2019年(令和元年)の県議会議員選挙で福岡県博多区から立候補して3選を果たした立憲民主党の堤かなめ議員は、無投票当選となり選挙の支出が「0」になったとして、党からの公認料130万円をそっくりそのまま懐に入れていた。
無投票だったとはいえ、選挙の支出が「0」というのは極めて異例。前後の年を含めた関連政治団体のカネの動きまで調べてみたところ、政治資金収支報告書の記載内容は、これまた異例と言うしかないものだった。この議員は、一体どのような政治活動をやってきたのか――?
■見えるのは「県議会報告」だけ
堤県議の関連政治団体は、資金管理団体の「丘政会」と支援団体「堤かなめ後援会」二つ。福岡県選挙管理員会で確認可能な、両団体の2017年(平成29年)、2018年(30年)、2019年(令和元年)の政治資金収支報告書を調べた。
驚いたことに、県議選が行われた2019年の両団体の支出は「0」。繰り越してきた資金は丘政会に113万8,248円、堤かなめ後援会に539万2,966円残っているが、両団体ともに1円も使っていなかった。(*下は同年の丘政会の収支報告書)
確認した3年間分の政治資金収支報告書から年ごとの収入と支出の額をまとめると、下の表のようになる。
3年間で唯一の支出として記載されていたのは、平成30年に政治活動資料作成費として計上されていた2件計126,532円だった。
通常なら政治団体の支出の状況から、行き先や活動に使った物品、資料、会議や集会の規模などがある程度確認できるのだが、堤氏の場合は前出の資料作成費を除いて支出が「0」。日頃、どのような政治活動を行っているのかまるで分らない。後援会も、ほとんど動いていない形だ。
同氏の公式サイトに掲載されている「活動報告」を2011年まで遡ってみたが、いずれの年も、博多区はもとより県内・県外における“現場”での活動ぶりを伝える写真などは皆無。発行した「県議会報告」のPDFが貼りつけてあるだけだった(下の画像参照)。
議場での活躍の模様は分かるものの、日頃の政治活動――地元博多区や県内でどのような政治活動をやってきたかについては、まったく“見えない”といった状況だ。
では、毎年何度か発行している「県議会報告」を作成する費用は、どの財布から捻出されているのか――。政治団体の支出が「0」である以上、考えられるのは「政務活動費」。県議会で堤氏が提出した政務活動費の使途報告書と領収書を確認したところ、意図的に政治資金収支を不透明な形にしているとしか思えない不可解な実態が浮き彫りとなる。
(つづく)