北海道・江差町の道立江差高等看護学院で問題となっているパワーハラスメント事案を巡り、道が近く第三者委員会を立ち上げる方針を固めたことがわかった。5月中にも「現地調査」に赴くなどのスケジュールを含め、同11日招集の道議会で報告される。
取材によれば、道が設置する第三者委は弁護士、学識者、及び看護教育の専門家の3人で構成。現時点で具体的な顔ぶれはあきらかでないものの、5月中をめどに現地調査に入る予定が組まれていることから、すでに委員の人選を終えている可能性が高い。調査の過程で改めて学生や保護者への聴き取りを行なう可能性もあり、調査結果の取りまとめや被害者救済策の検討は6月以降になる見通し。
教員による長期間の.パワハラが表面化した4月以降、保護者説明会や記者会見などで再三にわたって設置の必要性を指摘されてきた第三者委。ここに来てそれがようやく形になるわけだが、学院や道と利害関係のない真の意味での「第三者」が調査にあたることになるかどうかは、委員の顔ぶれが発表されるまで判断できない。調査結果がまとまる「6月以降」は新学期開講から2カ月が過ぎる時期で、夏休みも目前。教員の処分に到っては時期のめどすら立っておらず、休学・退学を余儀なくされた多くの被害者にとって、道の対応はあまりにも遅きに失したと言わざるを得ない。
道ではこのほか、有識者会議を設けてパワハラの背景を検証するなどの方針を固めており、11日午後の道議会保健福祉委員会で概要が報告される。当日は、被害学生の保護者らで構成する「父母の会」関係者が傍聴席からその様子を見守ることになるはずだ。
(小笠原淳)
(※ 江差高等看護学院パワハラ問題のレポートを、現在発売中の月刊「北方ジャーナル」5月号に掲載しています。)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |
*「江差高等看護学院の正常化を求める父母の会」公式サイト⇒https://esashi-seijo.main.jp/