わいせつ擁護の医師会長に県が怒りの来庁結果開示|鹿児島県医師会に問われる規範意識(6)

新型コロナウイルス感染者の療養施設で鹿児島県医師会の男性職員が強制性交の疑いが持たれる行為に及んでいた問題を巡り、同医師会の池田琢哉会長が県に対し、性交渉が複数回あったという男性職員の言い分だけを申し立て、「強姦といえるのか、疑問」「(警察からは)事件には該当しないと言われている」などと発言していたことが分かった。池田氏の発言は県への情報公開請求で入手した文書に明記されていたもの。わいせつ事案が表面化した背景に、県医師会の会長選挙があるとの見方まで示しており、問題のすり替えや事件の矮小化を図る狙いがあったとみられる。

男性職員の一方的な“言い訳”を開陳する一方、県から委託を受けた医療の現場で、医師会の職員が不適切な行為を行ったことへの謝罪や反省は皆無。コロナ患者や女性の人権をそっちのけで、自分たちの責任を軽くしようとする非常識な姿勢に、改めて批判の声が上がりそうだ。

■報道前、事件の矮小化狙ったが・・・

ハンターは2月末、鹿児島県に対し、コロナ対策のために県医師会に委託した療養施設の運用に関する文書や池田医師会会長の来庁時の説明などを記録した文書を開示請求。県は今月15日付けで、県医師会との業務委託契約関連文書や医師会会長の来庁時の記録など133枚を開示した。開示された文書のうち、下が「県医師会池田会長の来庁結果について」と題する記録である。(*黒塗りに重ねた黄色の文言は、ハンターの記者が取材で得た事実をもとに、推測される語を記入した。赤い書き込みは、ハンター編集部)

 池田氏が新型コロナ対策を所管する県くらし保健福祉部を訪れたのは2月10日。わいせつ行為について地元紙・南日本新聞が報じる5日前だった。すでに南日本新聞の取材が進んでいたのは確かで、事前に“言い訳”を行った形だ。

『強姦といえるのか、疑問』、『複数回』、『(警察からは)事件には該当しないと言われている』――いずれの文言も、“合意があっての性交渉だから問題ない”という考えに基づいている。事案の矮小化を図ろうという狙いがみえみえで、そこには療養施設で不安を抱えながら過ごしていたコロナ患者に対する配慮や、「強制性交」の被害を訴えている女性に対する思いやりの気持ちは一切ない。

さらに、事件発覚の背景に医師会長選挙があることを匂わせた点に至っては、責任転嫁としか思えないただの“こじつけ”。コロナ療養施設でのハレンチ行為を逆利用して、医師会長選挙を有利に運ぼうとしているともとれる。無責任な姿勢には、開いた口が塞がらない。

コロナ療養施設でのわいせつ行為が露見してから、池田氏は一貫して「合意説」を主張してきた。2月22日に開かれた「郡市医師会長連絡協議会」の冒頭、同氏は、問題を起こした男性職員の“事件”についての言い分を披露する中で次のような発言を行っている。

本人(医師会職員)によりますと、昨年8月下旬から9月上旬にかけて当該医療機関と宿泊療養施設内で複数回、行為を行った。そのうち、性交渉が5回で、すべて合意のもとであった

まあ、ちなみに本事案は短時間の間になされて数回性交渉が行われていることは双方の代理人弁護士の主張からも明らかで、強姦とは言い難いと思います

今日あったこういう情報をですね、ある程度かみ砕いて伝えていただければ、現状はこうなんだよということをですね、伝えていただければありがたいなと思います」

今回県が開示した「県医師会池田会長の来庁結果について」で明らかになったように、池田氏はまったく同じ内容を、この会議の12日も前の段階で、県に伝えていたということになる。

『憤っている』が示す県の怒り

こうした池田氏の傲慢かつ無責任な態度に対し、県側が厳しい言葉で応酬していたことも分かった。開示された文書の後半には、こう記されていた。

《業務委託中の現場での事案であり、実情が見えないが決して良い性質のものではない。》

同意の有無を問わず、そのような行為が宿泊施設内で行われたことについて、憤っている。問題意識がどうかとの疑問もある。》

『憤っている』『問題意識がどうかとの疑問もある』――行政が記録に残す文言の表現としては、異例の厳しさだ。県費を使った命を守るための事業で、委託費を受け取っている県医師会の職員が、患者をそっちのけで性的行為にふけっていたというのだから、当然だろう。憤っているのが県の後ろにいる県民であるということを、池田氏をはじめとする県医師会の上層部は理解できていない。

複数の県関係者によると、コロナ患者や被害を訴えている女性のことを無視した医師会側の姿勢に対する塩田康一鹿児島県知事の怒りは凄まじく、事務方に徹底追及を指示しているのだという。『憤っている』という言葉は、知事から医師会へのメッセージと言っても過言ではあるまい。

何度も述べてきたが、医師会職員による新型コロナ療養施設での性交渉は、絶対に容認できない愚行。「合意の有無」とは関係のない問題なのだ。合意があったから医師会の責任が軽くなるというわけではなく、なかったから重くなるというわけでもない。医師会の選挙がどうのという主張に至っては、幼稚すぎて子供でも笑うだろう。いずれも、情状酌量の理由にはなり得ない。問題のすり替えに血道をあげる県医師会の上層部は、どう責任を取るつもりなのだろう。

池田会長ら医師会の上層部は、組織内に立ち上げた「調査委員会」の結論を待って、今後の方針を決めるのだと主張している。だが、調査委員会は池田氏らが選んだメンバーで固められた組織。しかも議論に入る前に、「合意があった」「強姦とは言い難い」(池田氏と常務理事)「人騒がせ」(大島郡医師会の会長)などと幹部が方向性を示す発言を行っており、そこから逸脱した結論を出すとは考えづらい。そもそも、医師会内部の調査委の結論がどうであろうと、県医師会に監督責任が問われることに変わりはないのである。

ここで、改めて池田氏らの問題発言をまとめた音声データを公開しておきたい。(*池田会長、大島郡医師会の会長、常務理事、大島郡医師会の会長、池田会長の順)

 

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