【独自入手】密接交際の証明|永原譲二大任町長と指定暴力団会長の「記念写真」

指定暴力団「太州会」の最高幹部から、複数の不動産物件を取得していたことが分かった福岡県大任町の永原譲二町長。福岡県町村会の会長や全国町村会の副会長という立場にある彼が独裁的な行政運営を続けてこられたのは、背後に太州会の存在があったからだ。

一般人が組幹部の所有する土地や建物を売買で取得するのは、ほとんど不可能。22日の配信記事で報じた永原氏と太州会最高幹部との間の不動産売買の実態をみるだけでも、両者の関係の深さが知れよう。

「不動産を買ったのは事実だが、それを以て指定暴力団と密月だとは言えまい」――永原氏はそう開き直るかもしれないが、彼が太州会の“密接交際者”であることを明確に示す「証拠」を、ハンターが独自に入手した。

■町議から「企業舎弟」に

永原氏の経歴を、分かる範囲でまとめた。

1990年(平成2年)の町長選落選後、永原氏は工事請負などで稼ぎながら6年後の1996年(平成8年)に建設資材を扱う「九州環境企業組合」を、その翌年には有限会社「鷹羽建設」(現・株式会社鷹羽建設)を設立して事業を拡大していく。

特筆すべきは、この間に永原氏が、古河鉱業(現・古河機械金属)が所有していた炭鉱による「鉱害」(石炭の採掘によって起きた地盤沈下や陥没など)の復旧事業において、工事協力会の事務局長として同事業の仕切りを行うようになっていたこと。永原氏はこの立場を利用して、数百億円規模といわれる古河の農地復旧事業で、巨額の利益を得たとされる。

時系列で見れば、永原氏が平成8年から9年にかけ相次いで企業組合と建設会社を設立した目的と、鉱害復旧工事が結びついていたことは容易に想像がつく。

利権に群がる連中があまたいる中で永原氏が一人勝ちしたのは、そのバックに三代目太州会・大馬雷太郎会長の存在があったからに他ならない。

鉱害復旧で辣腕をふるい、大馬三代目の、いわゆる企業舎弟の筆頭格にのし上がった永原氏は、太州会にとっても大きな米びつになっていく。そうしたウィンウィンの関係が、両者の蜜月ぶりを示す「記念写真」を残すことになる。

■太州会ゴルフコンぺで始球式

下の写真が撮られたのは、2000年(平成12年)の秋頃。場所は田川郡内のゴルフ場だ。

この写真は、太州会の幹部や組員、企業舎弟などを集めて開かれたゴルフコンペの「始球式」の、まさにショットの瞬間を捉えたものである。始球式の主役は3人。左端が永原氏、真ん中は大馬会長の実兄で元暴力団幹部の大馬雷太氏、右端が太州会の大馬雷太郎三代目会長である。

■汚れた権力者 ー 逮捕歴も

「記念写真」は当時一部の組関係者に配られたもので、ハンターは先月、独自に入手していた。前掲の時系列に問題のゴルフコンぺを加えると、太州会頼みで権力の座へと駆け上った永原譲二という、「汚れた権力者」の姿が鮮明となる。

暴力団関係者と政治家や芸能人とのツーショット写真は珍しいものではない。そうした写真が世に出るたびに繰り返されてきたのは、「たまたま行った先の会合(あるいは飲食店)で写真に納まっただけ。相手が暴力団関係者とは知らなかった」という言い訳だ。しかし、ゴルフコンぺ始球式の記念写真に、そうした主張は通用しない。

大勢の組関係者が見守る中、太州会の大馬三代目とともにゴルフクラブを振り抜いた永原氏の得意げな表情――。大馬三代目の兄の雷太氏も、元暴力団幹部。周囲を固めているのは、当時の組幹部や企業舎弟の面々である。永原氏が、まさに「密接交際者」である証だろう。

建設会社の代表や役員が暴力団員と飲食やゴルフを共にしたことが分かった場合、警察は業者を「密接交際者」(暴力団との関係を有する事業者)として公表する。その結果、当該業者が自治体のあらゆる契約案件から排除されるのは言うまでもない。

永原氏は、大任町という自治体のトップを務める政治家であり、さらには県町村会の会長や全国町村会の副会長という要職にも就いている。業者以上に、厳しい倫理観が求められる存在なのである。それが指定暴力団のゴルフコンペで、最高幹部と仲良く始球式をやっていたというのだから、事態は深刻だ。

このゴルフコンぺ始球式の5年後、永原氏は念願の町長に「無投票」で初当選する。2002年(平成14年)に建設業法違反(建設業許可虚偽申請)で逮捕された身でありながら、豊富な資金を持ち、「太州会」をバックにつけた永原氏に逆らう人間はいなくなっていた。永原氏にとっての最大の敵は、同氏が建設業法違反で摘発された2002年(平成14年)に起きた、別のある事件を契機に失脚。翌年には町政の舞台から消えていた。そのある事件とは……。

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