洲本市・ふるさと納税疑惑の100条委機能せず|注目される次の展開

「ハンターが暴いた億単位の商品券が、突然、移動されました。焼却処分への準備ではないか」――5月31日、洲本市の職員からそう連絡があった。

ハンターが追及してきた、兵庫県洲本市のふるさと納税を巡るトラブルについての内部通報だ。同月28日に、同市魅力創生課が担当して印刷、発行していた商品券最大4億円相当が洲本市の南庁舎に塩漬けされていることを報じた既報)ばかりだった。

■「100条委」機能せず

洲本市のK市議によると、「議会事務局のI氏という人物が、ハンターのネット記事を見つけて5月29日朝、出勤するなり、右往左往していました。まさに激震でした」――すると洲本市は、31日までに市役所内の秘書広報課に保管場所を変更したという。秘書広報課がカギの保管場所となれば上崎勝規市長の直轄となる。

商品券は、洲本市が開催している100条委員会で「疑惑の中心」と指摘されている魅力創生課のS元課長が自由に持ち出せる状況だったとされ、パソコンなどの購入に充てるため、私的利用していたのではないかとの疑惑が浮上していた。

S元課長は否定しているが、物証などからパソコンが3台、商品券で購入された可能性が高いとみられるている。

ハンターは、うち1台のパソコンを買った請求書を入手。地元のB社が2017年3月10日に発行したものだった。1枚は《ノートパソコン》、もう1枚は《無地大型段ボール底面B2 15枚》などという品名になっている。だが2枚とも《アップルマックブックかきかえ》と手書きされている。

市役所のシステムで使用可能なパソコンや段ボール箱を購入したように偽装して、アップル製のマックブックを買っていた証明。これは刑事的な問題にもなりかねない。

100条委員会でも、何度もS元課長にその点の質問が及んだ。「わかりやすくいうと、洲本市内で使える独自通貨を洲本市役所が印刷、発行。それがS元課長らにより、不正とも思われる使い方をされていたので100条委員会となっている」(前出・洲本市の職員)。しかし、S元課長は商品券でパソコンなどを買ったことを否定。疑惑は晴れぬままとなっている。

上崎市長、S元課長が関係したおせち料理バラマキの件で、公職選挙法違反の疑いをかけられ刑事告発を受けている模様だ。同市長は副市長時代の2021年秋、S元課長とともに5,000万円近い税金を投入し、おせち料理をふるさと納税の返礼品に加えたが申し込み状況は芳しくなかった。

その後、上崎氏は2022年3月に予定されていた市長選に出馬表明し、市役所を退職。22年1月に、使われなかったおせち料理を新成人や医療従事者、ふるさと納税の返礼品業者にばらまいたという疑惑から、刑事告発になったとみられる。

この時も、残ったおせち料理は廃棄され、証拠が隠滅された。最終的におせち料理が保管されていたのは、上崎市長の自宅隣にある民間業者の冷蔵庫。そこから、公用車で処理場に運ばれたことが分かっている。次から次へと浮かび上がる、ふるさと納税私物化疑惑。前出の洲本市職員がこう話す。

「上崎市長が副市長当時におせち料理を発注。市長選出馬表明後に、配っている。そこで、税金を使って有権者を買収をしたのではと疑惑を持たれている。おせち料理の廃棄について、市議会への報告、議決はなかった。4億円ともされる大量の商品券が同様に廃棄されるとなれば、市民への背信行為であることは明らか。しかし、上崎市長には事を急がなければいけない理由がある」

■囁かれる「悪のストーリー」

上崎市長は、6月末まで務めるとボーナスが受け取れる。その直後に退任して、電撃的に市長選を実施。100条委員会の委員長、木戸隆一郎市議に「禅譲」して反省の態度を見せ、刑事的責任は逃れるというストーリーが描かれているというのだ。

最近、営業挨拶のため洲本市を訪れた業者の話がある。「いつも、上崎市長にご挨拶します。しかし、6月初めに行くと『市長は挨拶、受けません』というのです。困惑していると『次の人、木戸市議に挨拶されては』と職員から言われました。上崎市長の後継が木戸市議になるんだと感じました」

前出のK市議が次のよう嘆く。
「洲本市議会は、事実上、上崎市長と木戸市議、そして中野睦子市議の3人が中心で動かしていると言われています。5月1日に開催された100条委員会では、浜辺学副市長と上崎市長の証人尋問が組まれていた。しかし、上崎市長に厳しい質問が出ると、委員の一人として議場にいた中野市議が委員長の木戸市議の方を振り返り“早く終わらせろ”といわんばかりに手で指図をする。傍聴席から『いらんことするな、中野!』と抗議が上がる始末でした」

それでも中野市議の越権行為は止まらないという。5月25日の100条委員会は、S元課長が証人とあって傍聴希望者が殺到。整理券が配布され抽選となった。その際、洲本市役所の1階ロビーでメガホンを手に市民を誘導していたのが中野市議だった。

「市議会では、中野市議がメガホンで誘導するなんて話は出ていない。テレビ局が取材に来ているから目立とうと誘導したんじゃないですか。中野市議は、木戸さんが市長になることを前提に、『洲本市初、女性の市議会議長』と今からPRに余念がありません。100条委員会でS元課長は悪くない、問題は他にあるという落としどころに誘導しているのが中野市議。真相究明には程遠い状況です。100条委員会がなんたるか、わかっていない。中野市議の偉そうな態度は早くも議長気取りのような態度に見えます」(K市議)

この話を横で聞いていた洲本市民が、「中野さんは某保険会社の営業をやってる。議長の肩書があればますます繁盛する」とつぶやいていた。

そんな中野市議の「増長ぶり」が垣間見えたシーンがあったという。一部始終を見ていた市職員によれば中野市議がメガホンを手に奮闘していた時、ある記者が100条委員会の取材にやってきた。事前にアポをとっていたので担当者に会いたいと受付の市議に告げたが、担当者は不在だった。記者は「来てほしいと言われたから来たのですが、(担当者は)いつ戻るんですか」と聞くが、はっきりわからないという。すると、5、6m先でやりとりを聞いていた中野市議が「なんの用件ですか、いませんよ」と高圧的に記者に言い放ったという。

「目の前の市議が対応しているのに、離れたところから偉そうな口調で話す中野市議にムッとしたのか、記者は『用件はこの方に伝えています。なぜ離れたところから傍聴に来た人に、上から目線で絡んでくるのか』『あなたはいったいなんだ』と反撃された。中野市議はふてくされたように『失礼しました』と不満そうな声で言っていた。土曜日の100条委員会を取材に来てくれた記者に突っかかる態度は、あまりにひどかった。これが公人としての対応なのかと驚きました」――ロビーでの一部始終を見ていた市職員はそう話す。

6月11日、100条委員会の協議があり、これまでの証人尋問で意見が対立していることから、調査が不十分ではという話が出た。とりわけ、おせち料理を廃棄した洲本市職員やS元課長が商品券でパソコンを買ったという市の出入り業者、関連会社などの尋問が不可欠との意見が出た。しかし、木戸市議は「大きく意見が違う点もあるが、各委員で検討してほしい」というだけで100条委員会を早期に決着させる方針を変えなかった。

想定される動きは、次のようなものだ。

6月の市議会で、上崎市長がふるさと納税などの混乱の責任をとるとして辞意を表明→木戸市議が市長選出馬表明→急なことで対抗馬は不在→無投票で市長へ→100条委員会は中途半端な形で終結→木戸市長・中野議長体制に――。当然、これまでの問題は何も解明されず、疑惑は封印される。市民不在、まさに「悪のストーリー」だ。

 

 

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