暴行で女性に訴えられた愛媛県議会元議長|訴状が示す被害実態

今年1月26日、本サイトで報じた愛媛県の県議会議員が女性に暴行をふるったスキャンダル(現職県議の不倫・暴力、被害女性が提訴へ )。その第1回公判が、7月8日に開かれる。

原告は愛媛県に住む女性で、訴訟額は5,000万円。被告となっているのは、愛媛県議会議員として当選7回。第100代議長(平成24年3月~平成25年3月)を務めたという立派な経歴を持つ岡田志朗氏だ。

■暴行被害の実態

訴状によれば、原告女性が岡田氏と交際していたのは2009年2月ころから2015年7月ころまでの約6年半。県庁所在地である松山市の繁華街でスナックを経営していた女性の店に岡田氏が通うようになり、付き合いがはじまったという。訴状には、岡田氏の理不尽な振る舞いの様子がつぶさに記されている。

《原告は、2013年7月、子宮筋腫の手術のため入院。開腹手術を経て退院した。すると、直後のこと、岡田氏が性交渉を求めたが拒絶。原告が、医師から1か月間は安静にするようにと言われていた。しかし岡田氏が1万円札1枚を投げつけ「お前はセックスマシーンだ」と強引に性交渉をさらに要求。原告が「あなたの奥さんにこんなことするのか」と詰問したところ「できるわけがない」と言い、強引に性交渉を余儀なくされた》

《2013年10月に些細なことが契機となり、原告と被告間で口論となった。被告は烈火のごとく怒り、鬼の形相で、原告に襲い掛かってきたことがあった。その際、被告は原告の正面から力任せに原告の首を絞めた。被告があまりに強く原告の首を絞めたので、同人の指が原告首に食い込み、被告の親指の力で原告の喉ぼとけが押しつぶされそうになった。懸命に自らの指を被告の指と首の間に入れ、何とか難を逃れたが、首には絞められた跡が残った。その2か月後、2013年11月と12月にも,被告から首を絞められた》

《被告が原告以外に●●●という女性と交際していた。そこで原告は自分と別れてもらってもよい旨申し入れた。しかし、被告はさらに逆上し、原告の顔を、平手やこぶしで殴りつけた。被告は原告との交際をやめる話になるたびに必ず原告の顔を殴打し、目の周りに痣ができ、顔がむくんだ。ときには原告の襟首をつかんでひきずって、首がしまり窒息しそうになったこともあった》

《あるときは、被告は原告のアパートに居候していたが、突然、部屋にあるベッドの側面を持ち上げ、原告めがけてひっくり返そうとしたこともあった。原告は辛うじて身をかわしたが、覆されたベッドが当たった衝撃で、クローゼットのドアに穴が開いた》

■通院、入院、そして自殺未遂

関係はすさむ一方だったが、女性は生活のため、連日スナックに立ち続けた。しかし、次第に精神を病み心療内科に通院。入院を余儀なくされたこともある。

2015年7月、「妻に関係がバレた」と岡田氏が一方的に離別を求めてきたため女性も同意した。しかし岡田氏は、それ以後もずっとアパートの合鍵を返さなかったという。訴状には、こうある。

《原告宅の鍵の返却は、別離から約1年が経過してようやく果たされた。原告が被告の違法行為によって受けた精神的肉体的損害や医療費等の賠償は拒絶された。原告の自宅で被告が破壊したクローゼットの穴の修理代も半額の10万円しか支払わなかった》

女性の精神状態はさらに悪化。岡田氏の顔を見たり、名前を聞くだけでも不安定になる精神状態に――。それがきっかけで自殺を図り、周囲が止めてくれたおかげで軽症で済んだということまであった。

それでも、岡田氏は女性のスナックに来店。嫌がらせとしか思えないその行為は2018年12月末まで続き、ついには閉店に追い込まれたという。

■県議会では女性支援を主張

岡田氏は、当選7回を数える県議会の重鎮だ。地元の有力建設会社・久保興業の創業者一族で、選挙区の内子町では内子町森林組合の代表理事も務めている。ちなみに地元で有名な酒造メーカー・千代の亀酒造も久保興業のグループ会社である。

岡田氏は昨年6月24日の県議会で、コロナ禍においては女性の支援が必要だとして、次のように述べていた。

「新型コロナの影響が長引く中、女性の非正規雇用労働者の割合が高い飲食・宿泊業などの対面サービス分野での雇い止めや解雇に加え、休業、シフト減に伴う労働時間の減少により、雇用、収入が失われるとともに、女性の家事・育児・介護の負担感が増大しているほか、生活不安やストレス、外出自粛による在宅時間の増加等により、DV相談件数が前年同期比1.5倍に増加し、女性に対する暴力が深刻化するなど、雇用面や生活面において女性への特に強い影響が懸念されております」

「本県におきましても、コロナ禍で様々な困難や課題に直面している女性に寄り添った支援をさらに強化していく必要があると考えるのであります」

訴状に記された岡田氏の姿を知れば、この県議会発言を信じる者はいないだろう。岡田氏を知る県議会関係者が、こう話す。
「女性から、民事訴訟をされたという情報は聞いていた。岡田氏が、事実無根として女性に反訴を考えているとも噂になっている。だが、岡田氏の女性蔑視、パワハラ、セクハラは以前からささやかれていた。今回の民事訴訟で、議員辞職勧告決議もやむを得ないという意見も聞かれます」

6月のある日、弁護士との打ち合わせがあり松山市内にいた女性に、ハンターが話を聞いた。
「岡田氏が私にしてきたことは、悪行という言葉がぴったりです。県議会議員という公職にあり、社会的な責任のある立場にいる人物が、他人の人格をズタズタにするような行為に及ぶことが許されるのでしょうか。私は長く精神を病み、今も通院していますが、なんとか裁判ができるほどには回復してきました。決死の覚悟で挑みます」

女性の弁護士は、「昨年末、岡田氏に内容証明郵便で催告書を送付した際、(岡田氏から)電話があり、『困った』と連発していました。2015年で付き合いが終わったので、今は関係ないとも話していました。(悪行を)やったのかどうかについては、言及がありませんでした」と振り返る。

岡田氏は日本大学法学部の出身。第1回の公判で、どんな反論、主張を展開するのだろうか。

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