自民党鹿児島県連が公認申請者から上納金 氏名隠して収支報告

自由民主党鹿児島県支部連合会(会長:森山裕衆院議員)が、公認申請を行う立候補予定者から、「公認審査料」と称して上納金の徴収を続けていることが分かった。公認を買わせた形だが、収支報告書には審査料を支払った候補者の氏名を記載しておらず、実態を隠した形となっている。

■実態隠し

県選管に提出された政治資金収支報告書によれば、自民党県連は「審査手数料」として2018年6月に50万円1件、9月から10月末にかけて10万円38件計430万円の収入を得ていた。

50万円は昨年行われた参院選の候補者の、10万円は同年4月の県議会議員選挙に関して、38人の候補者から徴収したものだという。

しかし、39件の審査手数料で明確になっているのは日付だけ。誰からの収入だったかは記載されていない。

候補者の名前を記載せずに収入の実態を隠した形で、不透明な収支報告であることは間違いない。

■懲りない体質

鹿児島県連は以前から、選挙ごとに県議に10万、国会議員に50万円を「審査手数料」として請求し、そのすべてを県連の収入にしてきた。

2014年には、HUNTERの調べで、衆院選と県議選の公認を決めるにあたって600万円以上の審査料を集めていたことが判明。政治資金収支報告書には個別の収入を記載せず、他の臨時収入と合わせ「特別党費」として扱い、一般党員からの『党費収入の中に紛れ込ませる形』(県連側の表現)で処理していたことも分かっている。虚偽記載が疑われる収支報告だったが、県連側は懲りていなかった。

公認申請者からの「審査料」は他の都道府県連では例がなく、前回の取材時、自民党本部は「聞いたことがない」と明言していたほど。公認をカネで買う形となるのは確かで、不適切な慣習と言えるだろうが、県連がこの審査料徴収を止める気配はない。支払者を隠す処理方法も受け継がれており、こうなると確信犯だ。タチが悪い。

・審査料の徴収で公認を買わせた形になっているが?

・申請者の名前を隠した政治資金収支に違法性はないのか?

2点についての記者の質問に対し、県連の事務局は次のように話す。「前回の指摘を受け、収支報告のやり方を変えたと聞いているが、立候補が本気かどうかの判断材料になるということから、審査料徴収は続けるべきだという声もある。支払った候補者の名前が出ていないことは確かで、ご指摘の趣旨は執行部に報告する」

県連側がいかなる主張を行おうとも、立候補予定者が支払ったカネは、本来「寄附」として処理すべきものだ。県連は政治団体であり、やっているのは政治活動。政治資金パーティー以外の収益事業は許されていない。その他の事業で収入として受けることができるのは、会合などの際に支払ってもらう会費など。公認審査と称して、カネをもらうこと自体が問題なのである。

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