久留米商工会議所・本村会頭、「本村商店」社長時代に粉飾決算

昨年11月に行われた福岡県久留米市の商工会議所会頭選挙で6選を決めた本村康人会頭(75)が2013年(平成25年)12月まで代表取締役社長を務めていた会社が、事実上の経営破綻で買収されるまで、粉飾決算を行っていたことが分かった。

当時の状況を知る複数の関係者が証言しており、本村氏の商工会議所会頭としての資格が厳しく問われる事態になりそうだ。

■2013年、放漫経営で事実上の社長解任

本村氏が経営していたのは久留米市内の酒類卸として3代続いた「本村商店」。同社は2013年頃から経営難に陥り、2017年(平成29年)8月に酒類食品卸大手「イズミック」(本社:愛知県名古屋市)が買収して子会社化しており、現在はまったくの別会社として「本村イズミック」という社名に変わっている。

「本村商店」の代表取締役社長として実権を振るっていた本村氏は、放漫経営の責任をとる形で2013年12月に退任。翌年6月には取締役も辞任していた。

複数の関係者によれば、経営実態を調べていた金融機関によって、13年10月頃に内部管理体制の不備、つまり「粉飾決算」が発覚。過大な債務を背負った中小企業などの事業再生を支援する「地域経済活性化支援機構(REVIC)」のスキームを利用した計画に沿って、イズミックへの事業譲渡が行われていた。

■肩書だけ「会長」で会頭続投

粉飾決算は犯罪。刑事事件に発展してもおかしくない事例だったが、本村氏が久留米商工会議所の会頭を務めていたため、地場経済への影響を考えた関係者の配慮で、15年12月頃まで登記上の役員資格を有せず何の権限もない「会長」という肩書だけを残したという。

本村氏は、15年12月に実態不明のペーパー会社「久留米業務サービス」(本社:久留米市)の平取締役に就任(2018年3月から代表取締役)。以後、同社を代表する形で久留米商工会議所の会頭を続けている。

本村氏が会頭に就任したのは、「本村商店」社長時代の2007年。6年後に同社の粉飾が見つかった時点で、経営者失格の烙印を押されていたことになる。本村商店の事業再生に関わったREVICや他の関係者からは「商工会議所の会頭を辞めるべき」という意見が出されたが、周囲が“地場経済への影響”にこだわり過ぎたため、放漫経営で会社を潰した人物が経済団体のトップに居座り続けるといういびつな状況を現出させている。

経営者ではないほとんどの国民にとって、暮らしとは縁が薄いと思われがちな商工会議所。しかし、本村氏が「本村商店」を潰したことによって、会議所とは何の関係もない市民・県民が、多大な迷惑を被っていたことが分かっている。次稿でその詳細を報じる。

 

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