推薦候補に“政治とカネ”|京都市長選で問われる「日本維新の会」の責任

和服姿で知られる名物市長・門川大作氏の任期満了に伴う京都市長選は、2月4日の投開票に向けて選挙戦真っ只中。共産党系の支援を受ける弁護士の福山和人氏、元京都市議の村山祥栄氏、元京都府議の二之湯真士氏、元官房副長官で自民、公明、立憲民主、国民民主が推薦する松井孝治氏の5人が争う構図だ。関西圏で強さを誇ってきた日本維新の会の候補が軸になるとみられていた市長選だったが、同党は告示前に撤退。一転して与野党相乗り候補がリードを広げる展開となっている。

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当初は維新が中心となり国民民主党、そして前原誠司氏が立ち上げた「教育無償化を実現する会」が村山氏を推薦していたが、同氏にある疑惑が浮上したため政党の推薦はすべて取り消されている。擁立までの経緯ついて、維新の京都府連関係者がこう話す。
「兵庫県と奈良県の知事をうち(維新)がとったので次のターゲットは京都市長選と決まっていた。しかし、有力な候補がなかなか見つからなかった。かねてから維新と親和性があった地域政党「京都党」のトップだった村山氏と何度も調整。最初は維新の公認という話だったが、“国民民主党や前原氏の支援も得たい”となって、維新が一歩引く形で擁立することになった」

しかし告示直前、共産党の機関紙「赤旗」が村山氏の“政治とカネ”について報道。同氏が開いたとする「村山祥栄君を励ます会」という政治資金パーティーが架空のもので、違法なカネ集めを偽装していた疑いが浮上した。

京都市は教育無償化を実現する会の代表を務める前原誠司の地盤。「村山氏は架空のパーティーを設定して直前にキャンセルするという手法で選挙費用を調達しようとしていたとみられる。赤旗の報道後、村山氏にそれを確認したが、ハッキリとした回答がなかった。前原氏サイドも調べ、さすがに架空のパーティーでカネ集めはマズイとなった。自民党安倍派の派閥パーティーが事件になっている中での政治とカネのスキャンダル。このまま村山氏に乗っていて大丈夫なのかという声があがりはじめた」(前出・維新の京都府連関係者)

赤旗の報道は昨年12月24日。すぐにでも維新は動くのかとみられていたが、この時維新は、《市民の手で新しいリーダーをつくる会 財政再建やりきる覚悟 世代交代、責任世代へ》と派手に謳った吉村洋文大阪府知事と村山氏のツーショットポスター掲示し始めていた。

その後、村山氏は維新や前原氏から納得できる説明を求められたが、「問題はない」と言うばかり。最後は維新が見限り、1月13日に推薦取消しを発表。前原氏や国民民主党も足並みをそろえた。

一方、村山氏は単独で記者会見。政党の推薦がなくとも市長選に出馬する意向を表明した。

「維新などが推薦を取消する前にとった世論調査の数字では、松井氏と村山氏がほぼ横並びで、数ポイント差で共産党の福山氏が追いかけるという三つ巴のデッドヒートだった」と話すのは、自民党の京都府議。しかし疑惑が浮上した後の1月13日と14日に自民党が行ったとされる情勢調査では、松井氏41ポイント、福山氏25ポイント、村山氏10ポイント、二之湯氏7ポイント。1月20日と21日の調査では松井氏36ポイント、福山氏29ポイント、村山氏は「泡沫」扱いという状況にまで落ち込んでいる。

村山氏は記者会見やSNSで「私が昨年(2023年)12月から本年1月にかけて実施した政治資金パーティにおいて、9回中8回について来場者がなかったのは事実です」として“架空パーティー”を認めた上で、「出席を前提にチケットを販売していれば、当日の出席者の有無については問題がないという認識でございました」、「パーティー券の購入代金については、全て返金を完了しております。このように返金も完了しており、法的には問題がない状態」などと主張したが後の祭りとなった。

2か月余りの間にパーティーを9回も開催する予定だったというのは信じ難い話。おまけに8回は来場者がいないのでドタキャンし、パーティー券は売ったままとなっていた。疑惑が発覚して2,200万円を返金したというが、バレなかったらどうなっていたことか――。

自民党の国会議員でも、よほどの大物でない限り、政治資金パーティーの開催は地元と東京で年に1度ずつ程度。これまでは、派閥に所属する議員なら、派のパーティー券ノルマまで加わっていた。パー券をさばくには準備も含めて3か月はかかるとされ、2か月で9回がいかに非現実的な数字か分かるだろう。本サイトでは、維新の「粗製乱造」について何度も批判してきた(既報)が、“またしても”と言わざるを得ない。

維新は「身を切る改革」というキャッチコピーを掲げ、政治とカネの問題に取り組むとしてきた。だが、京都市長選という大型選挙に推薦した候補が、政治とカネを巡って「疑惑まみれ」というのだからお粗末と言うしかない。自民党安倍派の裏金事件を受けて自民党の支持率が落ちるなか、与野党対決の構図を崩した責任は維新にある。松井氏は旧民主党政権で官房副長官を務めた実績はあるものの、地元では「過去の人」と呼ばれていた人物。その松井氏に「午後8時当確」が決定的な状況になりつつある。

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