国民民主党・大田京子氏の政活費不正で玉木代表に求められる「説明責任」

夫の会社の家賃を政務活動費と政治資金で按分支出していた国民民主党福岡県連代表の大田京子元県議が、福岡県議会事務局から不正を指摘され、元の所属会派である「民主県政県議団」を通じておよそ75万円を返金した。

政務活動費の不正流用は、公金を詐取したということ。大田氏の政治家としての資格が問われる事態だ。しかし、こうした人物に県連組織の代表を続けさせている国民民主党本部は、だんまりを決め込んだまま説明責任を果たしていない。

昨年12月、一連の取材結果をまとめ国民民主党本部と同党福岡県連、大田氏が昨年5月まで所属していた民主県政県議団に、それぞれ見解を求める質問書を送付したが、回答を寄せたのは県連と会派だけ。国民民主党本部からは、何の連絡もなく今日に至っている。改めて、同党の玉木雄一郎代表にこの問題を質す。説明責任を果たしてください!

■違法、脱法、公金詐取でも辞任せず

大田氏を巡っては昨年11月、福岡市内を中心に掲示期間を過ぎた「違法ポスター」を多数掲示していることが判明。その後、政務活動費の不正支出も分かり詳細を報じてきた。

政務活動費の不正支出については県議会事務局も無視できず、大田氏側に照会状を発出。大田氏からの回答を得たのち調査を進め、夫の会社の家賃や光熱水費を政活費で賄っていたことを不適切支出とし、返金を求めていた。

公金詐取が公式認定された形だが、大田氏がツイッターに投稿した記述からは、反省する様子はまるで見られない。

「訂正の必要があれば速やかに対応」(2月5日)、「政務活動費の按分について適当ではない部分があるとの指摘」(2月6日)、「当方としては適切に按分していたつもり」「指摘を受けた金額(月額約4万円)については速やかに返金」(2月6日)ーー。75万円という総額はどこにも出てこず、返金したのが「月額約4万円」だけだったかのように誤認させかねない内容だ。平気でウソやごまかしを行う大田氏らしいと言うしかない。

■玉木代表への公開質問

公金詐取を「厳重注意」で終わせるというのなら、国民民主党は税金の使い道についてとやかく言う資格などあるまい。違法・脱法ポスターの件を含め、大田氏を巡る一連の問題についてどう考えているのか、せめて党としての見解は示すべきだろう。玉木代表はこれまで、政治的な問題が起きる度に、時の首相をはじめとする関係者に「説明責任」を求めてきたのではなかったか。ネット上で調べた、ここ数年のケースだけでも、何件も記事がヒットする。

・2019年8月 上野宏史元厚生労働政務官が外国人労働者の在留資格をめぐる「口利き」疑惑を報じられ辞任したことを受けて――「報道が真実であれば、あっせん利得や口利きになる。説明責任を果たすことができなければ、相応の責任をとるべきだ

・2019年10月 菅原一秀元経産相の辞任を巡って菅原氏本人や安倍首相に――「説明責任を果たすべき

・2019年11月 『桜を見る会』を巡る安倍晋三元首相の対応について――「説明責任が強く求められている

・2020年11月 安倍元前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の参加費用の一部を補填していた問題に関し――「(安倍氏は)説明責任を自身で果たすことが筋だ

疑惑や不祥事に関する国民の疑問に答えようとしない相手に対し、「質問に答えろ」「説明責任を果たせ」と迫ってきたはずの玉木氏が、公金詐取という身内の不正には口をつぐみ、見解を求められても対応しないというのだから呆れるしかない。政治家の言葉は極めて重いものだ。これまで発してきた「説明責任」という言葉が口先だけのものではないというのなら、以下の質問に答えるべきではないだろうか。改めて、昨年玉木代表あてに送付した文書を掲載し、公開質問に切り替えたい。

国民民主党代表 玉木雄一郎 様

質問書

前略 私は福岡市に本社を置きインターネットのニュースサイト「ハンター」を運営しております株式会社ハンターの記者で中願寺純則と申します。

貴党の福岡県総支部連合会で代表を務めておられる大田京子(本名:廣田京子。以下、「大田氏」)元県議の活動実態について取材した結果を踏まえ、以下の点についてご質問致します。公務ご多端のところ誠に恐縮ではございますが、ご回答いただき、国政政党としての説明責任を果たされますようお願い申し上げます。

1 違法性が疑われるポスターの掲示について

今年10月に入った頃から、大田氏が、玉木代表とのいわゆる2連ポスターを福岡市南区の各所に掲示していたことが、大田氏本人のSNS上への投稿写真などから明らかになりました。ポスターを確認したところ、玉木代表と大田氏の2人を弁士とする“街頭演説会”を告知する内容で、演説会の開催日時は「2022年10月30日(日)12時」、開催場所は「大橋駅西口広場」となっておりました。当日、記者が確認しましたが該当するイベントは開催されず、大田氏側から演説会が中止されることを周知した形跡もありませんでした。

当該ポスターが「2022年10月30日」から20日経っても掲示されていたこと、さらにポスターを掲示して回る活動が「2022年10月30日」の直前まで実行されていたことなどから、確信犯的に期限切れポスターを掲示していた疑いが生じたため、大田氏の事務所を訪ね、大田氏本人にポスター掲示状況の問題点について尋ねました。

大田氏は当初「すぐに対応する」と明言しましたが、数時間後に電話で「正確に記事にしてもらいたいので、『新しいものに貼り替える』と書いて下さい」と申し向けてきました。それを信用して動きを見守っていましたが、1週間を過ぎても状況が変わらなかったため、確認を入れたところ、大田氏は、およそ次のように話しました。

「日付自体が、今2022年ということなので、ここを今、目隠ししてですね、今年の10月30ではないという形に差し替えさせて貰っている」

「2022年ではなく、10月の30日、つまり来年の10月30日でもできるポスターに、いま変更中」

「新しいものに貼り替えると書いて下さい」と頼んでおきながら、何の連絡なく、これを撤回して「2022年」だけを消してごまかすという弥縫策。玉木代表の来年の予定を確認の上での対応であるかを確認したところ、今度は次のように発言されました。

「これ、国民民主党の街頭演説会なんですよ。玉木さんが来るということは、どこにも確約していませんよ、これ」

「まあ、弁士は、玉木さんの予定というか、まあ、玉木さんは来ない前提でも、この街頭演説会はやりますよ」

開き直った非常識な回答に驚くしかありませんでした。

このあと、大田氏は「2022年」の上から下地と同色のテープを貼るという行為を実行されましたが、残念なことに「10月30日(日)」が11年後の2033年になるまで来ないということには気づかれなかったらしく、記事でそのことを指摘した数日後に、今度は「(日)」に上にテープを貼ってごまかすという手段に出られました。

政治家は、法令を作るという崇高な使命を負っており、当然ながらルールを守るという規範意識が強く求められる立場にあるはずです。私は、大田氏による一連の弥縫策を「脱法行為」であると思料いたしますが、このことについて、貴党の見解を求めます。 

2 政務活動費の私的流用が疑われる問題について

私共の調べで、大田氏が、大田氏の夫が代表を務める「ポストワンサービス合同会社」(本社所在地:福岡市南区大橋三丁目25番1号貞方ビルB)が大田氏の資金管理団体「大田京子後援会」(主たる事務所:福岡市南区大橋三丁目25番1号貞方ビルB)が入居する建物の1階に移転してきた令和2年12月28日以降、同社の家賃分を含めた金額を「政務活動費」と大田京子後援会で折半し(政務活動費の報告書に『按分率50%』の記載)、支払っていたことが分かりました。政務活動費の私的流用ではないかとの疑問が生じたため、太田氏本人に事実確認を行ったところ、大田氏は次のように回答されました。

 ・二分の一ずつ按分していたのは間違いないが、今年の6月からは100%後援会が事務所家賃を払っている。

・家賃は、トータルで10万円を夫の会社が私の後援会に払っている。

・10万円の内訳は、家賃6万の水道光熱費等4万円。家賃6万円は月の前期と後期に3万円ずつ分けてもらっている。3万円、3万円、4万円。

・夫の会社からの10万円は、夫の会社の社名も含めて、政治資金収支報告書に記載している。

しかし、今年11月に公開された大田京子後援会の令和3年分政治資金収支報告書を確認したところ、該当する収入の記載はどこにもありませんでした。

仮に記載があったとしても、「3万円、3万円、4万円」の収入があったとすれば、いったん政務活動費と政治資金から家賃を支払った以上、それは政治資金規正法上の寄附にあたるという見立ても可能となります。

そもそも、大田氏の夫の会社が直接家主と契約し、毎月の賃料を支払うのが筋ではないでしょうか。問題はまだあります。大田氏は、後援会が夫の会社から「光熱水費」として定額の4万円を毎月受け取っていると断言されたのですが、光熱水費はピッタリ4万円で収まるものではありません。政務活動費の報告書並びに領収書からも、そのことは明らかになっています。ちなみに、大田京子後援会の「光熱水費」は、平成30年が132,545円、令和元年が142,097円、令和2年が117,914円、令和3年180,139円と推移していました。

大田氏の場合、按分率が50%となっていることから、令和3年の光熱水費総額は政務活動費で賄った分を合わせても約36万円。大田京子後援会が大田氏の夫の会社から年間48万円受け取っているという話が事実なら、かなりの差額が出ていることになります。つまり、大田京子後援会がもらっている差額分(令和3年は約12万円)は、禁止された企業献金ということになります。

以上のような大田氏の政務活動費及び政治資金の費消実態について、貴党の見解をお聞かせ下さい。

 

玉木氏は来月4日、福岡市を訪れる予定だという(*下の画像参照)。国民民主党の県連代表に公金を詐取された福岡県民の前で、何を語るのか――。

(中願寺純則)

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 北海道警察の方面本部で監察官室長を務める警察官が泥酔して110番通報される騒ぎがあった。監察官室は職…
  2. 裏金事件で責任を問われて派閥を解散し、3月に政界引退を発表した二階俊博元幹事長の後継問題に大きな動き…
  3.  三つの衆議院補欠選挙がはじまった。最も注目されるのは東京15区。柿沢未途氏の公職選挙法違反事件を受…
  4. 二階俊博元自民党幹事長の「政界引退」記者会見から約1か月。同氏の地元である和歌山県にさらなる激震だ。…
  5. 在学生の自殺事案で賠償交渉の「決裂」が伝わった北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で(既…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る