令和元年に古賀誠元自民党幹事長の政治団体から藤丸敏衆議院議員の資金管理団体に行われた約1,550万円の寄附の日付が、政治資金収支報告書上で1年近く違っていることが分かった。二つの団体が福岡県選挙管理委員会に提出した報告書によれば、古賀氏側から寄附されたのは同年12月、藤丸氏側が寄附を受けたのは同年1月となっており大きく食い違っている。
政治資金規正法は、政治団体ごとに「会計帳簿」を備えつけ、すべての収入と支出を正確に記載するよう求めた上で、その内容を政治資金収支報告書に転記するよう義務付けており、どちらかの団体がこの規定に抵触している可能性がある。
■約1,550万円、寄附の時期はいつ?
寄附を行ったのは古賀元幹事長の政治団体「古賀誠筑後誠山会」。同団体が選管に提出した令和元年分の政治資金収支報告書には、同年12月29日に藤丸氏の資金管理団体「藤丸至誠会」に対し、1,550万2,994円を寄附したとする記載がある。(*以下、画像の赤いアンダーラインはハンター編集部)
一方、藤丸至誠会の収支報告書では、寄附を受けた日付が同年1月10日となっている。
いずれかの記載内容が間違いであることは確か。同額の寄附がもう一件あった可能性もあるが、金額が大きいだけに両団体がともに見落とすことは考えられない。
古賀氏側が間違ったのか、藤丸氏側の記載ミスか――?藤丸至誠会の会計責任者に確認を求めたが、「調べて回答する」と言いながら、出稿までに連絡はなかった。
■政治資金パーティー、師弟コンビ共催で年間約1億
なぜこうした食い違いを生んだのか――。それは、古賀氏の筑後誠山会と藤丸氏の至誠会による、極めて異例なカネの集め方に起因するものだ。
バッジを外した古賀氏が後継指名して育ててきたのが藤丸氏だが、面倒をみるにしても、1,550万円はかなりの額。1件の寄附としては、めったにない金額だ。じつは、問題の1,550万円は、師弟コンビの政治団体が「共催」という形で毎年3回開いている政治資金パーティーの「分け前」だった。
毎年同時期に、東京で2回、地元福岡で1回必ず開かれる両団体共催の政治資金パーティーは、3回で計約1億円近くの売り上げを誇る打ち出の小槌だ。3回のうち東京と福岡でそれぞれ開かれる2回のパーティーは、藤丸至誠会の報告書に収入総額と経費支出を記載、残る東京のパーティーの収入と支出は、古賀氏の筑後誠山会の報告書に記載されている。
集められた政治資金は、売り上げから経費を差し引いた後に2分され、「分け前」が藤丸氏側から古賀氏側に2回、古賀氏側から藤丸氏側へ1回、寄附される仕組みだ。
じつはこの集金システムこそが、衆院議員引退後も活発な政治活動を続けてきた古賀氏の力の源泉で、多くの政治家に資金提供を行ったり高級店での飲食を繰り返したりしても、誠山会の保有金は6億円から減ることがない。次週、政界に隠然たる影響力を持つ古賀誠元自民党幹事長の、政治資金集めの実態を報じる。