札幌・交通警官が違反5連発|事件未発表でこっそり「減給」

北海道警察の昨年1年間の不祥事記録が開示され、懲戒処分の中に複数の未発表事案が含まれていることがわかった。公文書開示請求で筆者が入手した記録によると、昨年10月に警察本部勤務の警察官が複数回の交通違反を重ねていたほか、11月には方面本部の事務職員が万引き事件を起こしていた。この2件は、いずれも報道発表されていない。

■問題の交機隊員は警察一家

道警が各職員の処分時に作成した『処分説明書』によると、現職警察官による交通違反があったのは昨年10月25日夕。私用車を運転中に携帯電話を使っていた巡査長がパトカーに停止を求められ、現場から逃走して立て続けに複数の違反を重ねた。最初の電話使用を含めると違反は5件に上り、これらが僅か3分の間に行なわれている。巡査長は12月16日付で「減給10分の1×1カ月」の懲戒処分を受けた。

事件は一切発表されなかったが、昨年末に共同通信の独自取材で明るみに出ることになった。同社の配信記事によると巡査長は20歳代の女性で、所属は交通機動隊という。

事情を知る地元報道関係者は、呆れ声でこう語る。
「日ごろ鍛えたテクニックを駆使して逃げ切れると思ったんでしょう。地元署のパトカーが速度測定装置を積んでなかったので、違反は信号無視とかの5件に留まりましたが、確実にスピード違反もやってる筈ですよ」

さらに驚きの事実を語る、次のような声もある。
「家族が警察官だらけなんです」

くだんの巡査長は身内に同業者が多く、兄弟や婚約者なども現職の警察官だという。巡査長自身は処分後に辞職したとされているが、警察一家出身であることが事実なら、道警が文字通り「身内」への忖度で報道発表を控えた可能性が疑われるところだ。

■万引き職員逮捕も未発表

もう1つの万引き事案が発生したのは、上の事件の翌月の11月15日夕。警察官ではない職員が小売店で食料品など3点(3430円相当)を盗み、12月16日付で「減給10分の1×3カ月」の処分を受けた。この件で同職員が逮捕・起訴されたかどうかは不明で、事件自体がそもそも発表されなかった。

同じ万引きでも容疑者が一般人の場合は、こうはいかない。先の職員が減給処分を受けたのと同じ日、道警小樽署は小売店で豚肉2パック(826円相当)を盗んだ44歳の一般男性を逮捕、発表した。男性が万引きしたのは警察職員と同じ食料品だが、品数は1つ少なく、被害額も2,600円ほど下回る。それでも容赦なく発表の対象とされたのは、彼が「身内」ではなかったからとしか説明がつかないだろう。

自治体としての北海道は2016年3月の議会で職員の懲戒処分を原則全件公表する方針を表明、同6月からそのルールを適用して処分の公表を始めた。この時なぜか唯一の例外となったのが、警察職員。先の議会から5年が経とうとしている今も、その「警察特権」は揺らいでいないようだ。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
北方ジャーナル→こちらから

 

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