23日、市議会の議決を経て予算組みされた子育て支援補助事業を見直すと発表した内藤佐和子徳島市長に、市民らが見直しの撤回を求めて集めた約4,700筆の署名簿を提出した。
■「対話重視」の公約も反故に
この日、市役所に駆け付けた市民は子育て世代を中心に約30名。内藤氏へ直接手渡すことを希望したが市長は姿を現さず、諦めきれない市民らと市職員が約2時間押し問答した結果、折野好信副市長が署名簿を受け取った。
保育事業者らによる抗議文提出に続いて、市民らによる署名提出。しかし、内藤市長が公約で重視するとした「対話」は実現しなかった。
署名活動を行った市民の一人は、こう話す。
「2週間という短期間で、これだけの声が集まった。政治に無関心だった以前の市民はもういない。公約を信じて、投票した市民からの抗議の意味もある。この署名の重みを市長に感じてもらいたい」
市民らが声を挙げて求めたのは、内藤市長が唐突に表明した子育て支援事業見直しの撤回と施設整備の即時着手だ。発起人となった市民らが6月9日から、オンライン署名や所定の用紙への直筆署名を呼び掛ける運動を展開。オンラインで672、直筆4,055の計4,727筆の署名が集まったという。
署名を集めたメンバーによると、当初署名活動に賛同していたのは開業予定だった保育事業関係者や市内の子育て世帯が中心だったが、「公務」を理由に抗議の声を無視した市長の姿勢が問題視され、幅広い世代の市民が署名したという。
署名した市内在住の女性(40代)は「対話重視を叫んで、自らへの投票を呼び掛けた内藤市長への抗議です。もともと政治に関心のなかった若い世代が、危機感を持つようになったのは間違いありません」と、活動の意義を語っていた。
■抗議の市民ら25日に会見
市民らは6月議会が閉会する25日までに市長に署名を提出しようと、提出日を23日に設定。事前に保健福祉部を通じて市長との面会を求めていたが、提出日前日になってようやく来たのは、「署名の受け取りは担当部が行うのが通例」という冷たい返事だった。
約束の時間、集まった市民は市長との対話を望んだ。1階ロビーで拒否する市側(下の写真)。あきらめきれないメンバーは市長室のある8階に移動したが、直接対話を阻む市職員との間で押し問答が約2時間続いた。
市民らの猛抗議を受けた市側は、折野副市長が署名簿を受け取る形で事態の収拾を図った。
子育て支援事業見直しに関する内藤市長の一連の行動に対し危機感を抱く市民らは、25日、市役所内で記者会見を行う予定だ。