誰が聞いても信じないような主張を行った。

Q:なぜ旧統一教会の施設に出向いたのか?

 演説を聞いた人から「他にも仲間が集まっているので、話を聞かせてもらいたい」と依頼があった。新人の立場なので、より多くの方に政策を聞いていただきたいという思いで、スタッフが判断した

 

Q:訪問先の玄関口には旧統一教会であることを示す表示があったが?

 暑かったので顔を直すこととか、きちっと間違いがないようにしゃべらなきゃいけないとか、そういうことに必死で、全く見ていなかった。

 

 「他にも仲間が集まっているので、話を聞かせてもらいたい」――街頭演説中にこう声を掛けられ、相手方がどのような集まりなのか確かめずに、のこのこ出かけていくバカな候補者がいるだろうか?「スタッフが判断した」と他人のせいにしているが、これは自分の能力のなさ、知識の乏しさの裏返しであり、国政を担う人間の言うことではない。

「顔を直していて統一教会の看板が目に入らなかった」との言い訳も、お粗末過ぎて笑うしかなかった。生稲氏は、アイドル時代の感覚で世間が渡って行けると思っているのだろう。報道機関の政策アンケートにちぐはぐな対応をしたことでも分かるように、政治家としての資質はゼロだ。

 そもそも、選挙に臨む候補者は、訪問先によって話す内容を変えるもの。それができなければ、選挙は戦えない。農協に行って漁業の話をしても顰蹙を買うだけだし、教育関係者に防衛の現状を熱く語るバカはいない。「きちっと間違いがないように」しゃべれるかどうかは、相手を知っていて、はじめてできること。演説や挨拶を聞いてくれる人たちに“この候補者に一票入れよう”と感じてもらうためには、まず相手の所属や思想について予習しておく必要があるのだ。

 政策は分からない 政治家としての能力も自覚もない 平気で嘘をつく――東京都民がこんな人間にバッジをつけさせたことによって、無駄に費消されることになる「税金」は年間約1億円。有権者にも責任はあろうが、生稲氏を担いだ自民党の罪はさらに重い。

 萩生田、生稲の両議員同様に、いけしゃあしゃあと噓をつく自民党議員たち。彼らに、子供たちの前で夢や未来を語る資格があるとは思えない。

 

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