暴かれたプロポーザル担当課長の「嘘」|業者のゴルフコンぺ参加に新たな証拠

 疑惑まみれの公務員の「嘘」を、一般市民が許すはずはなかった。

 利害関係のある業者のゴルフコンぺ会場を予約し、幹事として競技にも参加していた福岡県田川市の池口芳幸前環境政策課長(現・市立病院総務課長)が、「メンバー表の右が同級生のゴルフ会、左半分が早雲商事のコンペ」などと主張していた問題で、「右がどうの、左がどうのとかいうのはまつたくの嘘。参加したメンバー全員、早雲商事からの案内をもらっている」などとして複数の関係者がハンターに新たな証拠を提供。その上で、「真実を曲げて保身を図る池口さんには呆れた。コンペ参加者を巻き込んだ嘘は許せない」、「都合が悪いから嘘をついているんだろう。1枚のメンバー表にインとアウトとして並んだものを、それぞれが違う集まりだったという話は小学生でも信じない」などと池口氏の姿勢を厳しく批判した。

■新たな証拠 ― 「早雲商事親睦ゴルフコンぺのご案内」

 審査段階で点数操作が行われたことが確実となった田川市の「一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」業者選定プロポーザルの裏に存在するのは「官業癒着」。分かりやすい例となったのが、市政を揺るがしてきた問題のプロポーザルで、A、B、C 三つに分けられた工区の内、AとB二つの工区で選定1位となりながら、A工区の受注を辞退して2位の業者に譲るという不可解な動きをみせた早雲商事(田川市)と、事業を所管する環境政策課の前課長・池口芳幸氏(8月から市立病院総務課長)の関係だ。

 池口氏は昨年4月、早雲商事の親善ゴルフコンぺ会場を自身の会員権を使って予約し、幹事を務めた上に実際の競技にも参加。ハンターの記者から追及された池口氏は、会場予約を認めながらもコンペへの参加は頑なに否定していた。ゴルフ場の予約だけでも公務員としては失格だが、証拠がないのをいいことに競技参加を頑なに否定したため、池口氏は処分されなかった。

 ところが今年7月、取材を継続していたハンターの記者が、廃棄寸前だった「早雲商事ゴルフコンぺ」のメンバー表を入手。メンバー表によって、同課の清掃係技術主査(現在は異動)まで池口課長の組で一緒にプレーしていたことが明らかになっている。

 市は、ハンターが提出したメンバー表を前に聞き取りを行ったが、池口氏は「メンバー表の左半分が早雲商事のゴルフコンペのもので、右半分は自分の同級生の集まりだった」と強弁。早雲商事ゴルフコンペには「参加していない」と繰り返し主張したという。

 いわゆる「IN」スタートとなっているメンバー表の右半分には、元環境政策課術主査の名前があるが、このことについて池口氏は、「数合わせだった」と苦しい釈明を行っていた。

 膠着状態が続く中、「メンバー表の左半分が早雲商事のゴルフコンペ、右半分は自分の同級生の集まり」と主張した池口氏の往生際の悪さに呆れたらしく、ゴルフコンぺに参加した人の中で『右半分』に名前がある複数の関係者が、「私たちがコンペに参加したのは、この案内が来たから」、「早雲商事のゴルフコンぺだから参加した」と明言し、ハンターに下の案内文の画像を提供してきた。

 日時は「令和4年1月30日(日曜日)」。スタート時間は「10時30分」となっており、前掲のメンバー表にある日付やOUT、INのスタート時間とも符合する。

 案内文の提供者の一人は、「コンペの少し前に誘われ、この案内文がきた」、「業者ばかりかと思ったが、そうではない人たちも参加していた」と振り返る。別の関係者は「私は、池口さんが言う『右側』の一人ですが、案内のどこにも同級生の集まりだなんて書いてないでしょう。確かに同じ年代の人が多かったのは確かですが、早雲商事のゴルフコンぺだから参加したんですよ。案内文の通りです。OBによる学校対抗のゴルフがありましたが、早雲商事さんのコンペのずっと後で行われたものですよ」と断言した。

 これだけの人数が参加した早雲商事ゴルフコンペの実態をねじ曲げ自己保身を図る池口課長に、各人とも冷たい視線を向ける。

「真実を曲げて保身を図る池口さんには呆れた。コンペ参加者を巻き込んだ嘘は許せない」

「都合が悪いから嘘をついているんだろう。1枚のメンバー表にインとアウトとして並んだものを、それぞれが違う集まりだったという話は小学生でも信じない」

「池口さんが『早雲商事のゴルフコンぺには出ていない』と言い張るのなら、ハンターを訴えればいい。私らは、出るところに出て証言してもいい。近年、役人の嘘が日常茶飯のことになっているが、池口さんの嘘は程度が低すぎる」

 新たな証拠によって暴かれた池口氏の「嘘」。その裏にプロポーザルの不正があったとすれば、“官業癒着”による明らかな入札妨害である。

■「噓つき」を庇う市議に問われる政治家の資質

 ところで、真相究明を行うのは市議会の役目のはずだが、その議会で、池口氏を擁護し、調査を進める村上卓哉市長を攻撃する市議がいることに驚いた。今村寿人――選挙区内における大量の違法看板設置、市議選告示前の事前運動解散状態のまま行っていた後援会活動などなど、規範意識の欠如が心配される議員だ。

 今月8日の市議会一般質問で同市議は、ハンターの記者のことを再三「外部の人間」と表現。記者がゴルフコンペのメンバー表を市に提供して「調査」を申し入れたことを、「外部の人間が市長に指示した」と実態を歪めた上で、「外部の人間と職員のどちらを信じるのか」などと非常識な質問を行っていた。無礼千万な話である。噓つきと同列に論じられる覚えはない。

 今村氏はさらに、市内部の聞き取り調査に、池口課長が「ゴルフコンペには参加していない」と答えていたことを強調。「それなのに、なぜまた市長が問い質したのか」などと聞いていた。市職員の不正行為に関する新たな証拠が出た場合、再度の調査が必要になるのは当然。「なぜ、また聞いた!」という人に、政治家を名乗る資格はなかろう。

 そもそも、田川市や今村氏に関するこれまでのハンターの記事に、間違ったことを書いたことがあったか。今村氏がハンターの報道の直後、違法看板を一斉に撤去し、事前運動とみられるSNS上の投稿を削除したのは、報道が正しかったからに他なるまい。別件で尋ねたいこともある。反論があるなら、いつでもお相手する。

 

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