前任の田川市環境政策課長・市民生活部長に公文書偽造・同行使の疑い(下)

ごみ収集運搬業者の業者選定プロポーザルで不正な点数操作を行い、特定業者に事実上の便宜供与を行っていた疑いが持たれている田川市の環境政策課が、公式に「ない」としていた何件もの旅行命令書を、不開示決定後に遡って作成するという偽造行為を行っていたことが分かった(既報)。偽造に手を染めたとみられるのは、環境政策課の前課長・池口芳幸氏(現・市立病院総務課長)と勢嶋伴睦前市民生活部長。存在しないはずの旅行命令書を二人だけで作成し、公開させたことで、公文書偽造・同行使の可能性がある。

■「不存在」一転、10件もの旅行命令書

まず、偽造の疑いが持たれる「旅行命令書」から、池口氏の令和元年度から今年7月までの出張状況を確認しておく。

前稿で指摘したとおり、池口課長が、ごみ処理施設整備事業に関する開示請求の内容や請求者の氏名を、永原譲二大任町長に漏らしたとされるのが今年の6月19日。この情報を得た町長が田川市役所に出向き、村上市長に圧力をかけたのは同23日だ。池口氏は、それまで1度も記録にない大任町への出張を、19日から26日までのわずか1週間で4回も行っていたことが分かる。「事務打ち合わせ」という、それまでなかったぼかした用務内容も不自然というしかない。要は、永原町長へのご注進と、今後の方針についての相談だったということだ。守秘義務違反を犯しているという自覚がなかったようだが、この動きを見る限る、池口氏は田川市職員ではなく永原氏の秘書。実態は、仕える対象である「田川市民」を置き去りにした職場放棄である。

最大の問題は、本件に関するハンターの1回目の開示請求に対し「文書不存在」とした「本年6月1日から7月10日」までの旅行命令書が、部長と課長が異動した後の開示請求で出てきたこと。いずれかの時点に遡って作成されたのは確かだ。「遡って作成」と言えば聞こえはいいが、つまりは偽造。出張の日付や用務先が合っているとしても、公文書としての正当性はないに等しい。

そもそも、ハンターの記者の開示請求に対して公式に「旅行命令書不存在」の決定をした以上、その決定を覆すような事態になったのであれば請求者に連絡するのが筋。非開示決定を出した後で、こっそり命令書を偽造したのは、何件もあった不正出張を隠蔽するためだったとしか思えない。

その証拠に、「6月1日から7月10日」までの旅行命令書と復命書に関する開示請求を知った勢嶋部長が、日付を遡って出張命令書を作成することを画策。担当部門である総務課が「公文書偽造」だとして反対したため、「口頭での出張命令」でごまかしたことが明らかになっている(既報)。

■部長と課長、二人だけの決裁印

旅行命令書の偽造を主導したのは二人。前述したように池口課長と勢島部長である。旅行命令書の決裁欄が、その証拠となる。

 極めて悪質と思われるのは、旅行命令書の「起票日」が、実際の作成日ではなく出張が行われたとする日付になっている点だ。池口課長が永原町長に内部情報を漏らしたのは今年6月19日だが、起票日も同日。やってはいけない偽装工作だった。確認したところ、遡って作成された偽造文書の決裁者は、すべて池口課長と勢嶋部長になっている。

 永原町長への情報漏洩が行われた6月19日、さらにその2日後の21日には、偽造に加担した勢嶋部長も大任町に出向いていた。下がその時の旅行命令書だが、やはり決裁は勢嶋部長と池口課長の二人だけだ。(*画像クリックで拡大

 当初、ハンターが開示請求した池口課長と勢嶋部長の旅行命令書は「本年6月1日から7月10日」までのもの。今回の請求で出てきた当該期間の偽造命令書は、すべて池口・勢嶋両氏による決裁となっている。

“なかったはずの公文書が、なぜ存在しているのか?”――田川市の環境政策課に説明を求めたところ、「7月の開示請求の時点では、本当になかった。その後、これではまずいということで、改めて命令書を作成した」と事実上の偽造認定。さらに“どのような証拠に基づいて後付けの命令書が作られたのか”と問い質すと、「関係者に聞き取りして作成したらしい」と曖昧なことを言う。“関係者とは誰か?”との詰めに返ってきたのは、「前任の課長とか……」という一言だった。信憑性ゼロ。池口課長や勢嶋部長を庇ってのことなら、現在の環境対策課も信用できないことになる。

旅行命令書を偽造して情報公開請求の対象文書とし、実際にそれらを公開させたことで、池口氏や勢嶋氏の公文書偽造・同行使が視野に入る状況となった。

 

 

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