【教育崩壊】“いじめ隠蔽”を隠そうとした鹿児島市教委の幼稚な手口

 鹿児島市立伊敷中学と同市の教育委員会が、令和元年に2年生のクラスで起きた“いじめ”の実態を隠蔽していた。いじめのターゲットになった女子生徒は転校を余儀なくされており、本来なら県教委に報告すべき「重大事案」(県教委の説明)。しかし、真相はねじ曲げられ、県教委への報告も行われなかった。

 暴走を始めた役人の列車は止まらない。“事件”から1年以上経って突然突き付けられたハンターの情報公開請求は、直近3年間に起きたいじめの報告書を、すべて開示しろというもので、当然、その中には伊敷中の事案が含まれている。“まずい”――万が一被害を受けた女子生徒や家族が見れば「嘘」がバレる。市教委内に残されたいじめの記録文書は、絶対に公表することはできない。そこで姑息な教育者たちが考えたのは、隠蔽に隠蔽を重ねることになる「文書不存在」のでっち上げだった。

■いじめ報告書の開示請求をごまかそうとしたが……

 ハンターが開示請求したのは、平成30年度から令和2年度までの3年間に、市内の小・中学校から提出された「いじめ」の報告書と、それぞれの事案に対する市教委の対応が分かる文書。実は、市内の小中学校で起きた「いじめ」の内容と件数を精査し、学校や市教委が伊敷中のいじめにどう対応したかを確認するためだった。報告書自体が、作成されていない可能性を想定していたからだ。同時に、県教委に対しても同じ内容の情報公開請求を行っていた。

 県教委に同じ内容の開示請求を行ったのは、当然報告が上がっていると考えたためだ。しかし、県教委の担当職員は、開示請求から数日後に早くも「対象文書の不存在」を伝えてきていた。

 県教委によれば、市町村の教育委員会が報告してくるのは、子供が自殺したり刑事事件になるなどの重大事案だけ。問題の3年間には1件も該当案件がなかったため、対象文書は不存在になるという説明だった。ただし、「いじめによって転校を余儀なくされたケースは重大事案として報告義務が生じる」(県教委説明)のだという。だが、“いじめで転校”という重大事案の報告は「ありません」と断言する。鹿児島市教委の「隠蔽」は、この段階で確実なものになっていた。

 にもかかわらず、何も知らない市教委は、教育者としては最低の「でっち上げ」に走る。存在している報告書を「不存在」にするため、ハンターの請求内容を無理やり改ざんしたのだ。手口は、じつに幼稚だった。

 開示請求から1週間後、市教委の担当職員が親切そうな声で連絡してくる。以下は、その時の記者と市教委のやり取りである。

市教委:内容について確認をさせもらってよろしいでしょうか?
記者:どうぞ、どうぞ。

市教委:お求めの、市内の小中学校から提出されたいじめの事故報告書とは、いわゆる校長が公印を捺したものを市に提出し、その後県に出す事故報告書という捉え方でよろしかったですか?
記者:はいはい。まあ、これこれこういういじめがあって、こう対応しました、こうなりましたと――。どこまで書いてあるのかは分かりませんけど、そうしたいじめの報告書であれば結構ですよ。ありますよね。

 開示請求の内容を確認してくるのは普通のことで、どこの役所でも同じような連絡が来る。県教委は市教委側より早く請求内容の確認と「不存在」になることを伝えてきていたため、市教委も丁寧な対応を行っているものと考えた。ただ、市教委職員の最後の確認には、違和感を覚えた。

市教委:はい。よろしいですか。校長の公印を捺したもの、それを市に提出して、事後に県に出した事故報告書いう捉え方ですね。

 「公印」と「事故報告書」にずいぶんこだわるものだと思ったが、お人好しの記者は「宜しくお願い致します」と返していた。それから約1週間。仰天の文書不開示決定通知には、「校長が押印し、市に提出された当該事故報告書は、存在しないため」とあった。

 前掲の開示請求書の通り、ハンターの請求内容には「校長の公印」などという文言はどこにも入っておらず、開示請求直後に内容確認の連絡をしてきた市教委側が、記者とのやり取りの中で一方的に持ち出してきたもの。しかも、親切に文書の形式まで教えてくれた格好の話しぶりだったことから、記者は「校長の公印」という一語が請求文書の特定に悪用されるなどとは、これっぽっちも考えていなかった。明らかな「不存在のでっち上げ」、請求内容の改竄である。これほど幼稚で、悪質な文書隠しの手口には、出会ったことがない。請求を出し直すという前代未聞の展開となったが、県教委のおかげで、疑いに過ぎなった「隠蔽」が「既遂の事実」になっていた。

 この後、再提出した市教委への情報公開請求で、伊敷中と市教委がいじめを矮小化し、ハッピーエンドの筋書きに変えて幕引きを図っていた証拠が出てくる。

(つづく)

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