【指宿市民意識調査】豊留市長支持率「32.88%」、不支持「31.53%」の現実

2018年11月、鹿児島県指宿市の豊留悦男市長陣営に公職選挙法違反の疑いがあることを報じた。同年2月の市長選で選挙事務所において「炊き出し」を提供したというもので、その後も違法性があるとみられる地熱発電業者からの選挙資金提供問題を掘り起こし配信するなど、市長とその市政を厳しく批判してきた。

豊留氏は、反省するどころかハンターによる一連の追及記事を黙殺。取材のため提出した質問書にも答えず、逆に、翌年夏になって「HUNTERを訴える」と公言していた。しかし、待てど暮らせど「訴え」は起こされず、市議会での追及もなし。改めて、市民は、この歪んだ市政をどう見ているのか意識調査を実施した。

■実現されない「ハンターを訴える」

豊留市長がこだわってきたのが「地熱発電」。2015年から進めてきた「地熱の恵み活用プロジェクト」だ。指宿市所有の温泉施設「山川ヘルシーランド」の敷地内に温泉熱(蒸気)を利用した発電施設を整備し、売電収入を福祉や産業振興に回すという計画だった。

同年5月に九州電力と地場の施設管理業者「セイカスポーツセンター」を発電等事業者に選定して事業化を進めたが、凍結→再開という異例の展開をみせたあと、国の外郭団体が実施している補助事業で二度も不採択となり頓挫した形になっている。

この間、補助金の申請書に記載した住民アンケートの数字や市長選の結果を捏造するなどやりたい放題。地熱発電業者からの選挙資金提供問題は、そうした市政の歪みが顕在化した証でもあった。

2019年1月、ハンターは市長に下の質問書を提出したが、回答はなかった。

指宿市長 豊留悦男様

平成30年2月に行われた指宿市長選挙の際、地熱発電の関係者が、政治団体「いぶすきを豊(ゆたか)にする会」の代表者に、選挙期間中に10万円、投開票後に10万円の計20万円を渡したことが分かりました。選挙期間中の10万円については、「いぶすきを豊(ゆたか)にする会として受け取った」とした上で、代表者自身も受け取りの事実を認めています。

しかし、「いぶすきを豊(ゆたか)にする会」が解散に伴い鹿児島県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書には、該当する寄附の記載はありません。

また、貴殿の選挙運動費用収支報告書にも、該当する寄附の記載はありません。

本来、選挙期間中の、しかも選挙事務所内で行われた現金供与は、当該選挙にかかる寄附として処理されるべきで、「いぶすきを豊(ゆたか)にする会」が受け取ったとする代表者の説明は不合理と言うしかありません。

代表者は問題の寄附について、「選挙事務所の会計の人に渡した」と話していますが、一連の経緯からすると、市長の選挙運動費用として費消されたか、あるいは市長ご自身の収入として処理されたのではないかという疑念が残ります。

地熱発電事業について一定の権限を有する市長への業者側からの寄附は、極めて賄賂性が高いものと思料いたしますが、地熱発電関係者からの寄附金がどこに入ったのか、ご回答いただきますようお願い申しあげます。

質問書を無視した豊留市長は同年8月、市が開催した「地熱の恵み活用プロジェクト」に関する説明会の席上、市長の政治資金に関する姿勢を咎めた女性市議の質問に対し、「HUNTERを訴える」と明言していた。

■支持・不支持が拮抗

残念ながら、今日まで市長がハンターを訴えたという話は聞かない。疑惑を追及され、その場しのぎで強がったということだろうが、あまりのお粗末さに呆れるばかりだ。

では、失政続きの市政を、市民はどうみているのか――。今月12日から13日かけて、コロナ対応でも確たる成果を上げていないとされる豊留市政について、支持率を含めた意識調査を実施した。調査は無作為に抽出した指宿市内の電話に架電するRDD方式で、476件の回答を得た。結果は次の通りである。

 支持するが32.88%、支持しないが31.53%。支持と不支持が、ほぼ拮抗する数字だ。50%~60%が当たり前とされる現職首長の支持率としては、かなり低いと言わざるを得ない。選挙情勢調査のように比較対象がいれば、さらに支持する人の数は減るものとみるべきだろう。つまり「不人気」――調査結果の、これが結論だ。

支持・不支持を決める際の、重要視する政策課題についても聞いてみた。

 市民が最重要と考えている課題は「福祉・教育」。新型コロナ対策より高い数字であり、これは豊留市政のこの分野における施策が、不十分であることの裏返しだ。新たな経済対策や農林水産業の振興がそれに続き、商工業や観光の振興を望む声はそれほど多くない。

市内を歩けば、シッターが目立つ商店街。さびれゆく泉都の象徴だ。市長が、地元の活性化について何ら手を打ってこなかった証しであり、人口もピークだった1950年の約70,000人から毎年減り続け、現在の推計人口は約38,000人にまで落ち込んでいる。

 豊留市長が最も力を入れてきた「地熱発電」を重要と答えた人は、たったの3.7%。市民が、地熱発電に期待していないことが分かる。市民の声が、これまでの間違った市政を指摘した形であり、その証拠となる調査結果もある。市長に何を求めるかという質問に対する答えは、こうだ。

 市民が市長に求めているのは「政策」。これまた現在の豊留市政の政策に不満を感じているからこその結果であり、市長には猛省が求められよう。

都合の悪い話には耳を塞ぎ、反論できる根拠もないのに「訴える」と息巻いた市長……。自らが招いた「不人気」を、どう挽回するつもりだろうか。

ちなみに、同時に行った指宿市における菅義偉内閣の支持率調査は、次のような結果だった。
・菅内閣を支持する  30.19%
・菅内閣を支持しない  36.48%
・分からない 33.33%

 

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