【沖縄自民党、金権選挙の実態】2018年名護市長選に2か月で6000万円

今年前半で最も注目される名護市長選挙が、1月16日に告示される。23日の投開票までたった7日間の選挙戦だが、自民党はけた違いの資金を投入し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設を容認している現職・渡具知武豊氏を支援するはずだ。

2018年の名護市長選で自民党が、わずか2か月の間に、6,000万円もの資金を投じていたことが分かった。

■窓口は自民名護市支部

前回の名護市長選は2018年(平成30年)の2月。辺野古移設を進めるため必勝を期した自民党は、新人で5期を務めていた名護市議の渡具知氏を担ぎ出し、政府与党をあげて支援を行った。結果として渡具知氏は移設反対派の現職・稲嶺進氏を破り初当選。安倍政権は「民意を得た」として辺野古の埋め立てを強行し、その後の菅、岸田両政権もその方針を崩していない。だが周知のとおり、辺野古移設について、沖縄の民意は「反対」だ。

これまで沖縄では、2014年と18年の沖縄知事選で辺野古移設反対を旗印にした「オール沖縄」の候補が勝利。19年の県民投票では、移設反対43万4,273票に対し賛成11万4,933という圧倒的な差で「反対」の意思表示がなされた。しかし、自公政権は沖縄県民の「民意」を無視し、辺野古沖を埋め立てることで、移設の既成事実化を図ってきた。

そうした状況下で行われた2018年(平成30年)の名護市長選は、反対運動に限界を感じ始めていた若い世代の票が、意図的に基地移設問題の争点化を避けた渡具知氏に流れたものと考えられてきた。だが、実態は「金権」と「利権」にまみれた醜悪な選挙。それは、渡具知陣営に流れた自民党の資金の額をみれば瞭然だ。沖縄県公報と政治資金収支報告書から、名護市長選に向けた動きが活発化した2017年(平成29年)と選挙が行われた2018年(平成30年)に、渡具知陣営に流れた自民党の政治資金についてまとめた。

自民党から流れた政治資金の主な受け皿となったのは、名護市長選だけのために設立された政治団体「くらしを豊かにする市民の会」(以下、市民の会)で、資金提供の大半は「自由民主党名護市支部」を通じてのものだった。他には、一部が政治団体「とぐち武豊後援会」に、選挙費用としては渡具知氏本人に400万円が寄附されていた。下が県公報と市民の会が県選管に提出した政治資金収支報告書及び渡具知氏の選挙運動費用収支報告書の該当ページで、総額が分かるようにまとめの表を付した。

自民党側から渡具知陣営への資金提供が始まったのは2017年12月で、選挙は2月。わずか2か月ほどの間に、合計6,008万円にのぼる資金が名護市長選のためだけに費消された計算だ。まさに「金権選挙」。しかも、原資のほとんどが「業者」のカネだったことが明らかになっている。

■「利権」と表裏一体

下は、渡具知氏が名護市長選に立候補することを正式表明した17年(平成29年)7月末から18年(平成30年)2月初めにかけて、自民党名護市支部が企業から受けた献金の一覧である。

辺野古の埋め立て工事で大手ゼネコンと建設共同企業体(JV)を組んだ建設業者や下請け、沖縄防衛局発注工事の受注企業、さらには辺野古埋め立て工事に使用される土砂の桟橋を提供したことで批判されたセメント会社などの「利権企業」が、こぞって献金した格好だ。上掲の表にある企業や団体の献金は、渡具知氏が出馬表明した2017年7月末から翌年2月の選挙直前という時期に集中していたもので、市長選のための資金提供だったことは明らだろう。

渡具知氏は基地問題の争点化を避けるため、公約や選挙演説で「辺野古」に触れようとはしなかった。暮らしに重点を置いた訴えが功を奏して初当選したが、実際に票を稼いだのは、利権企業の「カネと票」だったということだ。コロナ禍で政府与党の大物が選挙応援を控えざるを得なくなった今回の市長選では、前回以上に業者がフル回転し、さらに莫大な資金が投じられる可能性がある。

人口281万人の広島県で、元法相の巨額買収事件を引き起こした自民党が、参議院の1議席を得るために使った資金が1億5千万円。6万人しかいない名護市の市長選に投下された6,000万円が、いかに大きな額だったかが分かる。今回の市長選では、いったいいくらのカネが動くのか……。

 

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