プリンセス・加藤鮎子こども政策担当相に「政治とカネ」疑惑

 第2次岸田再改造内閣は中身が伴わず、世論調査の数字も低調。数少ない「ウリ」が5人の女性閣僚だったが、それなりの登用効果が認められた矢先、中の一人に「政治とカネ」の問題が浮上した。

 ◇   ◇   ◇

 読売新聞が行った内閣改造直後の世論調査は、次のような内容だった。

・岸田内閣を支持する 35%
・支持しない 50%

・内閣改造と自民党役員人事を評価する 27%
・評価しない 50%
・答えない 23%

・選挙対策委員長に、小渕優子さんが起用されたことを評価する 37%
・評価しない 44%
・答えない 18%

・女性閣僚を5人に増やしたことを評価する 72%
・評価しない 18%
・答えない 9%

 内閣改造について「評価しない」という声が多い中で、数少ない高評価が女性閣僚5人の登用。しかし、早々と化けの皮がはがれつつあるのが初入閣した加藤鮎子こども政策担当相である。

 ◇   ◇   ◇

 鮎子氏は、自民党のプリンスと呼ばれた加藤紘一元幹事長の娘で現在は3期目。新鮮さを打ち出した形の人事だったが、早々に「政治とカネ」の問題が浮上した。

 まず、選挙区内にある資金管理団体「加藤鮎子地域政策研究会」が、事務所の家賃を自分の母親に支払って相場との差額分を「還流」させたのではないかという問題。さらには、2021年10月に、加藤鮎子地域政策研究会の政治資金パーティーで250万円分のパー券を購入したことになっている加藤氏の関連政治団体「鮎友会」が、実際には支出に見合う現金を保有していなかったのではないという疑惑。鮎友会の問題については、政治資金規正法違反があったとして山形地検に刑事告発されている。

 故・紘一氏から鮎子氏と、2代にわたって加藤家を応援している支援者はこう話す。
「父、紘一氏は首相候補と言われ、森喜朗首相時代には『加藤の乱』を起こしたことで有名です。しかし晩年は、秘書だった佐藤三郎氏が逮捕され、その強引なカネ集めが表面化して政界引退を余儀なくされました。そこで、山形・鶴岡の名門加藤家が後継として推したのが鮎子氏。地元では、プリンセスとも呼ばれていたんですが、その分、世の中の常識には疎くて、なんでも周囲にまかせっきりでトラブルばかりなんです」

 そうした中、政治資金収支報告書の記載内容から、加藤こども政策担当相がとんでもない人物と深い関係にあることが判明した。その人物とは、山形県酒田市で太陽光発電の投資会社「チェンジ・ザ・ワールド」を経営していた池田友喜氏だ。

 池田氏は大規模なメガソーラーを全国に展開。権利を小口化して、スマートフォンアプリで300円から投資できるワットストアを展開。“太陽光発電は国の買い取り制度FITがあるので、安心して投資ができる、利回りは年利7%”などとPRし、大きく事業を拡大させた。

 地元では、新進気鋭の若手経営者として知られていたが、今年2月、東京地裁に破産を申し立て、破産手続き開始の決定が出ている。被害総額は約38億円。被害にあった債権者は1万2千人にのぼるという。

 加藤氏側が提出した、自民党山形県第三選挙区支部の2021年分政治資金収支報告書を見ると、そのチェンジ社に《WEBサイト維持管理費》として同年8月10日に119,476円、同年11月5日には《HP改修費用》として484,000円が支払われていた。

 チェンジ社の突然の経営破綻に、数百万円を投資していた男性が次のように疑問を呈す。
「池田は加藤大臣の側からホームページに関するカネをもらって半年もしないうちに、ワットストアの支払い条件を変えてきた。つまり池田側に有利なように変えていたのです。おそらく経営破綻が見えていたのでしょう。そういう会社になぜ加藤さんは政治資金で仕事を依頼していたのか、非常に疑問だ」

 また、加藤氏は選挙の際にも池田氏の支援を得ていた模様だ。2015年1月15日の朝日新聞は、『チャレンジ! いま、国政に挑む:加藤紘一の娘、自民・加藤鮎子』という見出しで、加藤氏の選挙奮闘記を記事にしている。その中に、支援者として池田氏が登場するのだ。記事にはこうある。

《(加藤氏に)期待を寄せる同世代の有権者もいる。東京で働いた後、昨春山形県に帰郷してIT関連の会社を経営する池田友喜(37)。加藤鮎子の夫と一緒に地方での起業支援に取り組んでいる縁もあり、選挙で応援した。「僕らの世代は家族と過ごす時間を大切にする人が多いけれど、政治家は制約される。その大変さや、世襲批判を受けると分かっていながら手を挙げるなんて、なかなかできない」。冬晴れの日も大雪の日も街頭演説の様子を撮影し、サポーターでつくるフェイスブックのページを飾った》

 チェンジ社が多額の資金集めに成功した背景には、国の「お墨付き」があった。経済産業省東北経済産業局はチェンジ社を「J-Startup TOHOKU」選定企業に選出。環境省の「グッドライフアワード 実行委員会特別賞 サステナブルデザイン賞」を受賞していた。

 「経産省と環境省からの表彰は、投資に大きく関係しています。素晴らしい会社だとなりますからね。地元で、池田には今回の前にも破産の経験があると知り驚きました。加藤さんに近づくことで、破産の過去をごまかして、大きく見せようという思いがあったのではないか――。私はそう聞いています」(前出の被害者)

 チェンジ社経営破綻後の今年3月、舟山康江参議院議員(国民民主党)が同社について国会で質問を行っていた。チェンジ社は経営破綻の理由に「預託法の改正」があったと主張していたのだが、その改正で同種の業者が次々に破綻しているという話は聞いたことがない。舟山氏はこの点について、「消費者からですよ、こういった事業がありますけれども、これは違法なんですか?適法なんですか?私、投資していいんですか?と聞かれたときに、“分かりません”って答えるんですか」、「(チェンジ社に)経済産業省、環境省(が)、様々な賞を授与しているんですね。これ経産省にも聞きたいと思いますけれども、何でこの様々な表彰をされているのか」と追及していた。

 経営破綻し、国会で問題となるような業者との「癒着」が許されるのか?

 

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