【追跡・鹿児島県警】免許証の住所も婚姻届も嘘|結婚詐欺師の悪質手口

詐欺被害の相談を受けながら4年近く犯人を野放しにしていた鹿児島県警。犯人の日高洋被告は、県警の不作為に助けられる形で、少なくとも9人の女性から多額の現金を騙し取っていた。

わざわざ銀行の通用口から出てくるなど金融機関の幹部職員を装う手口は巧妙。身分を偽るほかにも、違法性が問われかねない方法で自分の「身元」がバレないようにしていたことが分かっている。

■免許証の住所は無人の廃屋

日高は多くの被害者に「九大(*九州大学)の経済学部を出て銀行員になった」と嘘をついていたことが分かっている。銀行の裏口を待ち合わせ場所に指定し、堂々と通用口から出てくるところを見せつけ、信用させていたことも報じてきた。名刺を求めても「今度渡す」「昇進したら渡す」「犯罪に使われるから簡単には渡せない」などとその都度のごまかし。結婚詐欺の大前提となるのは「独身」であることだが、日高は「離婚した」と話すのが常だった。もちろん、それは嘘だ。

詐欺行為を繰り返していた時期に離婚していなかったことが判明しているが、日高が露見を恐れたのは自分の実際の住処。なんと日高の免許証の住所は、居住実態のない場所だった。

下は読者から提供された日高の免許証の画像。記載のある鹿児島市内の住所地は、誰も住んでおらず廃墟同然になっていた日高の「実家」だった。日高が免許証の住所と違う場所にあるマンションで暮らしていたことは、複数の被害者が確認している模様だ。

日高が免許証の住所に住んでいなかったことは、既に鹿児島市役所が証明している。下は市が発出した住民票の『消除公示』とその別紙。市は、《実態調査の結果、住民票記載の住所に居住していないことが判明》したとして、別紙に明記された日高と日高の娘の住民票を消除している。つまり、親子で公式な書類などに記入する住所地を偽っていた疑いがあるということだ。

■婚姻届も虚偽

日高は、被害者であるAさんが疑いの目を向け「両親にも会わせないのに、他人にこれ以上お金を渡せない」と言うやいなや、「婚姻届」を作成。結婚する意思が強いことをアピールしてごまかしていた。下が日高作成の婚姻届である。

日高が記入した住所は、前述した通り誰も住んでいない廃屋(*現在は駐車場)。鹿児島市役所が発出した住民票の消除公示がその裏付けだ。日高は身バレしないようにと考えていたのか、あらゆる場面で嘘の住所を使っていたという。なぜ娘まで居住実態のない住所地に住んでいるよう擬装していたのかは謎だ。

日高の嘘は住所だけではない。婚姻届の父母欄に記入されていたのは日高の実の両親の氏名。しかし日高は、正式に妻の姓になっており、実父・実母の苗字は日高ではない。届出人である日高の押印もなく、嘘八百の婚姻届だった。

Aさんが勝手に婚姻届を役所に提出する可能性があったはずだが、その点について日高は、「大切な届けだから、二人で一緒に出しに行こうね」と甘い言葉で歯止めをかけていた。「息をするようにウソをつく」――それが日高の実像なのだ。

騙しの手口について列挙すれば、とても数回の配信記事では間に合わないほど証拠が残っている。ここまでの配信記事で紹介してきたのは、それらのほんの一部。1億円近くの詐欺被害に遭ったAさんは、日高と出会うことになったきっかけから、騙されていく過程、手口などについての詳細を時系列順にまとめ、すべての証拠をそろえた上で鹿児島中央警察署に被害相談に出向く。そしてどうなったのか――。

実はここからが本論で、次週から詐欺被害の拡大を招いた鹿児島県警の不作為と、被害者に対する暴言、虚言の数々について詳しく報じていくことになる。

(中願寺純則)

 

 

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