国の指導を無視し、町発注工事の入札情報を非開示にして「違法状態」を続けてきた永原譲二福岡県大任町長の主張が破綻した。
同町の行為は、入札状況の情報開示を義務付けた「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入札契約適正化法)の規定に反するもの。町側はこれまで、非公表方針に転じた時期を「令和3年7月」と説明してきたが、ハンターの情報公開請求に非開示決定を出したのは、それより前の同年6月25日(*下が非開示決定通知)。町の説明は明らかな虚偽だった。
■違法に加え条例違反も
23日、情報非開示に転じた時期について改めて町の総務企画財政課に確認したところ、課長は「令和3年7月から」と断言した上で、ハンターの情報公開請求が提出された6月14日以前は、役場の外にある掲示板に入札結果を掲示していたと説明する。しかし、不特定多数が見ることのできる掲示は即ち「公表」したということ。ならば、6月14日以前の入札結果は非開示にする意味がなく、ハンターが求めた「平成29年度、平成30年度、令和元年度、令和2年度、令和3年度(*6月14日時点までのもの)の入札結果」は、当然ながら開示しなければならなかったことになる。その点について追及したが、合理的な説明は返ってこなかった。
『大任町情報公開条例』は、《法令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、若しくは公にすることが予定されている情報》(第7条ア)は、《開示しなければならない》としており、「役場の外にある掲示板に入札結果を掲示していた」という町側の説明が事実なら、ハンターの情報公開請求に対する非開示決定は、入札契約適正化法だけでなく同条例にも違反していることになる。法律や条例を「守らない」と公言する首長は、日本国中さがしても永原譲二氏だけだ。
■審査請求から1年半、事実上の放置
ハンターが大任町に対し入札結果表の開示請求を行ったのは令和3年6月14日。町は、同年6月25日付けで非開示にすることを決定する。この決定を受けてハンターは、同年7月1日付けで非開示処分について、公共工事の入札情報を公表するよう義務付けた『公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律』の規定に違反するものとして取り消しを求める審査請求書を提出していた。
他の自治体ではあり得ないことだが、町が『弁明書』を送ってきたのは10か月も経った令和4年4月初旬。ハンターは同年4月26日付で「反論書」を送ったが、それから9カ月近く経過した現在も、町からの連絡はない。
審査請求から1年7か月。意図的に放置しているかとしか思えない。昨年、大任町役場の総務企画財政課を訪れ、課長に「大任町情報公開・個人情報保護審査会に諮問したのか」と聞いた際には、「やっています」とした上で「審査会には弁護士が参加している」明言していたが、23日に審査状況を再確認してみると「実は弁護士は入っていませんでした」――。これまで4回審査会の会議を開き、来月5回目の予定だというが、課長の言葉を信用することが無意味に思えてくる経過となっている。
大任町情報公開・個人情報保護審査会がまともに機能していれば、違法な非開示決定を認めることは絶対にない。ただし、それは審査会に弁護士など法律の専門家が入っていればの話。永原町長の暴力支配が続く同町で、彼の意に背く答申が出るとは思えない。もし「非開示決定を取り消す」という答申結果になれば、永原町長が、国の指導を拒絶してまで隠ぺいを図ってきた“公共事業を私物化して築いた税金収奪のカラクリ”が暴かれるからだ。おそらく審査会のメンバーも公表されないものとみられている。