【速報】兵庫県洲本市・ふるさと納税不正疑惑で事件化か?

兵庫県洲本市のふるさと納税を巡り、ハンターはこれまで、事件性のある事案であること報じてきた(既報)。その洲本市の議会が設置した「元市職員の不適切な事務処理等に関する調査特別委員会」と「株式会社淡路島第一次産業振興公社の事務処理等に関する調査特別委員会」という二つの100条委員会が5月25日、26日の両日に開かれ、洲本市魅力創生課のS元課長が証人として出席。30ほどの傍聴席が整理券を配布して抽選になるほどだった。

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第三者委員会の報告書には、総務省が定めた基準以上の高額な返礼品を送付したことや、温泉利用券に関する虚偽公文書作成、洲本市発行の商品券でパソコンとプリンター、合わせて約100万円相当を購入したなどが記されていたが、こうした内容について指摘されたS元課長は2日間にわたる証言で、「返礼品は総務省にリストを出していたので問題がないと言われた」、「虚偽の公文書を作成した覚えはない」と事実関係を否定した。

そして、洲本市が東京・有楽町に出店したアンテナショップの委託先だった第三セクター「淡路島第一次産業振興公社」との契約が2か月ほどで解除されたトラブルについては、「委託先、洲本市の第三セクター側が協議に応じないなど問題があった」、「弁当を4,800円で仕入れ、安く売るなど知らなかった」と説明。だが、ハンターが入手したS元課長と第三セクター側のメールには《Sさんからお弁当の売価です》というタイトルで、《オープン記念価格として、いったんはこの価格で後から調整していくということでどうでしょうか?》と弁当価格の一覧表が添付され(*下の画像)、S元課長に送信されていた。

仕入れ4,860円の「幕の内9種」が1,860円という破格の価格で売られていたことをS元課長が承知していた証拠だ。これに対し、アンテナショップの元店長はこう憤慨する。

「S元課長が協議はない、弁当を仕入れより安く売ることをとんでもないと言っていてあきれました。アンテナショップに関することはほぼすべて、S元課長の指示であり、了承がないと何もできませんでした」

100条委員会で虚偽の証言をした場合に洲本市議会が刑事告発すると、地方自治法違反(偽証)に問われる可能性がある。最近でも東京都千代田区、徳島市などで議会が刑事告発した事例がある。

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最大の注目の一つが、同市魅力創生課が担当して印刷、発行していた商品券。S元課長が自由に持ち出せ、それをパソコンなどの購入に充てるため、私的利用していたのではないかとの疑惑が浮上していた。

元課長は「シリアル番号を入れて印刷すると時間がかかると言われた」、「魅力創生課の担当者の横の段ボール箱にふたをして商品券は入っていた。勝手に持ち出せる状況ではない」と否定するも、「商品券(の枚数などを管理する)台帳はなかった」と管理の杜撰さを認めた形となった。

しかし、パソコンなどを販売したX社は洲本市議会に対し、《上記はふるさと洲本応援商品券を(S)前課長より渡されたことが、当社にて確認できたもの全てを記載しています》と回答。ここでも「偽証」という声が傍聴席から上がっていた。

「最も大きな問題が、台帳、シリアル番号などで管理していなかったことで商品券が印刷し放題で、自由に使えたのではないかということ。税金で作成された商品券は現金と同等ですから」と洲本市の職員はそう指摘し、1枚の写真(*下、参照)を見せてくれた。

写真の場所は、洲本市役所の南庁舎書庫。そこには、《品名 2021 ふるさと洲本応援商品券 (10枚綴り) 【重要印刷物】》とステッカーが貼られた段ボール箱が、少なくとも約40箱は確認できる。商品券は1冊あたり、1,000円券×20枚綴りの2万円分であることもわかる。それが1箱に500冊、つまり1千万円分入っている。40箱となれば、4億円になる計算だ。商品券にはシリアル番号に加え、使用期限もなかった。

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ハンターは、すでに洲本市民がS元課長らを被告発人として刑事告発していることを確認している。前出の市職員が次のように語る。

「本当なら、2021年9月に印刷、納品されているわけで、その時点ですぐに洲本市民に販売もしくは配布していなければならない。しかし、在庫として置かれたままということは、誰かがよこしまな策略を考えていたのではと疑いたくなります。事実、S元課長による商品券の疑惑を第三者委員会が指摘している。2022年3月には洲本市長選が予定されていましたので、その直前に納品されていたことが日付からもうかがえます。そこにリンクするのではないかと感じている市職員はけっこういます。その後、ふるさと納税などに関する問題が勃発、やばくなり使えなくなってしまったのではないか」

S元課長の100条委員会での証言が前日までに終わった5月27日、市職員は通常業務のために出勤した。すると問題の商品券が「廃棄されようとしている」という情報が駆け巡ったという。

ハンターでは、ふるさと納税に関連して、おせち料理の疑惑についても報じてきたが(既報)、4億円もの現金と同等の商品券が、市議会や市民への報告もなく廃棄される「Xデー」が近いとなれば、看過できない。

洲本市ではふるさと納税などに関する強制捜査の「Xデー」に加えて、もう一つの「Xデー」が囁かれている。

ふるさと納税の不正が発覚直前だった2022年3月に当選した上崎勝規市長が一連の問題の責任をとり、ボーナスを受け取った後に電撃辞任するというのだ。市周辺では、次のような噂まで出ている。

・「K市議が上崎市長から秘密裡に後継指名を受け、出馬のポスターまで印刷に取り掛かっている」

・「上崎市長が突然の辞任で、他陣営は準備が整わず、無投票当選をK市議は狙っている」

・「K市議は市長選のためか、やたら早期に100条委員会の終結をと強く訴えている」

いくつもの「Xデー」に揺れる洲本市。「悪のたくらみ」にストップをかけるのは、やはり捜査のメスになりそうだ。

 

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