【速報】江差看護学院パワハラ教員10人に懲戒|免職なし、戒告4人、減給5人、停職1人

 問題発覚からまもなく1年になる北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で3月29日、道はパワハラに関与した教員10人の懲戒処分を発表した。最も多くのハラスメントが認められた副学院長(62)は「停職6カ月」の処分となり、今月末に依願退職する。ほかの9人はいずれも「減給」及び「戒告」処分に留まったが、うち1人が副学院長と同じく退職の意向を示しているという。

 ◇   ◇   ◇

 道が発表した処分対象者と処分量定、及び処分理由は、それぞれ以下の通り。

・副学院長(62)「停職6カ月」…長期間にわたり複数の学生に暴言、威圧的行為など
・女性教員(62)「戒告」…執拗に始末書を書き直させるなど
・女性教員(58)「減給3カ月」…複数の学生にたび重なる暴言や侮辱的発言など
・女性教員(53)「減給1カ月」…複数の学生から学習権の剥奪など
・女性教員(51)「減給1カ月」…侮辱的な発言など
・女性教員(57)「減給1カ月」…複数の学生に暴言など
・女性教員(45)「戒告」…暴言など
・女性教員(47)「戒告」…執拗に反省文を書き直させるなど
・女性教員(58)「減給1カ月」…複数の学生に暴言など
・男性教員(49)「戒告」…退学推奨とされる威圧的な行為など

 ハラスメント事案調査にあたった道の第三者委員会は昨年10月に教員11人の関与を認定したが、今回処分の対象となったのは10人。発表後に会見を開いた道はこれについて「1人はすでに退職しているため対象とならなかった」と明かした。調査報告からはすでに半年を経ており、処分が遅くなった理由を問われた担当課は「個別の事案を整理する作業などに思った以上に時間を要した」と弁明、「被害者のお受け止めとしては『遅すぎる』ということはあると思う」と認めた。

 処分対象となった教員の去就、とりわけ今も学内に残る2人については、異動させずに引き続き教職に留めるという。担当課は「まったく問題なしとはしないものの、ベターな選択だと思っている」と説明、今後の再発防止については「学院運営アドバイザー(旧・第三者委)に協力いただき、外部の視点を入れて適正化をはかりたい」とした。被害者や保護者らが求める公開の場での謝罪については「考えていない」と改めて否定、個別に謝罪対応を進めていく考えを示した。一部の事案では、すでに謝罪を終えているという。

 道の『懲戒処分の指針』によると、パワーハラスメントをした職員への制裁は最高で「免職」。今回はどの教員もこれに該当しなかった結果となり、被害者などからは「甘い」との指摘が上がった。保護者の1人は「処分したから『これでクリアー』とばかりに、また復帰させることもあるのでは」と不信感をあらわにする。「父母の会」代表を務める保護者は次のようにコメント、再発の可能性を危ぶんでいる。
 「率直に処分が軽いと思っています。望んでいた結果は免職処分です。この結果を聞いて加害教員がどう受け止めるかが課題。『この程度か』と思ってしまったら、パワハラは続きます」

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 次々に不正を疑わせる事実が明らかとなり2度目の百条委員会設置となった福岡県田川市の「一般廃棄物(ごみ…
  2. 「“石破は嫌い”で突っ走ったのが間違い。これで当面は反主流。冷や飯だ」と苦笑するのは麻生派の衆議院議…
  3. 自民党の総裁選は、決選投票で石破茂氏が高市早苗経済安保相を破り、5度目の挑戦で総裁の椅子を射止めた。…
  4.  疑惑まみれとなって県民の信頼を失った鹿児島県警の野川明輝本部長が、事件の隠ぺい指示を否定する度に持…
  5. 9月23日、第一野党の立憲民主党が代表選を行い、野田佳彦元首相が枝野幸男元代表、泉健太前代表、吉田晴…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る