江差看護学院パワハラ教員、異動は7人中5人のみ|道議会答弁に懸念の声

北海道立高等看護学院の教員らによるパワーハラスメント問題で11月29日、パワハラ認定を受けた教員の異動問題などが道議会で俎上に載り、答弁に立った北海道の担当課が関与教員7人のうち2人について「異動を行なわない」と言い切った。現在休学中の学生の中には当該教員から深刻な被害を受けた人もおり、道の答弁は一部の保護者の動揺を招くことになりそうだ。

◇  ◇  ◇

同日の議会で質問に臨んだ平出陽子委員(民主・函館市)は、道が11月下旬に4人の教員を保健所に配置換えした人事に触れ「パワハラ認定された教員は4人よりも多かったはず」と指摘、配置換えの対象とならなかった教員の扱いについて尋ねた。

これに道の担当課は、上の4人に含まれない「2名」の教員については「異動を行なわないこととする」と答弁、ハラスメント認定を受けた教員のうち少なくとも2人を学院内に留め置く考えをあきらかにした。

道の設置した第三者調査委員会は10月までに調査報告をまとめており、そこでは江差の教員「7人」のハラスメント関与を認定している。うち4人は先述の通りすでに学院外での勤務となっているが、残る3人の去就は定まらないままだった。

この3人のうち2人について、第三者委は「ハラスメントはあったが学生全体からの評価は必ずしも悪くない」と判断、引き続き江差で勤務させるのが適当としていた。道の答弁はこれを受けてのものだったとみられ、残る1人については第三者委も「正常化には不適格」と断じていることから、その1人も最終的には学院外へ異動することになる見込みだ。この教員は昨年度まで道医務薬務課で看護教育担当の主査を務めており、昨秋以降の保護者からの被害告発に適切に対処してこなかった疑いがある。その人物が教員として「不適格」とされたのは、被害者たちに言わせれば当然の結論だった。

整理すると、最終的に学院を去るのはパワハラ認定7人中5人。残る2人が今後も江差で教鞭を執り続けることになるわけだ。

残留する2人にしてもハラスメント関与が認められていることに変わりはなく、「あの先生がいなくなってくれないと学校に戻れない」と訴えている休学生もいる。昨年度の在学生がまとめた告発資料には、当該教員のパワハラとして次のような事例が記録されていた。

《「16時ならいい」と言われ、16時に教務室に行ったら「なんで来たの? 私、勤務時間終わってるから帰って」と言われ、指導をしてもらえなかった。「聞いたことないの?」と言われ「聞いたことないです」と話したら、「嘘つくんじゃねえ」と言われた》

こうした被害を受けた学生が当該教員の異動を願うのは当然のことと言え、被害学生らから道が回収した「意向書」の中にはその思いが記されていたとみられるが、11月15日までに各学生が提出した意向書への回答は、29日時点で届いていない。また配置換えとなった4人を含む7人の教員の処分や被害学生への救済措置も未だに決まっておらず、同日の議会で「道が決断する処分には社会が注目している」と迫った平出議員に対し、保健福祉部トップの三瓶徹部長は「地域の期待と信頼に応える教育機関として再出発できるよう、学院運営の正常化に取り組む」と述べるに留め、諸対応の期限の明示を避けた。

告発から1年以上が過ぎてなお、遅々として進まないパワハラ被害対応。この日の議会を傍聴した江差看護学院の学生(21)は「4人を保健所に移したというけど、同じ町の中で顔を合わせる可能性は常にある。加害者の顔を見ただけで動機が激しくなる学生もいるので、関与した教員は全員一刻も早く江差の外に出して欲しい」と訴えている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

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